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歯医者の苦悩

Posted by 高見鈴虫 on 01.2007 今日の格言   0 comments   0 trackback
歯医者に行く度に思うことがある。

あれだけ顔を寄せてこられる以上、
どこをどう隠してみても、
隠し切れないなにかを発見されてしまうのだろうな、と。

つまり、
歯間に挟まった昨日の食い残しから始まって、
目脂から髭の剃り残しから肌荒れから、
鼻毛から小皺からにきびの跡から、

それはどんなに綺麗に着飾ってる、
たとえばパリスヒルトンのような人だって、
やはりそうそうとすべてを隠し通せるものではなく、
つまり、
歯医者に行く度に、
割と一切合切を見透かされてしまうのだな、と。

歯医者に自殺が多いのが判るような気がする。

おいおい、ぎっくり腰になっちゃったよ

Posted by 高見鈴虫 on 07.2007 チャーリーホースは真夜中に疾る


おいおい、ぎっくり腰になっちゃったよ。

信じられない、ほんと、まったく、全然信じられない。
だってさ、この俺がだよ。ほんと、青天の霹靂、そのもの。
運動不足?
まさか!!!
俺、最近、週に三日は朝6時に起きてテニスやってるんだよ。
天気の良い日は自転車に乗って通勤してるしさ。
そんな俺が運動不足?まさか!?
確かに、最近筋トレさぼってる。
前回の断食以来、密かに自慢だった腹筋の割れ目もこの所かなり曖昧になってきて(笑
うん、食後にかなりベルトがきつく感じていたのは確か。
あとね、最近ドラムが調子よくてさ。
こないだちょっと思い立ってシンコペのバスドラを一音抜いてみたらさ、
いきなりハイハットの裏音がシャキシャキと気持ち良く鳴り初めて、
スネアのシャドウが絡む絡む、と(笑
気づいた!ってその瞬間、でいきなり世界がぐるぐる廻り始めて、
リズムの神さまが降りて来た、はい、いらっしゃーい、という、あの瞬間(笑
そう、ドラムやってて一番の至福の瞬間。
で、ちょっと面白くなっちゃってさ。
仕事帰り立て続けにスタジオ寄っては3時間4時間、
知らない間に叩きこんでいて、
で、はっと気づいたら、やべっ! 足が動かない、と(笑
そう、確かにね、俺、イスが低い。
イスが低いのが俺のスタイル、という気さえしている。
だってさ、
バスドラ、思い切り踏み込まないとなんか叩いた気がしないっていうかさ。
まあ確かにね、
悪戯に力まかせに叩いてみたからってでかい音がでるって訳じゃないってのは事実。
それぐらいは判ってる(笑
でもさ、ほら、打感って言うかさ(笑
気持ちいいじゃない?バスドラでかいほうがさ。男だね!っていうかさ(笑
そう言えば遠い遠い昔、とある著名ななんとかさんに、
今のうちにイスを上げないとヘルニアで一生叩けなくなるぞ、
なんて言われた事はある。
でもほら、俺、あの頃は週に3回はジムで筋トレやってたからさ、
この俺がドラム叩き過ぎて腰を抜かす?
なにを惚けたこと言ってやがる、とは思っていたのは確か。
おやじ、てめえと一緒にするなよ、って(笑

と、考えてみると、
もしかして俺っていま、あのおやじ、と同じ年齢、ぐらいなの?
つまりあのおやじも、
若い頃は、イス下げてガツガツやってたところが、
いきなり腰やられて死ぬ思い、と。
つまりそういうことだったのか、と。
いやあ、年寄りの言うことは聞いておくべきだったんだね(笑

そう、確か最近、
とくにドラムを叩いてると、歳!を感じること、多い。
音楽の趣味が変わってきたのは勿論のこと、
プレイのスタイル、やっぱり昔と全然違うしね。
そう、それに加えて、
正直、うーんやっぱりまた腹が出てきてる。
テニスにかまけて筋トレサボってたからね。
それはある。
確かに自転車も腰に悪いという話は聞いたことがあるしさ、
そう考えると、俺、身体に良い事やってるつもりで
腰に悪いことばかりやってたのかな。

と言うわけで、
この、夢のように晴れ渡った週末に、
部屋のソファで寝たきり、という次第。
これはね、屈辱以外のなにものでもない、よね。
なんか、凄く不思議な感じのする朝。
おいおい、晴れた空をこうやって窓から眺めるのって、
一体どれくらいぶりなのかな、なんて考えていたら、
やべえ、おいおい、
今日もしかして、ヨサコイのユニオンスクエアじゃなかったっけか、
と思わず飛び起きて再びの大絶叫!

いやいやいや、しかしだ、
大好きなユカちゃんの晴れ姿だけは、
例え這ってでも見に行かなくちゃってんで、
かみさんの腕にしがみつきながら
ほんと、カタツムリが地を這うような速度でヨタヨタ。
ほんと、いっぱしのヨイヨイ気分。
で、気づいたこと。
道端のちょっとしたギャップが落とし穴。
転がった石ころひとつがまさに地雷そのもの。
それに加えて、この花粉の嵐、
くしゃみひとつ、咳ひとつがまさに運命の分かれ道。
そうこするとこの信号、
いつもは赤でも平気で渡ってる筈が、
点滅し始めただけで諦めちゃったりして。
で、最後に極めつけ、
この罰当たりな通行人ども、
肩の先がちょっと触れるだけで!!の激痛(爆
舌打ちしながら、てめえ気をつけろ、と怒鳴りそうになって、
やばいやばい、と(笑
俺、いま喧嘩やったら、よっぱらいの姉ちゃんどころか、
5歳のガキにさえ負けちまうっていうの(笑
おいおいおい、しかしながら、
人間、ぎっくり腰ごときでこれほど世の中の見方が変わるものなんだね。

そんなこんなで、ようやく辿りついたユニオンスクエア、
おお神様ありがとう、出演予定の1時ぎりぎりに辿りついたんだけどね、
で、あれ、いつまで待っても始まらない・・
なんてこった、実は予定時間が繰り上がって、着いた時には既に終わっていた(泣
でもね、
うん、ステージ観れなかったのは残念だけど、
ゆかちゃんに久しぶりに会えただけでも来た甲斐はあったな、と(笑
でもさ、ゆかちゃん、ちょっと見ない間にまたまたえらく綺麗になっちゃってさ。
そんな弾けた笑顔ですっかり機嫌直っちゃって(笑
と言うわけで、変に満ち足りた気分になって、
またヨタヨタとカタツムリの歩みで家まで帰りましたとさ。

と言うわけで、今回のぎっくり腰でつくづく感じたこと。
俺の強気ってほんと、身体が資本だったんだな、
つまり、それだけ、と(笑
で、
身体がきかないと、ほんと、人生って楽しめないんだな、と。
身体がきかないと、世の中が本当にまぶしく見えるものなんだな、って。

まあ確かに身体がきかないからと言って、
全ての楽しみから見放された訳じゃないし、
代替として他の楽しみを見つけるのは可能ではあるんだけど、
でもね、
うーん、俺的には、やっぱりね・・と。
今の人生で、テニスとドラムのない生活?
うーん、やっぱりちょっと想像がつかないなあ。

と言うわけで、
身体の弱い人たちの気持ち、今更ながら、痛い!ぐらいに身に沁みました。
今までバカにしてごめんなさいね。
でもさ、
この先、どんどん身体がきかなくなっていくんだな、
というのが身に沁みて判った以上、
身体の動くうちにやっておくべきことって、
実は凄く沢山あるんだなって、
ちょっと思い知った。


            ~遠方の友に宛てたメールより

ぎっくり歳

Posted by 高見鈴虫 on 07.2007 日々之戯言(ヒビノタワゴト)   0 comments   0 trackback
おいおい、ぎっくり腰になっちまったよ。
ああ、それ、歳でしょ、なんて言われるたびに、ぎくっとして、
まさに、ぎっくり歳。
ああ、俺、このまま老いぼれて行くんだな、
ってのが、
割と実感をもって納得させられてしまった。
俺ってこうやって終わっていくんだね。
後悔はないけど、なんか、へえ、そんなもんなんだ、って感じ。
このまま、腰が痛くなって、膝が痛くなって、
ってなっていくとしたら、
おいおい、歳をとるのって割と簡単にはいかないね。

ただの人の人生

Posted by 高見鈴虫 on 08.2007 今日の格言   0 comments   0 trackback
ただの人の人生、
何も成しえず何も残せず、
つまりは犬死。
つまりはただの人。

ってことはだ、
人の人生って犬死を前提としているんだな、
なんて当然のことに今更気づいた。

ただ、人をやってると犬死なんだぜ、
なんて、
そう、ずっとずっと昔にそんなこと嘯いていた気がする。
ただ、
只者じゃないことを成し遂げるのって、
実は割と辛いんだよね、ってことに気づかなかった頃
の話だけどさ。
今からでもやってみるべきであろうか、
あと3年も経ったら、本気で本当に何も出来なくなるぞ、
と腰の痛みに思い知らされた。
取り合えずだ、
この腰が直ったら、
本気の人生の1日目ってやつを始めなくてはいけない。

そう言えば最近、メキシコの映画ばかり観ています

Posted by 高見鈴虫 on 09.2007 読書・映画ねた


そう言えば最近、メキシコの映画ばかり観ています。

NYの公立図書館、WEBサイトから観たい映画を選んでリクエストしておくと、
忘れた頃になって、取りに来てください、 ってなメールが届いてる(笑

こんな映画、借りたっけかな、と、不思議に思ってでかけていくと、
ああ、そうかそうか、と。まるでタイムマシーン。
この時間差が溜まらない、と。

で、このNY公立図書館、実はよく使ってる。
だってタダだしさ。
公立図書館でありながら、古今東西の本は言うに及ばず、
CDからDVDからフィルムのリール巻きまで、
割とへええ、こんなものまで、的な名作・珍作も取り揃えてる。
そう言うところ、割と、さすがNYCって感じがするよね。

と言うわけで、メキシコ映画のまいぶーむの話。
発端はと言えば、AMORES PERROS。
あの映画、封切りの劇場で見たときには、
あまりに圧倒されて、凄い、良かった、でも良く判らなかった、
ぐらいの感想しかなかったけど、
改めてDVDで見直すたびにどんどん好きになって割と中毒状態。
同じ監督の21Gとバベルがあまり好きではないぶん、
このAMORES PERROSがますます輝きを増す、っていう感じ。
で、同時に、そう、Y TU MAMA TAMBIEN、
これも良かったでしょ?って誰も知らないか(笑
うん、良かったんだよ。そう、良かったの。
で、うーん、似たようなメキシコの映画をどこで探そうかな、
と思っていたら、
なんてことはない、毎日前を通り過ぎているNY公立図書館に、
誰に借りられることもなく山になっていた、と(笑
やたー!金鉱発掘だっち。
なんてったってあの牛歩というよりはなめくじのように遅いNY公立図書館の回転が、
こと外国語映画に限って稲妻のような敏速な反応。
去年リリースと同時にリクエストした007カジノロワイヤルもパイカリ2も、
半年も待ってるのにまだ音沙汰もない、ってのに、
こと外国映画に限って、リクエストしたら次の週には届いている、と。
これは嬉しい!

と言うわけで、ここでこっそり
NY公立図書館でただで借りられるお勧めメキシコ映画特集だっち。
もし興味があったらNETFLEXで探してみてくださいね。

「POR LA LIBRE」



死んじまったお祖父(じい)さんの灰を海に撒いてやる為に、
犬猿の仲の従兄弟同士が珍道中をおっ広げるって話。
メキシコ的なユーモアとお色気にど深遠なペーソスが混じって、
本当に面白かった。


「AMR TE DUELE」



現代メキシコ版のロミオとジュリエットなんだけどさ、
なんか凄く見せるのよ。どうしてだろ。
単純なラブロマなんだけどね。役者が立ってるっていうか、
年甲斐もなく、思わず恋した気分になっちゃっうって感じ。
ああ、また観たくなってきた。

「LA LEY DE HORODES」



騙されて最果ての村の村長を押し付けられた善良なおっさんが、
法律と権力を逆手に取って大暴走、
ああ、これだから民主主義は立ち行かない、っていう悪い見本そのもの(爆。
こういうのをけろっと書いてしまうのがいかにもメキシコ的。天晴れって感じ。

で、横綱2つ、

「AMORES PERROS」



愛ってなんだか、あんた知ってる? 少年は犬ころ、愛するものさ、
という、昔懐かしいSKEN(!)に通じる題名。
AMORES=愛 PERROS=子犬、と描くとなんのことか判らないけど、
俺的には、犬=少年=男 の愛、同時に、犬コロを愛する少年の純な愛。
つまり、身勝手極まりない、一方通行ではた迷惑で救われることのない純愛。
その見果てぬ男の愛の不毛さを描いた、という不屈の名作、
ああ、身につまされるな、とついつい魅入ってしまう訳で、
俺的には、この作品、マルケスに匹敵する、と勝手に思ってる。



「Y TU MAMA TAMBIEN」



謎の人妻の誘いに乗って、ひょんなことから珍道中に引きずり込まれてしまった悪がき二人。
おかしな三角関係の中、狂おしいまでの欲望の彼方に見えてきた本当の姿とは、
なんて感じで、ちょっとって言うかモロにどエッチな内容なんだけど、これ実はお勧め。
そう、通常の健康優良不良少年時代を送ったあなたならきっと憶えがある筈(爆
ああ、あの時のあのひと、実はこういうことだったのか・・なんて(爆
遥か昔の甘酸っぱい青春の一コマを割と切実に反芻することができますよ。

なんてことをのたまっていたら、
メキシコ人の友達から、おまえ、まだまだ青いな、と、
次々と隠れたラテン映画の名作を教えてもらうことになっちゃって、
へえへえ、このブーム、まだまだ続きそうです。

と言うわけで、ラテンマニアの方々、情報お待ちしておりますです。


            ~遠方の友に宛てたメールより

人の痛みを理解するということ

Posted by 高見鈴虫 on 10.2007 今日の格言   0 comments   0 trackback
ぎっくり腰になって、
初めてぎっくり腰の辛さが理解できた。
あれ、言っただろ、俺もこないだ腰痛めたって。
そう、俺、聞いたような気がする。
2ヶ月以上もテニスできなくて、って。
俺、そう、そのとき、
ああ、そうなんだって、聞き逃してた。
大変だね。じゃあさようならって。

そう、
よくよく聞いてみると、
あいつもこいつもぎっくり腰の経験者だったりして。
なんだ知らないの俺だけだったのかって。

ああ、苦しみって、
実際に自分で味わってみないと理解することはできないんだな、とつくづく思う。
人の苦しみを理解するのって、凄く難しいけれど、
でも、凄く大切なことだと思った。

ニューヨークのありふれた朝

Posted by 高見鈴虫 on 11.2007 ニューヨーク徒然   0 comments   0 trackback
ニューヨークに住んでるからといって、
なにが楽しい訳でもないんだよ。
億万長者の友達がいる訳でもなく、
雲の上のハイライズに住んでるわけでもなく、
馬鹿高い給料を貰っている訳でも、
隣りの部屋にスッパモデルが住んでる訳でも、
ましてやゲイでもSMでもなく、てさ。
それはつまり、
日本に住んでるからと言って
毎日寿司を食っているわけでも、
おふくろがゲイシャでおやじがサムライで、
という訳でない、のと同じこと。
ただ普通の人々と過ごす普通の暮らし、
ってやつを続けているだけのこと。
そう、ただそれだけのこと、
それだけのことなんだよ。

朝5時に起きて、
夜明けのイーストリバーを右手に見ながら、
ちゃりんこをかっ飛ばし、
東のはずれの低所得者向け集合団地の裏手、
いつみても工事中の橋の下の、
夜露に濡れたテニスコートで、
たとえば、
夜勤明けの看護士や、不眠症の証券アナリストや、
時差ぼけの広告デザイナーや、失業中のプログラマーや、
時として
日雇いの、ビザの切れた、帰る場所をなくした、
住む場所さえ無くした、
つまりは、
いつみてもモラトリアムな、とりあえずテンポラリな、
ビトウィーン・ザ・サムシング、なにかの狭間の人々、
つまり、職業は、ニューヨーカーな人々とともに、
欠伸まじりに黄色い玉を追いかけて、
いつの間にか時間を忘れて、
今何時だよ?8時ちょっと過ぎ。
おいおいさっきも8時って言ったろ?
だからちょっと過ぎだって。
ちょっとってどのくらいだよ。
いいから早くサーブしろよ、
とやっているうちによしこれを取ったらマッチポイント、
というところで、おい、時間いいのか、もう9時半だぜ、
なんだとてめえ、また騙しやがって、
あばよ、続きはまた明日、おらおら、急がねえと、
次の試合じゃあてめえの命を張るつもりで来いよな
と怒鳴り合いながら、
この世の終わりとばかりにちゃりんこをすっ飛ばし、
汗だくのまま飛び込んだ9時5分前、
あれまあ、間に合った、あの野郎、また騙しやがったな、
で、スポーツウエアのままで朝のミーティング、
そのまま珈琲を啜ってメールをチェックして、
とやっているうちに結局そのまま引きずり込まれて昼過ぎまで。
その後、呼び出し。
毎度ながらくだらない苦情処理。
舌打ちまじりにトイレで着替え、
クローゼットの奥の取ってつけたようなジャケット。
混んだ急行を乗り換えて気楽な各駅でヘッドフォンを耳に押し込み、
ああ、最近テニスばかりでぜんぜん音楽を聴いてないな、
と、ようやくルンバのリズムを思い出したあたりでミッドタウン、
ローライズ、ミニスカ、プッシュアップ、
ハミ尻、生足、丸透けのTバック。
おいおい女達、いったいどうしちまったんだよ、
そう、春。待ちに待った春。
信号待ちのタクシーからご機嫌のサルサ、
思わずステップ、スージーQ、
クイッククイック、勝手にターン。
視線のフラッシュ、ウインクの嵐、
ベイビー、春だもん、そう来なくっちゃ。
という訳で、辿り着いた地下室。
冷たく冷え切った白い壁、
顔中ラップに包んだみたいなファンノイズ。
一瞬で冷え切った身体、冷え切った心、
ああ、気が付くとやっぱりここか、ここなのか。
という訳で凍死寸前の絶体絶命、1時間2時間、
やけくそのラッキーショットに救われて、
お疲れ様の声に背中を押されて、
ふと転がり出た夕暮れの街。
化粧を直した娘達。赤い唇、パールのシャドウ、
今日は金曜日?木曜日?水曜日?
恋に曜日は関係なしか。
そんなはじけた空気を尻目に、
疲れきった足を引きずりながら、
ああ、どのタクシーもOFFDUTY。
おいおい、俺は疲れてるんだぜ、
と泣き言を呟いたところで、
負けた人間には極端に冷淡なこの街。
突き飛ばされた挙句にかばんを持ち逃げされるのが関の山。
人間どうすればこうもあさましくなれるのか、
なんて今更知ったことか。
気を取り直して歩きはじめる夕暮れの雑踏。
これでもかと肩をいからせながら、
あわや激突寸前になってすっと身体を交し合う、
これがNYC流。この術を会得してはじめて
ミッドタウンの雑踏をすり抜けることが出来る、と。
という訳でようやく辿り着いた地下鉄。
込んだ急行を避けて、
ルーザー・ラウンジ各駅列車の冷たい座席に沈み込む。

ああ、
こんなことをいつまで続けるのだろう、
こんなことで良い訳がない、
ああ、この糞仕事、
ニューヨークに居ながら、
こんなこと以外にやることがないのか、
とため息も枯れた頃に会社に戻り、
ふと気づくと7時過ぎ、
用もないのに会社に住んでいる濁った瞳の亡者達を尻目に、
じゃあね、あばよ、お疲れさん、とちゃりんこの人。
夕暮れのテニスコート、日が暮れるまでの間、
ちょっとサーブの練習でも、と思っていたら、
おい、ちょっと打たねえか、とやってきましたトーナメント級。
なんだこのトップスピン、
おっと、そう来るかドローザライン、
いきなりのドロップショット、
飛びついた途端にロブで抜かれて、走って走って、
で、いつしかコテンパ。
足が攣り腕が痺れ
ラインで滑ったボールが、あれ、消えたと思ったら耳の脇を掠めて、
ああ、もうボールが見えないな、当然だ、9時近くだぜ。
楽しかったぜ。ああ、俺もだ、
と、名前も告げず闇の公園通りをあっちとこっち。
帰ってみるとあれ、かみさんがいない。
ヨガかMETかビーズのクラスか、
取り合えず晩飯を待ちながらストレッチ。
音を消したテレビでヤンキーズを眺めながら、
あの野郎、バックハンドでさえあのスピン、
ちょっと外すといきなり頭の上、
俺が返せたのはスライスだけじゃねえか、
といまだに腹わたが煮えくりかえっている。
かみさん帰ってスーパーの残り物のお惣菜。
食ったとたんに眠くなって、
シャワーに入ったのも歯を磨いたのも憶えていない。
ふと目が覚めると5時過ぎ。
寝静まった部屋の中、抜き足差し足、トレーニングウエア、
朝焼けの街、ニューヨーク、俺の街、
紅に燃え上がるガラスの塔の狭間を、
原色のトレーニングウエアの娘達が次々と走り抜けて、
おはよう、ご機嫌いかが、
とこの時ばかりははじけるような笑顔。
ニューヨーク、俺の街
別にこの街にいるからと言って、
なにをしているわけでもないんだよ。
ただ普通の人々と過ごす普通の暮らし、
を続けているだけでさ。
そう、ただそれだけのこと。
それだけのことなんだよ。

ミッシェル・カミーロ、アンコール、お願い、永遠に!

Posted by 高見鈴虫 on 12.2007 音楽ねた

ミッシェル・カミーロのブルーノート、
観てきましたよーん。
やっぱり良かったあああ。
身体中から感動がじわーっと染み出してくる感じ、
まだ続いてるよ。

ミッシェル・カミーロ、
ドミニカ出身のピアニスト、と言うよりは、
いまや、押しも押されもしないラテン音楽界の大御所、
と言うよりも、巨人、超人、生神様。

その超絶的テクニック、とか、早弾機関銃、
とかよく言われてるけどさ、
俺的に言えば、ミッシェル・カミーロの魅力、
あの、悪魔をも躍らせる問答無用の乗りのよさと、
いきなり空間丸ごとサントドミンゴの旧市街に持ち去ってしまう、
あの、すさまじいまでの表現力。

鍵盤が弾け飛ぶんじゃないかってなぐらい叩きまくり弾きまくった直後、
いきなりの沈黙の中から、
突如、目の前にシダの葉の揺れるコロニアル街並が、
カリブの潮の香りがさわさわっと流れて来て、なんてさ。
まさに夢心地。
静と動、光と影、灼熱と清涼、熱狂と仮死、
タバスコ一気飲みしたみたいな、
思わず立ち上がって叫び出してしまう熱狂の後に、
いきなり身体中とろとろになってしまう甘い甘いバラード。
ああ、このパワー、このセンチメンタルこそが
ラテンの魅力の真髄。
つまり、ミッシェル・カミロの全て。

チャチャチャからルンバ、サルサからボンバからモザンビケ、
しまいには全部あわせてぐっちゃぐちゃ、
あああ、身体が崩れてしまう、と思いきや、
息も止まる連弾から突如のブレイク、
一挙に雪崩落ちるようにユニゾン合わせて怒涛のフィニッシュ!
と決めた直後、
ああああ、面白かったあ!ははははは、だって。
ありがとう、こんな楽しいことさせてもらって、だって。
やってる人も観ている人も、思わず泣き笑い。
周りの人々と抱き合っちゃったりして。
ほんと、もうこの人だけでいい、って感じ。
アンコール、お願い、永遠に。
一生弾いてて、って土下座して頼みたくなる。

と、ミッシェル・カミーロ、
観るたびにそう思う。絶対にはずれがない。

ただね、
いつもどおり、二部構成の内容が全然違うの。

やっぱりね、前半はどうしてもおとなしめ、というか、
初対面の方々に新曲発表会って感じ。
遠路遥々の観光客の皆様、こちらがブルーノートです、って。
で、段々と盛り上がって終了した後、
ちょっと休憩を挟んで、
二部目はもう初っ端から飛ばしまくり。
アンコールまで怒涛のように雪崩込む、と。
つまり、二部合わせて一つのステージ、と。

と言うわけで、ミッシェル・カミーロ、
今週中、日曜日の夜までブルーノートでやっています。
もう毎日行っちゃおうかな、って感じ。

もしも事情があってライブを観れない人、
LIVE at the BLUENOTE、聴いてみてください。
あの会場の熱狂の片鱗ぐらいは伝わるかもしれないから。

ではでは、またブルーノートでお会いしましょう。


            ~遠方の友に宛てたメールより




ぼく、飴あげようか?

Posted by 高見鈴虫 on 12.2007 嘗て知った結末   0 comments   0 trackback
遅く起きた金曜日の春の朝、
客先のビルの前で仕事の待ち合わせ。
シャワーに濡れた髪をかきあげたまま、
寝ぼけた赤い目を覆う馬鹿でかいサングラスで、
生あくびをひとつふたつ。
珈琲屋の前の街路樹にもたれて、
千切れた雲の陰がビルの壁を走り抜ける様を
ぼんやり眺めいたら、
ビジネス用のブラウスの前を大きく広げた
やり手のキャリアウーマンみたいなのから、
二人、三人、と立て続けに、
ねえ、珈琲、一緒にどう?なんて声をかけられた。
なんだ、それ、と。
これ、ナンパってやつなんじゃないの、と。
そう、もちろんナンパ。誰もが一度はやってことある、そのナンパ。
ただ、女にナンパされたのは初めてだぜ、
なんて思って、おやおや、21世紀、色々あるね、
なんて苦笑いしてたけど、
いや、それ、違う、とはたっと気がついた。
昔、そう高校生のころ、
なにをするでもなく駅前で時間を潰してる時なんかに、
ねえ、どうしたの?、なんて感じで、
軽く声をかけられることがよくあった。
どうせ、覆面のメスポリか、
或いは、PTAの見回りか、
或いは、
ぼく、飴あげようか、の延長上のもの、
みたいな感じで、相手にしてなかったけど、
あれって、もしかして、そう、
ねえ、買ってあげようか、
って意味だったんだよな、
なんて、気が付かなかったよ、この歳まで。

そう、そう言えばおんなじ意味で、
十二時過ぎに通りすがりのティーンエイジャーから、
ねえ、火を貸してくれない?と聞かれたら、
それは、ねえ、遊ばない?って意味なんだよ、と言われて、
嘘だろ、俺それよくあるぜ、と思ってしまった。

いやあ、世の中、まだまだ、
秘密のサインで溢れているんだね。
人類まだまだ捨てたものじゃない、なんて、
ちょっとわくわくしてしまった夏の入り口。



この穴、なんですか?

Posted by 高見鈴虫 on 24.2007 今日の格言   0 comments   0 trackback
あのすみません、この穴なんですか?
あ!・・・すみません・・間違えました・・

始まったぞテニスチャンネル!

Posted by 高見鈴虫 on 28.2007 ニューヨーク徒然

そう言えば、
またテニス仲間たちと、
おおおお、
全仏テニス、そろそろだよね、待ち遠しいね、
なんて話してたら、
おっと、もう始まっていた(爆

毎度ながらこの詰めの甘さがなんとも俺たちらしい、ってところでさ。

で、今年の全仏、見所はなにか、
なんてことはとりあえず放っておいて、
あれ、テレビでやってないんだね、と。

そう朝起きて慌ててESPNつけたんだけどさ、
いつまでたっても、やれ釣りだ、とか、昨日の野球の結果、とか、
そんなのばかり。

で、そうそう、そう言えば、
前にまぶ達のテニ吉から、
テニスチャンネル、はやく入れなよ、全仏観れないよ、
なんてことを聞いていたような、と思い出して、
え?テニスチャンネルって何番だったの?
ああ、そう、455番なんだって。
455番?そんなチャンネルあったの?
なんて、今更ながらこの間の抜け方がなんとも俺らしい。

と言いながら、全仏のホームページ、観たら、
おっと、マラット君(サフィン)の試合、終わってるじゃねえか、
ひええええ、なんてこった、って、
いきなりのテンパリ。休日の朝から。

で、思い余って、ついにタイムワーナ、電話してしまった。

しかしながら、だ、タイムワーナー、
いつもの奴、機械のメッセージ。

お電話ありがとうございます。
名前が確認できません。
電話番号が確認できません。
住所が確認できません。
何言ってるか判りません、もう一度、何言ってるか判りません、もう一度、何言ってるか判りません、もう一度、何言って

るか判りません、もう一度、

あのなあ、と(笑
俺は急いでるんだぜ、と。

ああ、これだからアメリカは嫌いだ、と、またまた逆切れ寸前・・・・
でもさ、
冷静に考えて、連休中日の朝8時に、どこの馬鹿が仕事なんかしてるものか、
ああ、なんでESPNでやらないんだ、高度資本主義の馬鹿野郎、俺のフレンチオープンを返せ、
なんて、半べそでソファに倒れ込んでいたら、
いきなり、ハロー、お待たせしました、と。
出た・・・・奇跡だ・・・!

で、なんと、電話に出たひと、
信じられないぐらい親切なお兄さん、ちょっとおねえ入ってるけど、
で、
へえ、テニス好きなの?わたしもよ。素敵ね、なんて話しから始まって、
シャラポバはぜったいにレズになるわよ、とか、
ナダールはいつもお尻の穴をほじくってて可愛いわ、とか、
日本にはケーブルのチャンネルないの、ああ、衛星なのね、じゃあスーパーボールもマツオカも日本で観れるんだ、とか、
HBOは6フィートアンダーが終わってやめちゃったんだ、映画はユーチューブで見れるから、とか、
ソプラノは観ないの、それがあたしの主義なの、わかる?とか、
しまいには、
ねえ、そろそろ、ゲイ・チャンネルってできてもいいと思わない、
なんて、
おいおい、朝から何を話してるんだよって(笑
したら、
ねえ、あなた、どうしてこんなへんな契約してらっしゃるの、と。
ちょっと待って、あたしがいいことしてあげる、うふふふ、なんて怪しい沈黙の後、
さあああ、眼を開けてみてええ、なにが見える?
って、いきなり髭面のオカマが画面一杯に、かと思ったら、
おおおおおお、フェデラやんけえ、おお、ナダールも一緒だ、
ええええ、ってことは、なんだなんだ、と、
どう気に入ってくれた?あたしのプレゼント。プロモーションのチャンネル、全部ONにしてあげたわよ、だって・・・・
もしかしてこれ、21世紀へようこそってこと?
お電話ありがと、セクシーボイスさん、よいご週末を、
ってな感じで、
あれまあ、なんだよ、1914チャンネル・・・なんだよそれ、
あのなあチャンネルが2千もあったら一周するだけでも3日かかるじゃねえか、なんて。
まるでテリーボジオのドラムセットだ、なんて。
そう、これがデジタル・チャンネル、というもの、らしい(笑
と言う訳で、
一瞬のうちにいきなりお茶の間にとんでもないものが転がり込んで来てしまったのでした。
やんややんや!

と言う訳で相方。まだ寝てる。口開けて。
テニスエルボーが悪化してから不機嫌きわまりない。
で、
おいおい、テニスチャンネルが入ったよ、ただにしてくれた。
フレンチオープンやってるんだよ、
と枕元でなんど繰り返しても、むにゃむにゃと寝返りをうつばかり・・
むむむ、俺またなんかやったかな、と思ったら、
そうか、そう、そう言えば、
今年の全仏はパリに行って生で観よう、なんてことを言っていたような、ないような・・・
完全に忘れてた・・・

そう、この連休もまったく予定なし。
だって、金曜日になるまで月曜日が休みなんて知らなかったのだもの・・・
で、昨日はいきなり炎天下でテニス、
がっついてやったらいきなり腰痛が悪化、相方は肘が痛くて茶碗も持てない始末・・・
で今朝は朝から筋肉痛。手も足もパンパンで立ち上がるのも呻きまくり。
うーん。この計画性のなさがまさしく俺だ・・・

という訳で、始まったぞテニスチャンネル、
じゃなくて、フレンチオープン!
と、勢い込んで観てるんだけど、あれ、雨?・・・・・・・
そう、パリはずっと、雨!なのでした・・・

なんだってさ、メルドゥ!行かなくてよかったね、
と言ったら相方、始めて笑ったな。

ではでは、今日のテニスは夕方からにします。
雨が降らなければいいけどね。


            ~遠方の友に宛てたメールより

  

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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