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大恐慌~何もかも失ってしまった時に身体一つでできること、についてちょっと考えてみ

Posted by 高見鈴虫 on 03.2008 アメリカ爺時事
世の中、不況だそうで。
しかも大恐慌ってな噂もあって。
実際の大恐慌がいったいどんな按配なのか、
ちょっとイメージが沸かないところがありますが。

で、例えば、
何もかも失ってしまった時、
身体一つでできること、についてちょっと考えてみると、

まあ一般的には、
男はドカチン、女はパンパン(またその逆も可)
と言うのが定番。

ですが、これはちょっと面白みが無さ杉。

どうせなら、
もうちょっと自分らしさみたいなものを考えてみたい。

で、俺のばやい。

「バンドマン」
まあROCK系に限ればテクにはちょっと自信があるけど、
あ、でも、そう言えば、ショケンができない。

「テニスコーチ」
冷静に考えてみると、やっぱり俺、それほど上手くない。
それにタイブレークのルールも知らないぐらいで(笑
うーん。やっぱり下手の横好きと言う奴。

「PC修理」
うん、これはいけるかも。でもつまらなそうだな。

「用心棒」
幾らがんばってみても、所詮はしろうと相手が限界でしょうねえ。

なら
「口喧嘩師」
あ、これ、端的に言ってただの弁護士。なあんだ。

「ポン引き」
逆に女の子のパシリにされそう

「タクシーの運転手」
方向音痴なのでGPSがあればなんとか

「空き缶あつめ」
根気がないからなあ

「賭けバックギャモン師」
これもしろうと相手なら。
でも賽の目を動かせなくっちゃ駄目ですね。

「ドラッグディーラー」
売る前に全部使い切ってしまう、という最悪のパターンか。

「似顔絵画家」
出来上がったとたん逆にぶん殴られそうな気もする

「犬の散歩師」
人間の女性には鼻もひっかけられないが、
どういう訳だか犬にだけは大人気のたかみいくん。
うんうん、これいけるかも。ただお金を払ってくれるのは人間なんだよね。

「バイクメッセンジャー」
さすがに冬の寒空の下をちゃりんこコキコキってのは辛そうですねえ。

「日本語教師」
あ、その前に正しい英語が喋れない

うーん、手詰まりですねえ。
このままでは割と簡単に進退窮まっちゃう気がする。

で、ちょっとお知恵を拝借でググッてみると、

「食」の分野であれば、寿司職人、和菓子職人、パン職人
「医」の分野であれば、あんま・マッサージ、指圧士、整体士
「美」の分野であれば、美容師、理容師、ネイルアーティスト
「衣」の分野であれば、和裁、洋裁、リフォーマー
「住」の分野であれば、大工、電気工事士、左官、内装工など

うーん、ひとつも引っかからないなあ。

どうしよう。煮詰まってきた。
ので、もう寝ます。

ああ、寝ているだけの仕事ってないのかな・・・
ああ、それってホームレスだ。おいおい。

SICKDAY

Posted by 高見鈴虫 on 06.2008 ニューヨーク徒然
最近ちょっとニホンの知人に不幸が相次いでさ。
で、今日は柄にも無くSICKDAYなんてものを取って、
健康診断なるものに行って来た。

案内された診察室の個室で待たされている間、
紙のローブに着替えさせられてやることもなく、
なんとなくスカスカして心もとない紙ローブ。
時間を持て余して暇つぶしに、
診察台の上で腹筋とか柔軟とかをやっていたんだけど、
その間にふと眠くなって、で、変な夢を見た。

この手術を受ければ一生にわたって女要らず。
その名も自分フェラチオ手術によって、
一生涯、最高の快楽を保障します。
みたいな(笑

で、なんとなく、
背中を丸めて自分フェラチオに没頭するおさーんのイメージなんかが脳裏に浮かんで来て、
夢の中でひっひっひとちんけ笑い。
でも、男だったらまだしも、もしかして女版のそれ。
女版自分クンニってのだと、
もう背中の丸め方が半端じゃなくて、それってまさに便所虫状態。
これは凄いな、苦行だな、なんて思っていたら、
はあい、お待たせしました、と先生のご入室。

どこか悪いところありますか?
いや、あの、ぜんぜんありません。
はーい、じゃあ、血圧と脈拍調べますので、
なんてのを、寝ぼけた頭で言われるままにはいはいとやっていたら。
はい、では横になってください。
で、なんとなく足物のスカスカする紙ローブ、
その裾を開かれて、
はい、では、お腹押しますよ、はーい。
痛いところ無いですか?いやあの、くすぐったいだけで、
とか、まあ間の抜けた会話。

で、はい、では、と、
パンツの中に手を突っ込まれたかと思うと、
無骨な手でいきなりキンタマをむんずと掴まれてぐりぐり。
思わず、そう、思わず、
キャッキャッキャッキャッキャ、と猿笑い。
で、身を捩って、てめえ、何するんだ、と思わず怒鳴ってしまった。
あ、いや、これ、前立腺の検査で、
と困り顔のお医者さん。
前立腺?んだそれ、と照れ隠ししながらも、
ちょっとちょっと、それ駄目、やめてください、とまじで懇願。
いや、だから、前立腺の、
いや、だから、それ結構です、と。
そんな押し問答の末、
痛いところないですか?
いや、あの、くすぐったいだけで。
しこりとか無いですか?
無い無い、だからやめて。
もしかして、女の先生だったらOKとか?
まさか、そういう問題じゃないですよ、と、
思わず身を捩って診察台を飛び降りて。

まあ、その年齢でそれだけ元気なら大丈夫。
それぐらい自分が一番よく知っています。
ならまあ、そういう訳で、とお医者さん。

では、看護婦がサイケツとニョーケンサに来ますので、
その後、上の部屋のレントゲン撮って帰ってください、と。

思わず一人残された診察室で胸を撫で下ろして。
んだよ、汗かいちゃったよ、と。
俺って割りと可愛いところあるな、なんて。

で、次に入ってきた中年の看護婦さん。

はい、ではこのコップと、これで、オニョーのデルサキを拭いてください、
とケンタでもらえる紙濡れナプキンを渡されて。
え?あの、なんですか?
ですから、あの、オニョーのデルサキ。
オニョー?デルサキ?それ日本語ですか?
ですから、
ああ、チンチンですか?
まあ、その、そうですね、と仏頂面。
え、だから、チンチン?とそれ以上繰り返したらただのセクハラ。
こんなおばはんにセクハラしてもしょうがない、と、言われるままにトイレに入って、
ああ、と思わず、オニョーのデルサキ。
そう言えば最近めっきりご無沙汰かな、なんて。

でもさ、かみさんに触られてもぜんぜん大丈夫なこのオニョーのデルサキ。
よりによってあんな中年おやじに触られて身を捩ってしまうとは俺も情けない、
なんか人間って妙だよな、と。

ちょっと変な経験をしたSICKDAYであつた。

歯医者の診察台で、変な着メロについて考える

Posted by 高見鈴虫 on 06.2008 ニューヨーク徒然
歯医者に行くと、いつも寝てしまう。
麻酔なんてした日には一撃で、
治療をしながら自分のいびきで目が覚めたことがある。

今日もクリーニングなんてものに行ったのだが、
診察台に寝かされて、眩しいライトに目を瞑っているうちに夢心地。

なんかどこかで犬の鳴き声がして、
あれ、携帯かな、とか変なことを思っていて。
そう言えば、動物の鳴き声の着メロってないよな、
なんてことを考えていて。
猫の、ニャーニャーは、聞こえないかもしれないから、
ワンワンワンワンワン、のキチガイ犬、とか。
豚のブイブイブイブイは、まさに振動音。
キーキーキーの山猿の音はあまりに耳障りだけど、
パオーと響く象の雄叫びだったら思わずすぐに電話に出ちゃうよな、とか。

で、そしてら、
だったら、
八百屋の声でもいいんじゃないのかな、
はーい、はーい、イラッシャイイラッシャイイラッシャイ、っていうあの掛け声、とか。
だったらタケヤー、さお竹、でも良かったりして。
だったら、ピンポーン、ちわー、配達でーす、でも良くて。
で、団地妻のアヘアヘ、アンアンアン、イーイーイッチャウイッチャウ、
はこれはどこにでもありそうだけど、
恫喝するヤクザ、コラ!起きんかい!なめくさっとるんかい、このボケが、
は、ちょっと趣味が悪すぎか。

でもさ、だったらだったら、
オナラの音の着メロがあってもいいじゃないのかな、とか。
静まり返ったオフィスの中で、
あるいはこの歯医者の診察台の上で、
いきなりポケットの奥から鳴り響く、ブー、とオナラの音。
おっとぉ!と思わず飛び上がってしまったり、なんて。
割と微笑ましくてよくない?なんて、ことを考えていたら、
なんとなとなくひっひっひ、と笑いたくなって。

あれ、これ笛のテストじゃんか、と。
笑っちゃいけない時に限って笑いたくなる、
俺の悪い癖。

思わず、あの、すみません、と口を濯がせてもらって。
で、正直に、
あの、オナラの音の着メロがあったら素敵だと思いませんか?
と、言おうとして、
言ったところでどうなる、馬鹿かこいつは、と思われるのが落ちか、
と思った途端にぜんぜん面白くなくなって、
で、再び、はい、口を開けてください、で夢心地。

ああ、俺は歯医者が嫌いだ。笑いたい時に限って変な事ばかり考えてしまうから、と。

女の子ってほんと、いい匂いがするよね

Posted by 高見鈴虫 on 06.2008 嘗て知った結末
あのさ、こないだ、改めて思ったんだけど、
女の子ってほんと、いい匂いがするよね。
あの匂い、髪の中、とか、首の後ろとか、襟元とかから漂う、
あのなんとも言えぬ、柔らかい匂い。
胸いっぱいに吸い込んだりすると、
もう、なんか、ぼわーんと、それに包まれている気分になって、
身体中から凝りとか澱とかが、じわーんと流れ出ていく感じがして。
ああ癒されているな、と。もうそれだけで、身体中がぐにゃぐにゃ。
これってもしかしてマヒカリ、みたいな感じなの、なんて思わず俄か神秘主義。
グラビアやらエッチビデオとかでいくらオンナのこを眺めていても
さすがにこの感覚までは判らないだろう、と。

そう言えば雨の日にあいつの肩にかけてやったジャケット、
ふと羽織ってみると、なんか奥から凄くいい匂いがしてさ。
それはいつもつけているコロンとか、化粧品とか、シャンプーの匂いじゃなくて、
つまりはあいつの匂い。
それに気がついたとき、思わず、あああ、と膝が抜けるような気がしたっけ。
もっとこの匂いに包まれていたい、と思わず涙が滲みそうになったり。

そう、女の子って本当にいい匂いがする。
でもさ、
それが実は不思議なことに、
そんな匂い、好きな子のじゃないと全然効かないんだよね、これが。
それがまた不思議なことでさ。
どうしてなんだろうね。

歪んだ顔

Posted by 高見鈴虫 on 06.2008 ニューヨーク徒然
パスポートの更新用に写真を撮ったんだけど、
できた写真を見て思わず唖然。

あれえええ、これ、顔が歪んでいる!
というか、
そう、左右が全然対象じゃないんだよね。

確かに、写真屋に向かいながら、
この糞忙しい時によりによって、と苛ついていたのは事実。

ストレスって顔に出るよな、というか、
改めて、
顔ってほんと、心の鏡。

昔、友達から言われたことがあって、
顔が左右対称じゃない奴って、
つまり、心で思っていることとやっていることの違う奴ら、
つまりは、不本意な人生を生きている奴ら、と。
だから、
顔の歪んでる奴には気をつけろ、みたいな。

地下鉄に座って改めてその写真を眺めながら、
向かいの窓ガラスに映る自身の姿と見比べて、
ああ、確かにね、と変に納得。

へえ、俺って実はこんな顔して生きていたのか、と。

そろそろ真面目に考えたほうがいいぞ、という、
まさに座右の銘だな、と思わず感心してしまった。

パスポート写真

Posted by 高見鈴虫 on 06.2008 ニューヨーク徒然
年末の休暇の行き先なんてのについて考えていたら、
ふと気づくとパスポートの有効期限があと数ヶ月。
おっと危ない、と、この時期になって、
いきなりパスポートの更新に行くことになりまして。

で、パスポート。
当然のことながら写真がいる訳で。
で、そう、
きょう日のパスポートは十年有効。
という事は、
下手な写真を撮ってしまうと、
この先十年間、出張に行く度にこの写真を突きつけられる訳で、
普段からろくに鏡も見ないような生活をしていながら、
今回だけはちょっと慎重に自分の成り、なんてものを再考することになって。

で、改めて見直してみると、
なんか、俺っていかにも髪の毛がボサボサ。
髯の剃り残しとか色々あって。
しばらく前にかみさんに整えて貰った眉毛も伸び放題。
しかもそれがまだらになっていて。

目の下にべっとりと貼り付いたクマ、とか、
腫れぼったい瞼、とか、
理由もなく充血した目、とか、
なんか、あらためて、汚い顔だな、と大苦笑。

で、思わず、そう、この先十年のことを考えて、
柄にも無くお顔のお手入れを思い立った訳で。

寝起きのむくみを払拭しようと、
氷のように冷たい水に顔を浸して1・2・3・4・5、とまるで息継ぎの練習。
で、
今度はアッチッチの蒸しタオルを覆面強盗にして、手を上げろ、のポーズ、
なんてやりながら、
泡立ったクリームを顔中に塗りたくっていきなりサンタクロース。
ほっほっほっほほー、とご機嫌になっていたら、
いきなり鼻の穴から泡を吸い込んでくしゃみを一発二発三発。
で、顔中を泡だらけにしてジョリジョリと髯剃り。
口下から顎から首から頬から耳の下から、
思わず陣地を拡大して目じりから額から眉間の狭間まで。
洗い流した途端、いきなり出現したツルツルに輝いた顔。
おおお、まるで大理石のようではありませんか。
これはいかにも珍しいぞ、と自分でも驚いて。
普段からかみさんから、髯が痛い髯が痛い、と言われていたが、
痛くない髯というのは、つまりはこれのことだったんだな、
なんて感心するうち、見る見るうちに顔中が火を噴くように膨れ初めて、
慌てて戸棚の後ろから探しだしたアフター・シェーブローション、
これでもかとばかりにぶっかけては擦り込んで、
うへええ、これも沁みるなあ、と変にはしゃいでいる自分が気味悪い。

で、次は眉のお手入れ。
かみさんの毛抜き、
なかなか見つからなくて苦労をしたものの、
おっと、なんと大事なもの入れの中に隠してあったか、と。
で、そんな大切な毛抜きで眉毛を引っこ抜きながら、
いってってってって、と。まじ痛い。
女の子、こんなこと毎日やりながらなんで痛くないのかな。
そう言えば、口紅を忘れてもヘアブラシを忘れたにしても、
毛抜きだけは絶対に手放さない、
と言っていた子が居たっけかな、とか。
美とは痛みを伴うものなのか、
あるいは、もうずっとやってるから慣れちゃって痛くなくなってるのかな、
なんて思っているうちに、
ふと気がつくと、おっと、ちょっとやりすぎたかな、
と気づいた時には既に遅く、
いつのまにか目の前には遅れて来た暴走族、
或いは、かなーり盛りを過ぎたおかまバーのチーママ、みたいになっちゃって。

ああ、大失敗だ、こんな姿では表には出れない、
と唖然としながらも、
まあいい、きょう日の餓鬼はみんなこんな感じだろう、
この際、おかまにでもなんでもなってやれ、
と、途端に開き直ったまま、
片手一杯のムースをえいやあ、とばかりに髪に塗りつけて。
おっと、こうやると生え際の地肌が目立つな、
おっと、こうやるとなんかいかにも爺臭いし、
おっと、こうやるとまるで前科13犯。
おっ、ゴッドファーザー、おっ、大正デカダンス、
おっ、モヒカン・パンクス、おっ、花形満、
なんてやっているうちに、
いい加減に面倒くさくなって、結局はばさばさと掻き毟って終わり。

ああ、やめたやめた、と出かけた写真屋。
そうそう、男が外見なんてものに気を取られてもろくなことはないぜ、と。
男は中身、ハートで勝負、なんて開き直ったまま歩く木枯らしの42丁目。
あれ、でもなんか、
今日は道行く女の子がなんとなく俺を見ている風で見ていない風で。
もしかして、今日の俺ってちょっとは行けちゃってるとかしっちゃったりする訳?
なんて、思わずちょっとご機嫌。

で、辿りついた写真屋さん。
急いで来た割に、えらく待たされて。
で、その間にも携帯に仕事の電話がじゃんじゃん。
そんなことをやっているうに、俄かな上機嫌もどこへやら。
あのなあ、と思わず溜息。
どうしてこう、どいつもこいつも上手く運んでくれないんだ、と。
なんかこう、ほんと、全て全て悪のスパイラル。
で、
ところで一体いつまで待たせるんだよ、この糞写真屋は!
なんて、またまた雲行きが怪しくなって来て、
で、実際の写真、呼ばれて椅子に座ったとたんにパシャリ。
はい出来ました、お勘定どうぞ、となんとも言えぬ早業。

で、出来上がった写真。
思わず唖然!
絶句して声も出ず。

だってさ、その写真。
顔がもう、見事なぐらいに歪んでいて。
左右がまるで対象じゃない。
それってもう、
いかにもいかにも、
ただのストレスアウトしたうだつの上がらない中年リーマン、
或いはノイローゼの失業者って感じ。

改めて、
ストレスって顔に出るよな、というか、
改めて、
顔ってほんと、心の鏡。

実は昔、友達から言われたことがあって、

顔が左右対称じゃない奴って、
つまり、心で思っていることとやっていることの違う奴ら、
つまりは、不本意な人生を生きている奴ら、と。
それってつまりは、
恥の表出。つまりは、罪の表出。
だから、
顔の歪んでる奴には気をつけろ、と。
恥知らずの罪作りは、必ず人の幸せの足を引っ張ろうとするからさ、
なんて。

それがこれ?つまり、それがこの俺ということ?

なんかつくづく自分が哀しくなって来て。
いくらなんでも、
この写真だけは認める訳にはいかない、と思わず、
恥を忍んで、あの、撮りなおしてもらえませんか?と。

で、ちょっと気を引き締めて、
そう、顎を引いて目を開いて、で、じっとカメラに視線を合わせて、
そう、写真屋などに負けてはいけない。
そう、頭の中のBGMはローリングストーンズ、
イメージとしては、
ギターをかきならずキース・リチャーズというよりは、
取り囲んだチンピラを前に不敵に笑うブライアン・ジョーンズと言った感じ。
てめえ、この野郎、来るなら来い、と。

とやった、写真。
いきなりオカマのジャンキーロッカー。
ははは、と思わず大苦笑。
まあな、
俺的にはノイローゼの失業者よりは、ジャンキーの方がまだまし、
というものなんだけど。

で、いかにもナードな写真屋のにいちゃん。
あれまあ、セクシーに撮れてるじゃない、なんておべんちゃら。
あのあな、てめえなんかに言われても嬉しくなんともねえよ、
と思いながら、
請求を見るとしっかり2枚分。
はいはい、判りましたよ、と。

で、出来上がった写真、
改めてよくよく見直して見ると、

あれ、これ、ちょっと眉毛がずれてねえか、とか、
髪の毛先があっちこっち向いて、
頬っぺたのにきびの跡が目立つな、とか、
目の下の皺とか、
黒ずんだ髯の剃り跡とか、
シャツの襟の皺とか、
で、極めつけ、
昔、殴られて歪んだ鼻が、なんかちょっとやっぱり気になってきて、
で、忘れた筈の怒りがまたムラムラと湧き上がってきて。
そう、俺、これがあるから鏡をあんまり見ない人になったんだよな、と。

で、そう、改めて見直す俺のパスポート写真。
改めて、
おいおい、これだけやっても俺はここまで汚いか、と、
思わず感心する、というか、つまりは自分再発見。

そう、俺、
言い訳する訳じゃないけど、
この仕事についてからほとんど外行きの面を作ることがなくなってさ。
だって、周りの奴ら、
ほんと、ほんと、まったくほんとうに、どうしようもなくナードな奴らばっかりなんだもん。
身なりに気を使わない、というか、
もう、ほとんど、冗談みたいにダサい奴ら。
俺、そんな奴らに囲まれているうちに、
いつの間にか俺自身もほとんど身なりを気にしなくなっていてさ。
改めて、
男が錆び付いていたんだな、と再認識。

でね、
改めて感じたこと。

女の子、つまり、俺の周りの女の子たち、
やっぱり、なんだかんだ言いながら、
ふと見るたびに、
おおお、いい女、と思わせるなにかがあって。

で、まあ、顔立ちの良し悪しは確かにあれなんだけど、
例えば、やっぱり眉毛とかぴちっとしているし、
睫だってくるっと上を向いていて、
髪もいかにも艶々として輝くようだし。
ぜんぜん気を使っていなんです、
という薄めの化粧にしたって、
口紅のはみ出しもファンデーションの斑も無い訳で、
つまり、改めて考えるに、彼女達はやっぱり美人。
或いは、
美人であることに、やはり思い切り気を使っている、
というか、
そう、美しくある為に、日夜それなりにがんばっているんだな、と。
つまり、
オンナなんだよな、と、改めて。

なんかそれ、まじ、見習うべきなのかな、とか。
思わず女の子たちが神々しく見えてきてしまって。

で、そう言えばきょう日のニホンのガキ、
ますますおかまじみてきてさ。
なで肩に柳腰にオンナ物のシャツ着てお肌もつやつやで、
なんて、鼻で笑っていたけど、
やっぱりね、
男でも女でも、
汚いよりは綺麗であるに越したことはないな、と再認識。

だってね、そう、周りを見渡せば判るけどさ、
身なりの良し悪しに関わらず、
汚さって、やっぱりそれ、貧困の表れ。
金持ちがどんなにどうでもいい格好をしても
やっぱりどっかしら品が良く見えたりするのは、
或いは、
田舎から出てきた観光客が、
センチュリー21で買ったばかりのブランド服で身を固めたところで、
所詮はちんどん屋の仮装行列、服に着られて物笑い、
となるのは、
つまりは、貧困感、あるいは、気品、
いや、そんなものじゃなくて、
つまりは、そう、つまり、綺麗にする為に日頃から気を使っていたという、
その鍛錬の後、なんだよな、と。

なんて、思わず、感心しながらも、
ふと鼻から顔を出した伸びた鼻毛を引き抜きながら、
なあに、男は中身で勝負、
なんて今更になってはただの言い訳。
その中身が、実際に鏡となって染み出してきているのが外見、
という奴で。

外見の悪い奴はつまり中身も悪いということなのだよ、
なんて、真理に気づいてしまった途端、
ふと振り返る自分の姿。
この身体中から滲み出すような、このなんとも言えぬどす黒さ。
俺っていくつになっても腐れ貧乏ロッカー、そのもの。
若い頃はまだそれでも、
ライブハウスの入り口なんかで地べた座りしている限りは、
それなりに様にもなったのだろうが、
そう、俺ってもうそういう世界とは完全無縁の人。
どこでどう間違えたのか、
いつの間にやらただのリーマン、或いは、ただの、でさえない、
つまりは、半端なリーマン。
それってつまりは、歪んだ顔。
それってつまりは、不本意な人生ってこと?
嫌々、そんなこと、ある訳無い、
と思わず見つめる自分の姿。
ああ、どんな言い訳して観たところで、
このくたびれかただけは、もうまさにもうどうしようもない、という感じで。
つまりそれが俺自身。
思わず、だからどうだって言うんだよ、と舌打をひとつ。
俺ってますます自分がどうでもよくなっているんだな、
と、大苦笑してしまった訳で。

地下鉄の中、改めてこの先10年のパスポート写真を眺めながら、
向かいの窓ガラスに映る自身の姿と見比べて、
ああ、確かにね、と溜息。

俺って実にこんな顔して生きていたんだな、と。
そんな歪んだ顔で送る人生に、お前は真面目に満足なのか、と。

そろそろ真面目に考えたほうがいいぞ、という、
まさに座右の銘だな、と思わず感心してしまったのであつた。

暗闇が怖かった頃のこと

Posted by 高見鈴虫 on 06.2008 嘗て知った結末
疲れ切って帰宅した後、
晩飯を食ったとたんに意識が途切れて、
歯も磨かないうちにソファで昏睡状態。
で、ふと目覚めた夜更けの部屋。
暗い天井から部屋中に満ち満ちた不穏な空気。
あれ、なんか、誰かいるんじゃないのかな、と。

ああ、暗闇が怖いと思ったことなんて、実に本当に久しぶり。

いまでこそ、こんなにふてぶてしいおさーんになってしまったものの、
こんな俺にだって子供の頃、というものは確かに存在したわけで。

そう、そんな子供時代、
俺ってそう言えば、凄く臆病な奴だったんだよな、
と改めて思い出して。

真夜中の暗闇や、
外から響く救急車のサイレンや、
寝静まった廊下も、ひんやりとした夜更けのトイレも。
ひとりで机に向かっている時、
なんかいつも誰かが後ろに立っている気がして、
そう言えば、閉め忘れた雨戸の向こう、
カーテン越しのベランダにも誰かが覗き込んでいる気がして。
そう、子供時代、夜の世界は恐怖に満ちていた気がする。

或いは、
街に出た中学時代、
いつ何時、すれ違った不良においこら、
と声をかけられるか実は気が気じゃなくて、
ストリートで、駅のホームで、電車の中で、
街は今にも一触即発。
テメエ何見てやがるんだ、
馬鹿やろう、やる時はやるぜ、と顎を上げながら、
いや、それでも、心の中では、
あいつもそいつもどいつもこいつも、
まるで視線の刃に取り囲まれているよう。
舐められてなるものか、と思えば思うほど、
いつしか肩に力が入りっ放し。いつしか拳を握りっ放し。

或いは家さえも出てしまった高校時代、
それなりに友達も増えて、
それなりにチーム同士の棲み分けもできて、
それなりにカンバンやらシマやらアイサツやらメンツやらを、
守り守られてしながらも、
やはり法治国家の壁は分厚く、
停学・休学・退学・放校は言うに及ばず、
歩けば職質に当たり、下手をすれば補導・拘束、道場で実地教育、
道を外れればヤクザのスカウトから、チョンコーの見回りから、
知らねえ面だな、チームどこだ、ちょっと来い、から始まって、
先輩の後輩の知り合いのお世話になってる何とか組のなんとかさんのダイモンの、
なんて、ますますおかしな世界に引きずり込まれて、

或いは学校さえも出てしまった浪人時代、
一人で食っていこうにもコーソツ相手に世間は冷たく、
カタギで行く限りは最低辺のどん亀人生の行く先が見えてきて、
かと言って、
このまま本ちゃんのサンシタ修行にも心の底からうんざりで、
プロで食っていくには今になっても何一つとしてコネもなく、
途方にくれたまま駅前のガードレールにもたれてオンナを待ちながら、
肩を怒らせて伸し歩くつっぱり高校生どもが、
なんとも、眩しく羨ましくいたいけに見えてしまった夏の午後。
安アパートの一室でカップラーメンをすすりながら、
大丈夫よ、私が食べさせてあげるから、
とあどけない顔で笑う女。
抱きしめるといかにも細い背中、いまにも折れそうで、
まだ少女の香りに満ち満ちた痩せた身体にしがみ付きながら、
汗ばんだ肌に赤らんだ頬で、荒い息を静めながら、
ねえ、大好き、と囁く女、いかにも愛しくて切なくて、
ああ、ガキなんてできちまったらもうそれどころじゃないだろな、なんて。
思わず、顔を埋める髪の中でまた可愛くなって来て。
いつのまにか夜、
やばい、帰らなくっちゃ、と下着を探す女、
履いた途端に脱がしにかかって、つけた途端に外してにかかって、
もう意地悪と笑う女、掴んだ手首の細さ。
骨の浮いた膝も隙間の空いた太ももも、
まるで薄い皮一枚の身体から、腫れたように赤い乳首から。
髪の流れる首筋から、産毛の浮いた頬から、
もうなにもかもが、あまりにも切な過ぎて。

そしてひとり取り残されたがらんどうの部屋。
見上げる天井に立ち上る煙草の煙り。
ああ、この先どうなってしまうのかな、と思わず溜息。
どうにかしようとしない限りは、どうにもならないというのは自明の事実で、
果たしでどっちに進むべきか、なににぶら下がるべきなのか、
ひとつとしてなにも取り付く島もなく。
まるで都会の底なしの沼の中に引きずり込まれていくような、
そんな悪夢に馬鹿やろう、と舌打ちをひとつ。

ようやく東京の水に馴染み始めたバンドマン時代。
束の間の熱狂と束の間の高揚と、
降って沸いた様な成功への糸口と、
なんの目算もない皮算用と、空回りばかりの夢。
まるで道端で100円拾ったみたいに転がり込んで来る女の子たちと、
やっぱり100円程度でしかない行きずりの恋。
気がつけば一人の部屋。
気がつけば余計なものばかりの部屋。
遅くともあと5年、遅くとも後4年、
と成功への秒読みに焦り怯えて奔走しながら、
いつしか疲れ果てた深夜の街。
もう立っていることさえ出来なくて、
安いネオンサインの谷間の裏側、
無様な酔っ払いにしたうちしながらも始発までは行き場もなく。
ピンサロの呼び込みのおにーさんに煙草をねだって、
久しぶりのチョン座りに照れながら見上げた夜の街。
ああ、この先どうなるのかな、
いいんじゃない?今が良ければ、
なんて意味もなくへらへら笑い。
今が良くねえからこんなところでヤニ食ってるんじゃねえか、なんて。
ああ、この都会という沼の底。
その沼の底の底。
落ちるだけ落ちてみるってのもおもしろいかもな、
とニヒルな笑いなんて浮かべたつもりで、
ぐるぐると鳴り響く腹の虫だけはもう抑えようも無くて。



そうこうしているうちに、暗闇が怖いなんて気持ち、
すっかり忘れてしまっていたのさ。

テレビが嘘をついている

Posted by 高見鈴虫 on 12.2008 アメリカ爺時事
なんかテレビが嘘をついているような気がする、
と思っていたのだが、
よくよく見てみると、
声と映像が、微妙に、微妙にずれていることに気づいた。
どこでどう繋ぎ方を間違えたのか、
CABLEBOXとDVDRとDVDとTVとステレオアンプとVHSと
とやっているうちに、こうなってしまったらしいのだが。

そう言えば、BUSHって、いつもこんな感じだったな、と。
いつも映像と声がずれていた気がする。

最悪のファシスト政権下での8年間が今、大恐慌の訪れとともに終ろうとしている。

ブルックリンは重い

Posted by 高見鈴虫 on 12.2008 ニューヨーク徒然
ブルックリンは重い。
最初にブルックリンに入りこんだ時に感じたあの重さ、
それは、黒人の重さ、でもあり、
時代物の病院、あるいは収容所のように立ち並ぶビルの重さだったり、
するのだが。

その重さが、ふとすると、実に心地よくなってきて、
ああ、ホーミーだな、と思えるとき、
ブルックリンがとても気持ちの良い家へと変る。

でもね、と先輩が言った。

じつはその重さこそが、ブルックリンの本質。

いまでこそ白人も増えたのだが、
そこはやはり、長い長いゲットーの歴史。

河のむこうの収容所に押し込められたまま、
離れるに離れられず、

地下鉄で一駅、手を伸ばせば届きそうなとこにある、
マンハッタンの光の塔を、
羨望と愛憎入り混じる思いでみつめつづけた、
その重さがつもりつもっている、という訳で。

ブルックリンの人種はきついぞ、と。
区域ごとに、割り当てられた人種が違う。
それはつまり、
ジュー、お前らはここに住め。
コクジン、お前らはここだ、
と無理やりに割りあてられた歴史。
その憎しみと、そして権利意識がないまぜになり、
狭いストリートを隔てて、
窓際に拳銃を向け合い、
火事のときには蒸し焼きになることを覚悟で全ての窓に鉄格子を入れ、
この通りを越えたら撃たれてもしかたがないとおもえ、
という目に見えない国境がそこらじゅうに存在する、という訳で。

ブルックリンがホーミーだって?

ゲットーの気楽さと、前衛的な芸術家たちのフリースペース。
長く暮らす住民達のホーミーな雰囲気。

あのなあ、と。

ブルックリンは重いぞ。
住めば住むほどに重くなるぞ。
ブルックリンの重さこそ、ゲットーの重さの本質なのである、と。

QUEENS 仮そめの場所

Posted by 高見鈴虫 on 13.2008 ニューヨーク徒然
QUEENSに住んでいることを、
誇らしげに言う人を知らない。
なぜかと言えば、QUEENSはださいからだ。
なぜQUEENSがださいかと言えば、
やはり貧乏だから、だと思う。
同じ貧乏でも、
ブルックリンやらハーレムやらの貧乏は、
なんからのポリシーがあっての貧乏、
という逃げ道も残されているのだが、
QUEENSに住んでいる限り、
そんな言い訳も通用しない。
QUEENSに住んでいる、ということは、
すなわちは、ただ貧乏である、とこれに尽きる。
なぜか、
それは、つまり、QUEENSに住んでいて、
QUEENSを誇りに思う人がいないから。
つまり、文化がないからである。

QUEENSには文化がない。
美術館も無ければ、
音楽が盛んな訳でもなく、
ランドマークと言えば、
USOPENテニス・トーナメントが行われる、
フラッシング・メドウがあるぐらいなもので、
それにしたって、
テニスといういまだにちょっと上流階級を思わせる清潔な人々は、
フラッシングメドウに向かう7番線の窓から広がる風景を、
物珍しげに眺めたり、
あるいは恐いものみたさ、といった感じに目をこらしたり、
あるいは、故意に目をそらしていたり。

どうしてよりによって、USTAの会場がQUEENSにあるのだ、
と、首をかしげるばかり。
つまり、QUEENSにテニスは似合わない。
或いは、テニス的なものがもっとも似合わない場所、なのである。

という訳で、
QUEENSは投げやりな場所である。
他所からの移民がまずはたどり着く場所である。
それこそ世界各国からの全人種が、
このQUEENSという場所に吹きだっている。
グアテマラから来たばかりと言った感じの
一様にかえるのような顔をした浅黒い小人たち。
漢字の印刷が刷り込まれた赤いビニール袋をいくつもさげた、
寝癖でぐしゃぐしゃの髪をした中国人の一団。
伸びきったスエットから毛むくじゃらの腹をはみ出させたコクジン。
一見してただの娼婦、やっていることも多分似たようなもの、
もうわたしには肌を晒すぐらいしか頼るものがない、と言った感じのラテン系の娘たち。
どれもこれも、洗練という言葉からは程遠く、
だれきった表情をして、そして一様に、疲れきり、
身体中からこれでもかというぐらいに生活臭を漂わせている。

そんなQUEENSの住人たち、
マンハッタンからの地下鉄が、
イースト・リバーを越えてQUEENSに入るたびに、
乗客はやるせなく目を瞑るか、
あるいは、ちょっとほっとした顔をしていたりもする。
ああ、と溜息をついて、
肩を落とし、足を広げ、
少なくともこの車両に乗っている人間は、
すべてQUEENSの住人。
つまり似たような境遇なのだ、と安心するのだろう。

しかし、誰もQUEENSに落ち着こうとは思ってはいない。
できることなら、すぐにでもここを出るための、
とりあえずNEWYORKという場所で足を固めるための、
つまりは仮初めの場所である。

QUEENS在住の人々は口を揃えて言う。
まあ、いずれは、マンハッタンに、
或いは、子供ができたらウエストチェスターとは言わないまでも、
ニュージャージーあたりに一軒屋を買って、
と、見果てぬ夢を語るのだが、
しかしながら、QUEENSに住んでいるもので、
では実際に希望の物件がいくらぐらいなのか、
頭金がどれくらい必要であるか、
モーゲージを組むための査定に必要な条件とは、
などということについて考えている人間を知らない。
つまり、それどころではないのである。
仮初めの場所クイーンズに暮らすことに、
ただもう精一杯で、というのが本当の所。
つまり、なんのあてもないままに、
ああ、いつになったらQUEENSを脱出できるのだろう、
と溜息をつきながら、
QUEENS BLVDからの排気ガスまじりのつむじ風に顔を伏せながら、
ゴミだらけの舗道をとぼとぼと家路につくのである。

そんなQUEENSの街並みは、
やはりもう、これ以上なく投げやりである。
それはゲットーと言うよりは、
むしろ工事現場、あるいは、野外駐車場を思わせる。
ひび割れたコンクリートに消えかけた車両区分けのペンキの塗られた、
ごみだらけの、吹きっさらしの駐車場。
そこに適当に家をならべてしまって、
取りあえずはここに落ち着いて、
その先のことはまた改めて考えるか、
と荷物を降ろしたまま、いつまでたってもそのままの状態で暮らしている、
と言うのが正直なところなのだろう。

QUEENSで唯一の目抜き通りと言われるアストリア・ブロードウエイ、
安い学生街を思わせるような、
それなりに小店は並んでいるものの、
デート用のお洒落な格好をした人などひとりもいない。
つまり、アストリアにデートに行くカップルなどいないのだ。
そこはつまり、部屋着のままさんだるをつっかけて、
ずり落ちてくるスエットをたくし上げながら買い物にでた、
というそのままの人々の集う場所。
ラテン系、東洋系、イスラム系、東欧系、と、
白人と黒人を除く全人種が集いながら、
なぜか、アメリカ人だけが見当たらない不思議な場所。
つまり、QUEENSをニューヨークとは認めない、
或いは、QUEENSの住人がニューヨーカーを語るのは
こっと憚られる、という冷たい雰囲気がそこにはある。
そして、その事実を最も感じているのは、
ほかならぬQUEENS住人自身なのである。

QUEENSに住む友人を訪ねた帰り、
吹きさらしの地下鉄のホームで、
なぜかとてもやるせない気になる。
学生時代の、あの貧困と焦燥と空腹を思い出している自分がある。
同じように、QUEENSに住む友人を訪ねるとき、
ああ、広くていいな、マンハッタンは狭くてさ、
と言いながらも、カーテンの隙間から覗く暗い通りの風景に、
ちょっと見てはいけないものを見てしまったような気もして、
ほら、まあ、QUEENSだから、
と照れ笑いされながら、
インテリア、というにはあまりにも程遠い、
引越したままのダンボールやら、リビングから丸見えの流し台から、
まるめたままの洗濯物の山の中や、
壁の黒ずみから天井の漆喰の亀裂から、暗い電灯まで、
その色濃く滲む生活感に、
ああ、QUEENSだな、と思わず溜息。
え、帰るの?
うん、帰る。
どうして?とはさすがに聞かない。
いや、あの、と口ごもりながら、
正直、QUEENSには泊りたくない、というのが、その理由。
なら、うちに来ない?
と言うと、
え、でも、お化粧落としちゃったし、と照れ笑い。
なら、そのへんでお茶しない?
と。

そう、QUEENSの住人にとって、マンハッタンとはつまり向こう側。
お化粧をして出かけるところ。
QUEENSの住人がそう思っている限り、
QUEENSはいつまで経ってもそういうところ。
で、QUEENSの住人はいつまでたっても
QUEENSを脱出できないのである。

でもね、ここだけの話。

マンハッタンでは、あれほどビッチなあのこが、
クイーンズに入ったとたんに、
ちょっと舌を出して照れ笑い。
はは、だってクイーンズだもん。
そんな彼女がなぜか無茶苦茶可愛くて、愛しくなって。




こんど引っ越すんだ、とまたその話題。
へえ、どこに?マンハッタン?ブルックリン?
まさか。高いしさ。
そうなんだ。
またクイーンズだけど、安いからいいかな、とか。
そうだね。
ねえ、ウッドヘブンとステインウエイだったらどっちがいい?
エルムハーストは?ニホンジン多いし、便利だよ。
エルムハーストだけは絶対にいや。死んでもいや。あんなとこ住むぐらいなら日本に帰る。
でもさ、と、言いかけて口をつぐむ。
どうせQUEENSなら、どこでも変らないじゃないか、と。所詮はQUEENSなんだから。
またシェアかな。
うん、でもそのほうがいいよ。
どうして?
だって、ほら、女の子の一人暮らし、危ないしさ。
それはシェアだって変わらないでしょ?
でもほら、なんか、気がまぎれたりとか。
安いしね。
そう。あんまり変な人でなければね。
そうなんだけど、変な人じゃない人ってあんまりみないよね。
ニューヨークだから?
そう、QUEENSだから。

アパートを出て、駅前の角の訳の判らないスペイン語のカンバンのカフェで一休み。
へえ、ずっと住んでるけど、こんな店はいったのはじめて。
でもいい店だね。ホーミーな雰囲気で。
ねえ、このエンプランダ、とかってなんて意味?
ああ、エンプラナダ。フリータスだよ。なんていうのか、揚げパンみたいな感じの、ほら、あの人が食べてる。
ああそうなんだ。知らなかった。おいしそうだね。こんど食べてみようかな。
うん、揚げたてならおいしいよ。冷たくなるとちょっとやばいけど。
なんかおなか壊しそうだよね。
そんなことないだろ、みんな食べてるし。
でもほら、あのひとたち、ラティノだから。
中身はかわらないだろ。おなじ人間だし。
これだけスペイン人に囲まれていながらスペイン語で知ってるのウナ・カフェ、だけ。
このメニュー、徹底的に英語がないよな。
そう、ほんと、スペイン語だけだよね。
QUEENSだよね。
そう、移民の移民による移民のためのって感じ。

なんて話をしながら、ちょっとあるいて通りの向こうのコリアンデリで安い、安すぎる、
果物と野菜を買い込んで。
ねえ、きょう、またラーメンでいい?
ああ、いいよ。外で食べてもいいけど。
うん、でもほら、給料前だからさ。
奢るぜ。
うぅん、なんか今日は家でゆっくりしたいし。
そうだね、確かにね。じゃあ部屋でゆっくりしようか。
うん。そーしよう。

通りがけにターキッシュの店でハーフチキンを買って、
C-NOTESでビールを1ダース。
ああ、早く、チキンが冷めちゃう、と言いながらレジに待たされて。
あああ、ちゃんとしたオーブンの欲しいな。キッチンのあるところに引っ越したい。
チンすればいいじゃないか。
だって、ほら、電子レンジ、身体に悪いんだよ。
いまさらそんなこと考えても、と言ってまた口をつぐむ。
QUEENSに住んでて、健康もくそもないじゃないか、なんて。
そう言えば、とついでに煙草も、と思ったら、
やっぱりQUEENSは煙草も安いな、とちょっと得した気分。
それだけは、QUEENSの利点だな、と。

今更ながら「LOST」です

Posted by 高見鈴虫 on 22.2008 読書・映画ねた


あの、
今更なのですが「LOST」です。

LOST、知ってる?知らない訳無いか。
じゃ質問変えて、
LOST、観てました?或いは観てます?
或いは、
新シーズン始まるらしいけど、観るつもり?
ってゆうか、
こんな質問、間が抜けすぎすぎ?

あの、で、
そーそー、いまさら告白ですけど
LOST、いきなり先週からデビューしまして。
ってゆうか、
俺さ、それまで実はLOST一度も見てなかったんだよね、これ(笑
アメリカではそれ珍しすぎすぎ。
その方がわりと奇跡的とゆうか。

でもね、いまさら言い訳なんだけど、
俺普段からぜんぜんTV見ないひとで、
だってブッシュの顔見たくないしさ。
ブッシュのにおいのするものってゆうかブッシュの影響のあるもの
あるいわブッシュが原因で、とかゆうやつ、つまりこのアメリカの8年、
ことごとくそおゆうものを遠ざけていたら、
いつのまにかスポーツチャンネルしか見るものがなかくなってた、と。

そうそう、
で、こないだ、
おばまん勝って良かったね、とか話している時に、
このブッシュの時代の8年間
つまりアメリカ史上、最低最悪の低能ファシズム体制下の間、
実は世間ではいったいなにがあったのか?
ぜええんぜん知らなかったんだよね、
なんてことを話していた時のこと。

で、この8年、改めて、
200年のブッシュのいかさま選挙の後、
大陸間ミサイル防衛構想が議会で却下された、
ざまみろ、これでブッシュはリコール辞任だ、
と喜んでいた途端、
いきなり降って湧いたようにあの9-11があってさ。
で、U!S!A!の怒声の中、
あれよあれよと
アフガンの戦争からイラクの戦争からサダムフセインから、
テロ警戒宣言からスパイ防止法からハリバートンから、
反ブッシュデモのたびに友達が逮捕されて、
インターネットが監視されて、なにもが監視されて、
テレビもニュースも新聞も、すべてでっちあげばかり。
不眠症から不安神経症から抗欝剤がバカ売れして、
アル中とヤク中と肥り過ぎが急増して、
そんな時に、
日本ではフケーキとシツギョーとジサツとトーリマと
北チョーセンとホリエモンとカシューシャカイで、
なんてことをやってるうちに、
あれよあれよとガソリンが高騰して石油屋の株が高騰して、
ニューヨークの不動産価格はもう天井どころか雲まで届いて
ふとすると普通の人は誰もマンハッタンに住めなくなっていて、
つまりこれ、
ブッシーな人々にとってはもう笑が止まらないぐらいのうはうはの大儲け、
で、それ以外の人々、つまりふつーの人々は、
もう、不機嫌、以外は、もうなああああああんにもなし、
と、まあそういうことをやっていたら、
はい、待ってました、いきなり株の大暴落。
政府からの補助金だなんだで、
どさくさまぎれにこれでもか、とばかりに国庫の金を猫糞ざんまい。

あのなあ、と。
すごいよね、これ、あらためて、だけど。
開いた口が塞がらない、のは誰もが同じ。

で、いつのまにか、
誰もニュースを見なくなっていて、
誰も新聞を読まなくなっていて、
誰も誰の話も信用しなくなっていて、
という訳で、この失われた8年。

まあ俺的には、やっぱりロジャー・フェデラーだった訳でさ(笑
つまり、ずうううううっとテニスばかりやっていた、と。
で、同じように、
テレビどころかゲームばっかり、
最近ではもう、WII以外のものはなにも見ていない、とか。

で、その中に、
それこそはまさに「LOST」である、と言った馬鹿がいた。

そう、上手いこと言うね、まさにLOSTだよね、まったく。なにもなかったよね、
完全に見失ってたよね、なんて苦笑いしていたら、
これ「LOST」、実は、ABCのテレビドラマのこと。

という訳で、この「LOST」
普通アメリカにいたら知らない人いないらしい。
それだけ話題になったテレビシリーズ。
近年まれにみる大ヒット、だったらしい。

念のため概要としては、
2004年からABCで放送されたテレビ・ドラマ。
飛行機が謎の無人島に墜落して、
その生存者の人々の葛藤を描くサバイバル物、なんだけどさ。

で、その謎の無人島ってのがまたなぞなぞに満ちていて
で、その生存者ってのがまたどいつもこいつもひと癖二癖で、
と、語り始めると止まらない。

サバイバルあり、人間ドラマあり、
アクションあり、SFXあり、
と、ほんとうに至れりつくせりで、
もおおおおお、無茶苦茶面白過ぎて、
テレビでやってる時は、もう一週間が長くて長くて長くて気が狂いそうだった、

なんて話しを聞きながら、
へえ、社会現象にまでなったのか、とか。
そう言えば、あいつもこいつもLOST LOSTって言っていたよな、
とか。
おれ、ほんと、全然知らなかった、んだよね。
名前ぐらいは知っていたけどさ、まじ、一度も見ていなかった。
まさにこの失われた21世紀、
たかみいくんの世捨てぶりが伺われるエピソード、と。

でね、そう、この際、予定のないこの週末、
寒くてテニスもできないし、と思い立って、
いつものようにニューヨーク公立図書館で借りてきました、
「LOST the Complete Series」のDVDのBOXセット。

したもんだらさあ、これが、もう、そう、ほとんど無茶苦茶面白い。

まじ、観始めたら止まらない。
連日連夜、朝まで、状態。
で、仕事中も、ほんと、極度の禁断症状状態。

だってさ、なにが凄いってさ、
これはもう、例えば、だけど、
記念すべき第一回目、
無人島の浜辺に飛行機が墜落して、というシーン、
なんと、飛行機一台、完全にぶっ壊してちゃってるんだよねえ。
これ凄くない?

やっぱりさあ、
そう、もう、なんと言っても金のかけ方が半端じゃないなあ、と。
でね、
観れば観るほどに、登場人物達の掘り下げが深い。

たまたま同じ飛行機に乗り合わせた乗客たちが、
それぞれの事情=過去を背負っていて、
無人島でのサバイバルと同時進行的に
その物語が語られ、絡み合っていく訳なんだけどさ。

その伏線の張り方と絡め方がもう絶妙。
危機的状況におけるそれぞれ各自の行動原理が、
過去の経験に裏づけされている訳で、
その必然性=紐付けの巧みさに思わず唸ること度々。

日本のドラマとかさ、
時として、えええ、なんで?そりゃないでしょ?
みたいな、
脚本における矛盾みたいなものが凄く目に付くことがあってさ。
これ書いてるひと、本当に物を考えているのかな、
とかと疑問になることがよくあるんだけどさ。
で、
主役な人々が決って視聴率目当てのおちゃらけアイドルだったりするから、
必然的に演技も演出もおちゃらけで、
で、みんな忙しいから、演技指導も脚本の読み合わせもほとんどしてないだろうし、
で、セットにしたって使いまわしセットでその場で適当にでっちあげ、みたいなのばかりだから、
つまりなにからなにまで学芸会。
つくづく日本って、
おちゃらけ、とおべんちゃらと、お愛想と、
ハロディーと損得勘定だけの文化って気がしてきてならない、と。

で、そう、
ファシズムと言おうが景気後退と言おうが、
やっぱり、アメリカ、凄いなあ、と思わせられることも多いわけで。

で、この、LOST。

そう、そんなアメリカの底力、
久しぶりに、ほんと、久しぶりに、実感することになったのでした。

という訳で、改めて質問。

LOST、見てた?
え!?日本でもやってるの?
へえ、そりゃ凄いね。

で、誰が好き?
俺?俺はほら、やっぱり、ソーヤーだよね(笑
え?チャーリー?バンドマンだから?まさか。
チャーリーはね、むかつく。ぶっ殺したくなる。
早く死んでくれないかな、といつも思ってる。
一番嫌いなのはシャノンだけどさ(笑
やっぱりね、俺は、バンドマンである前にアウトロー、と。
なのでやっぱりソーヤー。
つくづく性質悪いよね、俺。
どうしてかな、ジャックにはあまり惹かれない。
とか、書いてると、
ねえ、これなんか、心理テスト、みたいだよね、まったく。

ってな訳で、LOST、わりと大夢中。

実は図書館で見つけたのは、シーズン1、と、3.
で、2が無いんだよねえ。
で、1を見終わってよくよく考えて、やっぱり2を見るまで3はお預けにしたほうがいいかな、と。

というわけなので、その先見ている人、言っちゃ駄目だよ。

でもねえ、そう、公立図書館、なぜか、シーズン2の予約だけ一杯。
どうしてなのかな。教材かなにかに使われたのだろうか。
で、うーん、観たい観たい、どうしても観たい、
と思っていたところ、
サイトでこんなの見つけちゃった。

http://www.lostepisodeonline.com/category/lost-season-1/

なんか続けてみてると、いきなり、はーい、もう駄目です。
テレビばっかりみてると馬鹿になりますよ、
1時間まってまたアクセスしてね。
その間に部屋の掃除でもしてなさい、なんてやたらと親切なお心使い。

ほんと、でも、それがないと、まじ、朝まで見ちゃうからさ。
用心用心。




            ~遠方の友に宛てたメールより


いきなりですが家族が増えました

Posted by 高見鈴虫 on 28.2008 犬の事情

いきなりですが、
とんでもない輩が我が家にやって来てしまった・・


(2009-01-01)NewYear with Butch119




朝がた、テニスに行く途中で雨が降ってきて、
雨宿りに立ち寄ったアニマル・シェルター、
暇つぶしにちょっと子犬でも見せてよ、
と出会ってしまったのが運の尽き・・

目が合った途端に恋に落ちしてしまいました
って言ってもオスだけど。


(2009-01-01)NewYear with Butch048




腕に抱いた途端にどうしても手放せなくなってしまって、
ああ、やってしまった、とんでもないこと。
そのまま身請けしてしまったのでした。

という訳で、いきなりですが家族が増えました。

名前はまだ無し。
生後どのくらいかも判明せず。
品種に至ってはまるで検討も着かず、
と判らないものづくし。


(2009-01-01)NewYear with Butch042



取りあえず、一日中これでもかとばかりにじゃれ付いてきて、
なにもできない!
で、運動が必要かと散歩に連れ出せば自動車の音に怖気づいて
腰抜かしちゃうしさ。
で、部屋に帰ってきた途端におしっこだうんちだ、と大忙し。
今は我が家の特等席、テレビの前のソファの上で、
フットとボールを見ながらウシの人形と格闘のまっ最中、
かと思ったらもう寝息を立て始めて・・

まったくとんでもない厄介なものを貰い受けて来てしまったなあ、と、
今になって唖然としてます。



(2009-01-01)NewYear with Butch114




ねえ、これってもしかして、
これから雨の日も風の日も6時起き?
残業もせずに飛んで帰って、
お散歩だうんちだおしっこだ、で一日が始まって終って。
休暇もバケーションも取りやめでしょうか・・

いやはや、
覚悟の上とは言いながら、
ちょっととてつもない怪物を背負い込む嵌めになったのでしょうか。

あああ、またキッチンの床の上にウンコしてる・・

ああ溜息・・



(2009-01-01)NewYear with Butch107





            ~遠方の友に宛てたメールより



  

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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