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誇りのためなら糞でも食う、なんて、糞しか食えない奴が良く言うぜ、と。

Posted by 高見鈴虫 on 01.2007 旅の言葉   0 comments   0 trackback
カストロが死んだのか?

そう。
なにかちょっと寂しい。
そしてちょっと不安を感じる。
もう駄目だろうな。
まあ良かったんだろう。
ただ、ちょっと、寂しい、ただそれだけ。

とりあえず、
まあいつものように憎まれ口から。
つまりは、だ、
人間は糞を食っては生きられない、と。
そんな当たり前のことを、
ただ証明した、やっぱりな、とそれだけで終わるのだろう。
誇りは食えない、からな。
では、誇りを捨ててなにを食べる?
誇りを捨てても糞しか食えない、
あるいは、誇りを捨てたおかげで、
糞よりもちょっとはましな、
つまりは、金持ちの酔っ払いの吐いたゲロ、
ぐらいは食べられるのかもしれない。
ゲロと糞で、なんの差があるのか。
糞よりゲロがましか?
と、
つまりはそんな次元の話になるんだよな、多分。
騙されて犯されてひん剥かれて丸裸にされた挙句、
女はすべて娼婦となり、男はすべてギャングになって、
つまりはそういうことだろうと思う。

誇りを守るためなら糞でも食う、とマルケスは言ったが、
糞しか食えない人間が、糞でも食う、という言い方はできないだろう。
誇りを守るために、今日も糞しか食えない、明日も、あさっても、多分一生、それでも満足だ、満足か?
と、言うべきだと思った。
だって、
守るべき誇りなんか欠片もないのに、
糞しか食えない人がたくさんいるのだから。
そんな人に、自身が糞しか食えないことと言い訳として、
誇りのために糞でも食う、という言い方は、詭弁だ、と。

という訳でキューバ、
ひどい国だったね。
ひどい、と言ってしまうのが、
かわいそうになるほど、
あるいは、
ひどいのは周知の事実として、
それは脇に置いておいて、
という大前提に立たないとなにも語れないぐらいに、
ひどい国だった。

いまだから言うが、
俺はキューバにいる間、
ずっと胃の裏側にキリキリと痛みを感じていた。
あのときにタバコをやめるために噛んでいた、
ニコチンガムのせいか、と思っていたが、
不思議なことに、メキシコに抜けた途端に
胃の痛みのことはいつのまにか忘れていた。
あれは今でも思っているが、
胃、つまりは、神経が、
ここはお前にとって一番やばいなにかがある場所だぞ、
と警戒していたのに違いない。
なにか、と思う。
なんだろう。
つまり、まあ、そう、たぶん、それだろう。
だから多分、うわさはすべて事実だ、ということだ。

ただ、
誤解を恐れずに言うとすれば、
ハバナ、あれほど愛しい街はなかった。
今でも愛している。
まるで、かの地に残した恋人のように。
一生忘れないと誓った恋人のように。

俺はいまだから言うが、
ハバナから飛び立つ飛行機の中で、泣いた。
今でもハバナを想っている。
忘れたことはない。
そんな街は世界中どこにもない、
とそれだけは言っておく。

この世で最も健全なゲットー

Posted by 高見鈴虫 on 01.2007 旅の言葉   0 comments   0 trackback
廃墟マニアの俺的には、
世界でもっとも安全な廃墟、
という意味で、
ハバナの旧市街はまるで
夢のような場所だったのだが、
そう、
あれと同じぐらいの廃墟というと、
たとえばサウスブロンクスとか、
たとえばパナマの旧市街裏手になるのだが、
それほど気楽に歩ける場所じゃないよな。

ああ、あそこがただの廃墟、
つまり、普通にやばい場所に戻ってしまうってのは、
まあ、自然の成り行きなんだろうが、
ちょっと寂しいな。

USOPEN2007

Posted by 高見鈴虫 on 04.2007 テニスねた
トロントから奇跡の生還!
した途端に、天井は落ちる、テレビは壊れる、PCはぶっ飛ぶ、の大混乱、
おまけに電話はなり続け、
駄目押しとばかりにLAからマブダチが参上。
旅の垢、どころか、
出張中の汚れ物から書類の山から領収書の束から、
なにひとつとして手付かずのまま、
いきなり!USOPEN2007に突入。
いやあ、この3連休、天気良かったよねえ。
もうねえ、地獄の暑さ。逃げるところもなし、ってな訳で、
全身火脹れ、土方焼けの局地。
サングラスの跡、どころか、LIVESTRONGの腕輪から、
肩先のほつれから、出張中につけた引っかき傷まで、
克明に焼きこんで刻みこんで、
一生消えない火傷の跡になってしまったような。

という訳で、USOPEN2007、行ってきました、隅から隅まで。

まあね、買ったチケットはグランド・アドミッションって言って、
本場の大スタジアム・アーサーアッシュを取り囲む、
予選コートみたいの入り放題パス、みたいのだったんだけどさ。
でもねえ、
自称・通好みのこのグランド・アドミッション、
なにがすごいって、超一流に一歩足らないぐらいの選手達の、
息吹から汗の雫から涎から悔し涙嬉し涙、
直接に飛んでくるあの間近さ。
ボールがフェンスを直撃するたびに飛び上がるぐらいの、
あの至近距離で直視する世界レベルの迫力って言ったらないぜ、と。
まるで神業に次ぐ神業、奇跡に次ぐ奇跡。
お手本というよりは、むしろサーカスに近い、という、
まったく持って、
いやあ、プロって本当に凄いんですね、と、
もろに実感。
あああああ、もう、
叩きのめすだけ叩きのめしてくれ、
と、まさにそんな感じで、泣きまくり吼えまくり。

という訳で、朝8時から夜は11時過ぎまで、
練習用コートからジュニアの試合から駆けずり回って、
カルロス・モヤの5セットの死闘からアンディ・マレーのゴミ箱蹴りから、
エレナ・ヤンコビッチのおならからサニア・ミルザの涎まで、
いやあ、USOPEN 大満喫!

一年間、バケーション取らずに休暇貯めておいた甲斐があったなあ、と。

NYCに神様が満ち満ちていた休日でした。

ではでは。詳細はまた後ほど。



            ~遠方の友に宛てたメールより



歳の差というよりは文化の差

Posted by 高見鈴虫 on 04.2007 嘗て知った結末   0 comments   0 trackback
20近く歳の離れた女の子から、
あなたと話をしていると、
歳の差というよりは、
文化の差、という感じがする。
ガイジン、と話しているみたい、な、
カルチャーギャップって感じかも、
と言われた。

これって誉めているんだろうか、馬鹿にされているのだうか。

瞳にスティング

Posted by 高見鈴虫 on 11.2007 嘗て知った結末   0 comments   0 trackback
あの、改めて質問なんですが、
瞳にスティングのある子っているじゃない?
ずっと昔の歌、瞳は百万ボルト、じゃないけどさ。
そう、視線の中に
一瞬、頭がスパークしちゃうぐらい
強烈なスティングを持ってる子。
あれってさ、わざとやってるの?
というか、やろうとしてできるものなの?
レーザー光線、発射!みたく。
或いは、生まれ持った才能みたいなものなの?
最近、食らってないなあ、スティング光線。

USOPEN2007閉幕~フェデラで始まりフェデラで夏が終わってしまった

Posted by 高見鈴虫 on 11.2007 テニスねた
USOPEN、終わっちゃったね。

毎年この季節になると、どっと疲れが出て,
あるいはただただ呆然という感じ。
思い起こせば6月の全仏からそれに続くウィンブルドン。
そして怒涛のように押し寄せるUSOPENまで。
フェデラだナダルだジョコだヤンコだジャスティンだ、
と手に汗握っているうちにあっという間に月日が過ぎて、
そしてふと、見渡すNYC。
ああ、夏も終わりなのか、と。
ところで今年の夏ってなんだったのか、と。
つまりはフェデラだったのか、と。
それだけなのか、と
という訳ではっと我に返る9月。
そう、毎年のこと。
ああ、もう1月の末の全豪まで、テニス無いのか、と。
やっと普通の生活に戻れたな、と思う反面、
あああ、燃え尽きている・・・完全に。
これからいったい何をして過ごせばいいのか、
と思わず途方に暮れてしまって。

という訳で開幕から終了まで、
たった一滴の雨も降らなかったUSOPEN2007。
スケジュールもあんまり順当過ぎて、
毎年恒例の天気待ちも無い代わりに、
雨で崩れたスケジュールで思わぬ大物が目の前に、
なんて番狂わせも無し。
よって一番楽しみだったジョコビッチもイワノビッチも、
本当はやっぱり一番見たかったフェデラもナダルも
予定通りアッシュに持ってかれちゃったのは残念だったけど、
まあ、その代わりと言ってはなんだけど、
毎年恒例のカルロス・モヤのガチンコ5セットマッチも、
サニア・ミルザとアンナ・チャクベタゼという
ちょっと出来すぎぐらいの夢の可愛い子ちゃん対決も、
キリレンコちゃんもヒンギスもヤンコもハンチェコバも愛ちゃんも
ばっちり最前列で観戦できたし。
実はちょっと楽しみにしていたフェデラ・ナダルの頂上対決は逃したけど、
今一番の注目株のジョコビッチ(!)が、
それなりの結果を出せたのは
これからのテニスがますます面白くなる予感むんむん。
いやあ、今更ながら、今のテニス、面白いよ。
フェデラが出てからというもの、
すべての常識という常識が覆されて、
彗星のように現れたあまりにも完璧な王者・フェデラに、
アガシからサンプラスから、
ロディックからヒューイットからサフィンから
歴代のチャンピオンが完膚なきまでに叩きのめされて一毛打尽。
ああ、もうこれは、フェデラがいる限り、
決勝戦は永遠にベーグル食わされて終わりか、
と思いきや、
その代わりに命知らずの若手連中達が、
王者への挑戦権を手に入れる為に、
しのぎを削っての壮絶ながちんこ合戦。
まるで次から次へと雨後のたけのこ状態。
その狂騒振りといったらもう息もつけないぐらい。
この白熱があっと今にテニス界全体のレベルを、
一段も二段も三段も、一挙に押し上げてしまった、と。

という訳で、さあ誰なんだ、と。
フェデラを倒すのは、いったいどいつなんだ、と。
俺的には、ナダールよりはむしろジョコビッチ、
あるいはベルディッヒ、バグダディス、アンチッチ、
モナコにデルトロにガスケにマーレーに
いやいやいや、そんな年よりは駄目でしょう、
フェデラの天下があと10年続くとして、
ということは今のジュニアのその前から
有望株を探さねば、なんて。

という訳で、そう、
なには無くとも、やはりフェデラでしょう。
無敵の王者、ライオン丸。
この人を置いてほかにはない、というか、
太陽は昇らず地球は回らない。
ロジャー・フェデラー
まさに、テニスというスポーツの生んだひとつの完成品。
見るだけで後光が射す、というか、
もう、あの身のこなしをこの目で見ただけで、
まるで身体がふわふわ浮いてしまうような、
そんな超能力的に物凄い存在のフェデラ。
誰もが狂わしいばかりに憧れて憧れて憧れて、
それが故にどうしてもフェデラを倒したい熱情に
テニス界すべてが熱病にかかっているような。

決勝のジョコビッチが、セットポイントを何度も手中にしながら
どうしても決められずに悶絶する姿、
ああ、ジョコビ、やっぱりフェデラが好きで好きで堪らないんだな、
と改めて思った。
その存在があまりにも大きすぎるばかりに、
この俺がフェデラからセットを取るなんて、
という重圧に自らが押しつぶされた、というような。
そう、敵という敵のすべてがフェデラの大ファン。
フェデラを好きでない人間がテニス界にいるものか、って感じ。
だってねえ、格好いいんだもん。ほんと。
ジョコもナダルもマリアもロディも、
ラケット持ってボール打てる人なら誰でも、
そう、フェデラが好きでない筈がない。
そう、この無敵のオーラーが輝いている限り、
誰が挑戦してもやはり時期尚早というか。
という訳で、
フェデラの天下、まだまだ続きそう、
あるいは、続いて欲しい永遠に。

という訳でUSOPEN2007。
やはり思ったとおり、フェデラで始まりフェデラで終わった、と。
そして終わった途端のその夜、
まってましたとばかりに雨が降りはじめて。
そんな訳で勇んでかけつけた早朝テニス、
着いたテニスコートは一面水浸し。
あんぐりと空いた口に吹き込む風の冷たさに、
ああ、もしかして、もう秋なのか、と。

という訳で、ふと手に取った本、
なんかするすると、まるで活字が脳みそにしみこむようで、
そしてふと流れてきたメロディ、
まるで身体がとろけるように旋律が広がって、
ああ、映画とか見てみたいな、とか、
そう言えばそろそろレンブラント展が始まるな、とか、
そう言えばドラムもぜんぜん叩いてないな、とか、
そう言えば試験勉強もぜんぜんしていないし、
そうそう、そんなことよりまずは職探し、なんて。
そう、ようやく普通の暮らしという奴に戻ってきた訳なのでした。

という訳で、帰ってまいりました普通の世界。
みなさま、正気に戻ったわたくしめを、
またまたなにとぞ宜しくお願いしまんねん。



            ~遠方の友に宛てたメールより


メキシコの旅楽団

Posted by 高見鈴虫 on 11.2007 旅の言葉   0 comments   0 trackback
メキシコを旅していたときに、
泊っていた安宿で旅楽団の一座と一緒になったことがある。
町外れにある、ダンスホール、と言っても、
まあ体のいいパンパン屋敷なのだが、
そこで真夜中まで演奏した後、
毎晩毎晩、ギャラ代わりに出されたテキーラでべろんべろん、
売れ残りの女どもと肩を組んで帰って来ては、
廊下でギターをかき鳴らしは、靴の踵を鳴らして歌えや踊れの大騒ぎ。
ようやく明け方近くに各自の部屋に落ち着いては、
夜明けのコケコッコーも驚いて寝床に駆け込むぐらいの大アヘアヘ大会。
隣りの部屋から、もそもそもそ、が始まり、それがギシギシと揺れ始めると、
押し殺した呻き声と荒い吐息が満ち溢れるや、
あっちでもこっちでも、上から下からが、アヘアヘぎしぎしの大コーラス、
あれ、上の部屋からは女の声が聞こえないが、
と思うと、そうか、あいつ、今日も一人か、と苦笑い。
そうこうするうちに、コケッと一声高く泣き叫ぶや、
一瞬水を打ったような沈黙の後に、パタリ、とトイレのドアを閉める音。
ああ、終わったみたい、と。
で、それが次から次に、波が広まるようにと静まり初めて、
その代わりに、クスクス、こそこそ、と寝際のおしゃべりの波紋が広まりながら、
いつのまにか一人二人、と廊下のロビーに集まり初めて、
寝際のタバコがてらビールを一本。
部屋の奥から女どもの幸せそうな寝息を聞きながら、
押し殺した声で囁く男達の会話、なんかしんみりとしていいもんだな、と。
しかしながら、
それでも、一部屋、二部屋、アヘアヘぎしぎし、がこれでもか、と続いていて、
おやおや、あいつ、アントニオの奴、今日もがんばるな、いやはやまいったぜ、と。
いやいや、俺だって若い頃はなあ、なんてクスクス笑い。
そう言ってるそばから、
恥も外聞もかなぐり捨てた大絶叫。
あへあへ、もう、死んでしまうわ、死ね死ね、死んでまえ!
あんあん、もう天国、天国、そのまま飛んでけ飛んでけ!
おいおい、来たわ来たわ、行ってまえ、行ってまえ、
ほらほら、まだまだ、行け行け、とまれとまれ、早く早く進め進め、
なんて歓声を上げながら、
そんな野次馬もどこ吹く風、というか、それどころじゃない大絶叫、
もう駄目、まだ駄目、やめてやめて、やめないで、そこそこ、これこれ、上よ下よ。
なんて声を聴かされているうちに、なんか一同思わず生唾ごっくり。
とするうちに、寝静まった筈のドアの奥から、ねえ、あんた、の掠れた声。
おいおい、第2ラウンドかい?なんて。おっさん、がんばるねえ、と。
気がつくと外はもう既に朝。
車の走る音と、ブエノス・ディアスの挨拶と、
デサユノの珈琲とトルティージャの焼ける匂いが漂う中、
あっちの部屋でこっちの部屋で、第二ラウンドのアヘアヘぎしぎしが厳かに響き初めて、
おいおいおい、この罰当たりめ。
お天道様に申し訳が立たないな、なんて。

ふとドアをノックする音、腰にバスタオル一枚のアントニオ、
悪い、タバコくれないかな、できれば2本、なんて。

この小男の不細工なちじれ毛のちんけなドラマーが、
どう考えても釣り合わない別嬪娘をいとも簡単にGETしてくるって理由も、
実は誰もが知っている周知の事実。
ってことはだ、
団長のリカルドが最近顔色が冴えないのも、
トランペットのダビ夫婦が喧嘩ばかりしているのも、
ベーシストのオルランドがまた彼女に逃げられたのも、
つまりはそういうことで、
ああ、何もかもがあからさまなこの旅楽団、
今日も今日とて、
世間の喧騒を尻目に一日中寝て過ごしては、
夜の訪れと共に場末のダンスホールで愛の歌を奏でて、
朝が来るまで歌え踊れの乱痴気騒ぎ。
行きずりの恋と道連れの愛の狭間で、
今日も今日とて勝ち抜きのラブラブ合戦。
ああ、バンドマン、格好よすぎる、
と改めて関心してしまったものであった。

両切りのキャメルの頃

Posted by 高見鈴虫 on 17.2007 嘗て知った結末   0 comments   0 trackback
ふとしたことからまたタバコを吸い始めてしった。

あれだけ苦労してやめたのに。
お前は馬鹿か、と言う感じ(笑

吸い始めたときに感じていたあのクラクラ感、
おおお、中学生の時に味がする!
という新鮮な感動も今は無し。
ちょっと切らしていると指先が痺れ始めて、
なんか苛々と落ち着かず、
おお、身体がニコチンを求めている、と。
そう、つまり元の木阿弥。
身体がニコチンに征服された証拠。

ただね、
久しぶりに参加したスモーカーズ・コミュニティ、
なんか罪を分かち合うみたいな、おかしな仲間意識、
ちょっと久しぶりで、
そうそう、昔はこうやって、
タバコを通じて垣根を越えた人間関係みたいなものがあったよな、
なんて。
そう、それは新たなる発見だったかな、と。

うーん、でも、やっぱりこれ、良くないなあ、と改めて思う。

まあ俺自身、今更生きさらばえたからと言って、
別にどうこうという将来の展望もなく(笑
死んでいった友に逢えることのほうが楽しみかな、
と思わないでもないんだけど(笑

ただ、せっせと健康食を作ってくれるかみさんに申し訳が立たないな、と。
それが一番の理由かもしれない。

そう、人間、自分の為だけになんて生きてないよね。
これは相当にやばい、という状況に陥った時、
不思議と浮かんでくるかみさんの姿、
これはちょっと感動であったりもするわけで。

二十歳になる前には死んでやる、と嘯いていた十代の頃や、
面白そうな危険地帯に度胸試しのつもりでいちいち顔を突っ込んでいた頃や、
或いは、
気ままな一人旅の放埓も、
セックスもドラッグもロックンロールも、
つまり俺の半生を支えてきた真情みたいなものも、
この曖昧な拘束の中に絡め取られて、
おいおい、兄ちゃん、ずいぶんと腑抜けになったものじゃねえか、
との内なる声も最近すっかりと鳴りを潜めて、
つまりはそういうことかよ、
あれほど馬鹿にしていた”退屈な大人”って奴に落ち着いちまうってことかよ、
なんて。

でもさ、
退屈な大人にしか判らないささやかな幸せという奴もあるわけで、
そのわだちの中に捕まらないうちに死んでいった友には、
お前、これを知らずに死んじまったんだよな、
と、ちょっと憐憫の情も感じない訳じゃない訳で。
そう、年を食わなくっちゃ判らないことってのも多かったんだぜ、なんて。
俺たちがぶちのめしたつもりになっていた、
あの退屈な大人たちの言い分を改めて嘯いてみたり。

俺がタバコをくわえていた頃、
そう、いつも変らぬ両切りのキャメル。
胡乱な夏をやり過ごした溜まり場の喫茶店のテーブル。
ハートに火をつけてを口ずさみながら江ノ島への海岸通りをぶっ飛ばしていた頃、
まぶしいスポットライトに目を焼きながらさあ始めるか、とカウントを刻み始める時、
残業上がりの夜明けの新宿をとぼとぼと背中丸めて始発の待つ駅に向かっていた時にも、
足元を吹き抜ける砂嵐に呆然と砂漠の地平線を見渡していた時も、
朝まで過ごしたハウスミュージックの轟音からいきなり街に転がり出た時の新鮮な空虚も、
いつもくわえていた両切りのキャメル。
あいつらと過ごした時間、駆け抜けていった時間。
あいつと別れた時に、ずっとくわえていたタバコ。
喉に絡み付いて、煙が目に沁みて、
ああ、この後悔を心に刻み付けるためにも、止めてしまえこんなもの、
と誓ったタバコ。

やはりやめよう、と思った。

という訳で、
休日出社の土曜日、友の引き出しからちくったタバコを一本、耳に挟んで、
お気に入りのイーストリバー、ブルックリン橋を見渡すベンチの上で、
あの頃のテーマ曲、BORN TO LOOSEを歌いながら
友よ、てめえらの分も俺は長生きさせてもらうぜ、
と、吸いかけのタバコを投げ捨ててやることにしよう。

俺が監獄、てめえは棺桶、上等だろ?

Posted by 高見鈴虫 on 23.2007 嘗て知った結末   0 comments   0 trackback
どういう訳だか、
こんな時期にHRから呼び出し。

こともあろうにあのチンカス野郎が、
俺宛にイエローカードを出せ、
とHRにリクエストをして来たのだそうだ。

面談に来たキャシー、
まあ今回はもみ消すけどさ、
あなたらしくもない、
あんな人まともに相手にしないで、
適当にあしらっていればいいのに、と。

だってなきゃしー、
言わせて貰えばあのチンカス野郎、
こともあろうに俺の女に横恋慕、
真夜中10回も20回も無言電話入れてきやがってだなあ、
とは言うに言えずに、
まあな、ありがとうさん、
と言ったきりふって腐れて無言のまま。

で、なにか彼に、メッセージある?
と聞かれて、待ってましたとばかりに、

このチンカス野郎、
てめえが俺の半径5M以内に足を踏み入れた時には、
俺が監獄にはいるか、
てめえが棺桶に入るか、
あるいは多分そのどちらもだってことを忘れんじゃねえぞ、と。

あれあれ、とキャシー。
呆れ顔ながらなんとなくはしゃいだ顔。

格好いいわ、とウインク一つ残してドアを閉めた。



BLACK’N’BLUE 金曜の夜26時

Posted by 高見鈴虫 on 29.2007 嘗て知った結末   0 comments   0 trackback
金曜の夜に、11時まで仕事。
その後、今日で退職する社員(男)とふたり、
最後だから飯でも食うか、奢ってやるよ、と大盤振る舞い。

で、なんか、殺伐とした気分。
だって男二人だぜ、金曜の夜に(笑
おんなでもひっかけに行くか、なんて話ながら、
このダサい格好。この重いかばん。
おいおい、つくづく俺ってダサい中年になったなあ、と。

で、奴と別れた後、
ああ、誰かと話がしたいな、なんて、柄にもなく。
慣れない酒なんか飲んだせいかな、なんて。
会社の女の子に、ねえ、どこで飲んでるの?なんて電話してみようか、とか、
携帯の時計を見たら、もう12時半、
さすがにまずいだろう、と(笑

そう、まずい。
こんな時間に電話なんかしちゃったら、
それこそまずい。
嫌われて終わり、ならまだいいけど、
下手に電話に出られたりしたら、それこそまずい!
そう、それだけはまずい。
仕事にかまけて会社のおんなにお手つきだってさ、
おいおいおい、
これいくらなんでもダサ過ぎる。
そう、俺、どうせ転ぶなら、圭子ちゃんと心に決めてるから(笑
と言うわけで、
凹んだ気持ちをタバコで静めながらふらふら彷徨う夜の街。

だってさ、
こんな状態でどうでもいい若い女なんかと遊びまわっていたら
それこそあいつに申し訳がたたないしさ、
なんて、
しみじみと帰りついた1時過ぎ、
したら、あれ、あいつが、いない・・・・
おいおいおいと(笑

と言うわけで、金曜の夜、26時、
部屋に一人、
大音響で昔好きだったローリング・ストーンズなんて聞いてる。
BLACK AND BLUE,
青痣ってアルバム。
30過ぎた男の、浮気して家族ふいして逃げて、
でもでもでも、で、結局女と別れて、でも帰るところもなし、と。
ありふれた七転八倒の物語。
どこにでもある茶番話が、
ああ、歌詞が身にしみて、涙がにじみそう。

明日の土曜日も朝から仕事。
完全にノーライフ。
ああ、こんな暮らし、こんな人生、なんて、
憩いは必要だよ、なんて、自分に言い訳して、
またタバコを一本。

ああ、俺の圭子ちゃん、今頃なにしてるかな、とか、
ああ、金曜日だし、また真っ最中の頃かな、なんて。
つくづく羨ましいぜ。

あ、ここで言い訳、
実はずっと思ってたこと、
俺、やっぱ男だし、
だから、遊びで付き合う女の子に、
遊んでやった、ってな印象しかなくて、
だから、遊ばれたほうの女の子にも、
遊んでやった、という意識があるなんて、思いもよらなかったから、
ああ、あいつ、遊ばれちゃってるのかな、
なんて思って、一人で滅入ってたけど、
そう、
そんなことないよね。女の子、そんなに弱くない。
俺、自分を、あるいは、男というものを、買い被っていたみたい。

女が強くなった、というのはつまりそういうことで、
男の独りよがりが茶番になったのも、つまりはそういうことで、
そう、イーブンなんだよね、みんな。平等だよ、って。

女が強くなってよかったな、とつくづく思った。
幸せになるには、まずは強さが必要なんだよね。

ああ、凹んでしまった。久しぶりに。酒なんか飲むからだよね。

でも久しぶりに、
真夜中の湘南通りとか、
ガラスの破片が散りばめられたような六本木の交差点とか、
夜明けの新宿とか、
なんか思い出しちゃったよ。

ああ、ごめんなさい。酔っ払ってしまった。
明日は朝8時から仕事。
もう寝ます。
目が覚めたらまたいつもの俺に戻っていますように。

じゃね、おやすみ
XXX
  

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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