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センチメンタル・シティ・ロマンス

Posted by 高見鈴虫 on 02.2009 犬の事情


週末の夜だと言うのに、
我が家は異様な静けさに満たされています。
音を消したTVからは、
真夏のオーストラリアで繰り広げられている
全豪テニスオープンの模様が流れていて、
そんな中、耳を澄ますと外の冷気が窓ガラスを軋ませる
キリキリという音さえも聴き取ることができるよう。

膝の上のラップトップ、
メッセンジャーの小窓では、
世界各国のテニス仲間とのチャットが進行していますが、
なぜかそんなテニスにも集中することができずに、
冷めかけた珈琲を啜りながら、
ふと相方と目があって、静かだね、と一言。
そう、こんな静けさ、本当に実に久しぶり。

ここ一ヶ月間、いついかなる時にも響いていたあの騒々しい大騒ぎ。
床を駆け回るタラタラという軽やかな足取りも、
スクイーザーのヒヨコを噛みしだくピコピコという間の抜けた泣き声も、
遊ぼうの吠え声もお腹減ったのピーピーも夢のように消え去って。

なんかほんと、まるで不思議なぐらいの静けさ。

寝てるの?と相方。

うん、寝てるみたい。

クレイトの中で?

そう、自分で入った。

まさか死んでる訳じゃあ、と思わず顔を合わせた途端、
クレートの奥からひょっこりと顔を出すブッチ。

ブー、どうした?
と声をかけると、尻尾を振りながら小首をかしげて、
そしてあくびをしながら大きな伸び。
ジャンプ一発でソファに飛び乗って、
相方の膝の上に丸まると、
円らな瞳をしばしばとさせて、
胸の上に顎を乗せたままスヤスヤと寝息を立て始めて。

まさに魔法のようだね、と相方。
まさに、魔法のようだ、と俺。
効いたね。
ああ、効いた効いた。


センチメンタル・シティ・ロマンス その2

Posted by 高見鈴虫 on 02.2009 犬の事情

という訳で、お散歩友達のタイタン・ママにご紹介頂いたデイケアセンター。

一日35ドル、プラス、会員費が300ドル=3万円。
うーん、その他もろもろで、まあ少なく見積もっても、
一月1000ドル=10万円かあ、と。

この不景気の折、月々十万円の出費はちょっときついかな、と。

で改めて相談したタイタン・ママ。

ママ、と言ってもまだまだ大学を出たばかり、という風な、
言って見ればばりばり行け行けの女の子。
ブッチがいなければ、一生にお話する機会さえなかったであろう、
まさにセレブ系の、正直言って夢のように綺麗な女の子。

デイケア、一週間2日だけでもいいのよ。

一日預けて遊んでもらえるだけでもうその日はぐったり。
家についたとたんにパタンって寝ちゃって。
次の日も次の日も、ああ筋肉痛で動けない、
ってな感じで寝てばかりいるからさ。
で、また騒ぎ始めたらデイケアに連れて行って、と。

夜更けのバスケットコートのベンチ。
夢中で走り回る子犬たちを目で追いながら、

でもまあ、出費よね、と白い溜息。

センチメンタル・シティ・ロマンス その3

Posted by 高見鈴虫 on 02.2009 犬の事情
という訳で、家に帰る前にあらためて煙草を一服。

キャビンフィーバー、まあ確かにね。
お前もそうなのか?と見つめるブッチ。
まあね、他のトモダチと居る時にはこれだけ幸せそうなのに、
たまに暗い部屋の中で、ぞっとするほどに空虚な瞳で宙を睨んでいたりするものな。

お前も色々大変なんだな、と苦笑い。
先月買ったばかりのダウンジャケットがみるみる小さくなってしまって、
はみ出したお尻がプルプル震えているのが見えて。

まあどうにかなるさ、と、改めて溜息。
有り金が残っているうちに、
こいつを連れてメキシコに逃げたって良いんだしさ。
でも、スパイス満載のメキシカン・フード、いきなり下痢をしそうだよな、
なんてとぼとぼ帰りついたアパート。

寝る前に、ブッチに噛み付かれながら開いたEMAIL。
あれ、見知らぬ人からのメールが一本。
誰だろう、またスパムメールかな、と思ったら、

むむむむむ!!!!


猫にまたたび、犬にはまさに、パピー・クラス!

Posted by 高見鈴虫 on 02.2009 犬の事情
そうなんですよ、デイケア、まさに、テキメン!

猫にまたたび、犬にはまさに、パピー・クラス!

昼にあれだけ遊んでくれると、さすがに夜に本当に静かで。

このあまりの豹変に飼主のほうが戸惑っています。

この間までとは打って変わって、

こんな寝てばかりの犬を、
苦労して飼う必要があるのかな、

なんて、
そんな暴言まで飛び出すぐらいで。

そうそう、ブッチもどういう訳か、
勇ましい相手ばかりを選んでいるようで、
よりによって今日のお相手は、
なんと悪名高き新入りのピットブル・テリア君!
子犬と言ってもそのやんちゃさは目を見張るよう。
ブッチ君、唸り声を上げてはもう無我夢中、
まわりの内気なわんちゃんたちを蹴散らしながら、
部屋中を転げまわっていました。

が、帰り道、交差点の信号待ちで、
いきなりへなへなと座り込んだまま、
居眠りをはじめる始末・・
おなかが減ってもう動けない・・と。

結局抱えて帰る羽目になって、
まったくもって、と、苦笑いでした




            ~遠方の友に宛てたメールより



ハングリー・ブッチ ~ 瞬間食の芸技

Posted by 高見鈴虫 on 11.2009 犬の事情

最近、デイケアセンターに行くたびにニヤニヤされます。

で、思わず不安になって、
もしかして、うちの糞ブー、なにかしてるわけ?
と聞いても、いやいや別に、とニヤニヤ笑うだけ。

思わず、もしかして・・・と妄想の嵐。

もしかして、
隠れスカトロ=食糞まにあ、だったり、
或いは、
オカマ掘ったり掘られたり?とか、

そういえば、むき出しのお尻の穴が、
ちょっと腫れて来ているような気もするし・・

或いは或いは、なんて気をもんでいてもしょうがない、と、
店長のアイリーンさんによくよく聞いてみたところ、

どうもブッチ君、
異様にがっついているらしい・・

その名もひと呼んでハングリー・ブッチ。

ははは、でも、ほら、
食欲旺盛なのはとっても良いことだから、と。

ただでさえ、食の細い都市型犬の中で、

思い切り遊びまわって、思い切り食べまくって、
思いっきり寝て、思い切り大きくなって、
それってまさに健康優良の証拠、と。

そういえば、ブッチ。
ごはんを食べるのがとにかく早い。

ドライフードであれ、缶フードであれ、
出されたものは、
それこそガツガツと息を荒くしながら、
一瞬のうちに平らげる、というよりも、
もう、噛まずに飲み込んでしまっている。
ひと呼んで瞬食のブッチ。
まさに秒食い。一瞬芸の域。

で、しかも、それが底無し。
いくらあげても、さあよこせ、もっとよこせ、
とはしゃぎまわり、
或いは、恨めしげな顔をして、
いつまでもトレイの前を離れない・・

で、ついに、
昨日は、夫婦の夕飯時、

まあな、俺も食べるの早いとよく言われるしさ。
そうだよ、飼い主の真似してこいつまでがっついてるんだよ、
なんて話を知ってか知らずか、
物欲しげに足元をうろうろとしていたのが、

いきなりディナー・テーブルに上、
それも高さ1メートル以上の、
その夕飯の皿の並ぶテーブルのど真ん中に
えいやあ、とばかりに飛び乗って、
いやあ、これには驚いた!!

いきなり食卓上に犬の出現、
二人とも箸を宙に浮かしたまま絶句状態。

本人も思わず驚いていたらしく、
飼い主を見下ろすという異様事態に、
野菜炒めの皿に両足を突っ込んだまま、
きょとんとした顔をしてくんくんと泣き出すしまつ。

あのなあ、と。
おまえ、まじでこのまま食べちゃうよ、と。

という訳でブッチ君、
行く先々でくれくれタコラ状態。
その行動原理の全てが即おやつに直結してしまっている状態。

道行く人にいきなりジャンプしては、
しっぽをふりふり、なんか頂戴!
ゴミ箱の前でいつまでも鼻をふがふがやって、
挙句に道端のゴミ、
ピザの欠片からマフィンの下紙からドリートスの空き袋から、
ありとあらゆるゴミにいっさいがっさい食ってかかって・・

その度に、ダメ!ダメ!と大騒ぎ。

で、嫌々ながら咥えたものを諦めた代わりに、
はい、じゃあなんか頂戴、と、
道のど真ん中でお座りにお手、のポーズ。

あのなあ、下手して鼠殺しの毒でも食べようものなら
イチコロなんだよ、と飼い主の心配も他所に、
もう、この糞ブッチ、食い意地張り過ぎ!

やっぱり、シェルターに収容される前、
どこぞの道端でゴミを漁って生き延びてきたのかな、
と改めてその出生を疑い始めてしまって。

いやはや、悩みの種は尽きませぬ・・




            ~遠方の友に宛てたメールより



ブッチ・ザ・おなら大王

Posted by 高見鈴虫 on 15.2009 犬の事情


そう言えば、と、またまたブッチねた。

ソファに座ってテレビを見ていた時、
なんかどこからともなく、
プーンとリアルなおならの匂い。

で、相方は何食わぬ顔でテレビを見ていて、
なんだけど、あれ?と。
少なくともうちの相方、人前でだけはオナラはしない、筈。
そう、付き合い始めの頃に早々と釘をさしておいた。

別れの原因で一番多いもの、
浮気?性格の不一致?収入格差?
いえいえ、そんな難しいことはないのです。

男が女に愛想を尽かすその発端は、まさしくオナラ!

で、
思わず相方に、オナラした?と。
え、あんたでしょ?とそっけない返事。
くっさい、昼にいったい何食べてるの?
と露骨に嫌な顔。

え、俺はしてないよ、と。

で、思わず、二人で顔を見合わせて、
まさか、ブッチ?・・・

ブッチ君、
昼のデイケアで遊び疲れて、
夜はいつものようにソファの足元のクッションで転寝中。

あーあ、と大口を開けては寝返りを打って、
大胆に両足を広げてお腹を丸出し。

まさかねえ、と、首をかしげていたところ、
いきなり、プー、と軽やかな音。

はれぇぇぇ!と大爆笑、
とその途端に、あたり一面に強烈に匂うオナラ臭。

あれまあ、犬ってオナラするんだね、と。

なんて話していた頃がなつかしい気がするぐらいに、
最近のブッチ君、オナラし過ぎ。

寝ているそばから、食事の途中に、来客中でも、散歩の途中でも、
挙句の果てに、添い寝をしてやっている俺の顔の真ん前で、
プスー、とすかしっ屁。
これが、臭いの臭くないの、と。
たちどころに犯人が誰かばれてしまうぐらいの強烈な奴。

あのなあ、お前、いったいなにを食べてそんなに臭いおならをしてる訳?
と、改めて。
そう言えば、ドライフードに缶フードを混ぜ始めてから、
オナラの臭さが一段と増したような。

やっぱり防腐剤とか色々入っているのかな、
なんて調べていたら、

ねえ、それって、
飼い主の真似してるだけじゃないの?、と冷たい視線。

そもそもそれはあんたのキャラでしょ?

食事中から、ひと前から、
あれ、ちょっとちょっと待って、なんだこの音、
と耳を澄ましたとたんに、ブー!
なんてことやってるからじゃん、と。

ブッチにだって面白がって、
おいおい、ブッチ、と呼びつけておいて
いきなり鼻先でブー!
或いは、
寝ているところに握りっ屁して、
あれ、寝ている間は匂いは感じないのかな、とか、

そんなことやってるから、と、露骨に馬鹿にした顔。

と、そんなある日、
いつものように食後のソファでニュースなんか見てる時、
寝ていたブッチがいきなり飛び起きて、
神妙な顔つきで宙を睨んでいる、
まさか浮遊霊でも察知したのか、と思いきや、
なんか妙な匂いがあたりに漂い始めて。

んだよブッチ、自分のおならに驚いてる訳?
とよくよく顔を見ているそばから、
クンクンと鼻を効かして見せたとたん、
相方の顔を見てワン!と一声。

え、まさか、と相方を振り返ると、
そしらぬ顔をしてヨーグルトのスプーンを舐めながら、
なによ、と怪訝な顔。

でも、この匂い、と。
ブッチ君、してやったりとした顔で尻尾を振りながら、
こいつか?そうそう、ってな感じでニヤニヤ笑い。

さっすがだねえ、といきなり相方。
偉い偉い、とブッチの頭を撫でて。

くっそうばれたか、ブッチのせいにして見ようと思ったんだけど、
なんて、おいおい。

犬ってなんで飼い主に似るのかな。
それも悪いところばかり。




            ~遠方の友に宛てたメールより



  

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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