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睡眠こそが長寿の秘訣

Posted by 高見鈴虫 on 04.2012 犬の事情
どういう訳かうちのブー君は、連休最後の日になると必ず下痢をする。

そのたびに、食あたりか、なんか変なものを拾い食いでもしたのか、
まさかガンじゃあるまいな、とやたらと気をもむことになる。

大丈夫よ、ほら、あたしたちがいると、また何かくれくれってやってきて、
で、いちいちおやつなんてあげちゃうからよ。食べ過ぎなのよ。

とかみさんは割りとそっけない。

でもさ、食べ過ぎって言っても、
こないだフランスパン丸々平らげてた時だって、
テーブルの上のどら焼き4つも食べちゃって、
下痢どころかこんな大きなうんこして平気な顔してたし。

だから、干し肉だとかローハイドとか、犬のおやつは消化に悪いものばっかりでしょ?だからよ。

という訳でブー君はこの連休、また日曜の夜になって体調を崩した。

散歩の途中にゲロを吐き、おまけにひどい下痢。
帰ってからも見るからに元気がなく、ぐったりと寝てばかりいる。

おいおい、いつもの元気はどうした?今日の昼間だってセントラルパークであんなに元気だったのに。

ブー君の元気がないと俺も手持ち無沙汰。
いったいどうしたって言うんだよ、と首を傾げながら添い寝していたら、
そのままつられて寝てしまった。

という訳で翌朝、夜明け前に目が覚めて、
いやあ、ぐっすり寝た、寝すぎた、と起きだしたのだが、
当のブー君はまだお休み中。

あれ、ブー、お散歩は行かないのか?の声にも、
首を上げるだけでまたパタリと寝てしまう。

これはますます様子が変だ。
まあ夜中に具合悪いと起こされなかっただけましなのだが。

という訳で、連休明けの一日目はいつもそわそわ。
溜まっている筈の仕事も早々に切り上げて、
定時と同時に地下鉄に飛び乗るわけだが、
人の心配も知らずに、
ドアを開けた途端に飛び出してきたブー君。
元気元気、まさに罰当たりなぐらいに元気。
普段から何かに驚いたようなどんぐり目玉を、
尚更に見開いてまるでスパークが散りそうなぐらい。
コートを脱いだ途端に飛びついてきて、
ソファーとベッドの間を走り回って、
で、仕事着をハンガーに吊るしたとたん、
さあ待ってました、と抱きついてくる。
顔中なめなめから始まって、そのままベッドの上ででんぐり返しを繰り返し、
挙句の果てに俺の上に寄りかかり乗っかって来てと大変な騒ぎ。
なんだよお前、心配させやがって、とは言いながら、
この元気こそがなによりの証。

という訳で種明かし。

犬の睡眠時間は、12時間から15時間。
特にうちの犬のように運動量の多いハイパーな犬は、
がむしゃらに走り回った末に、いきなりぱたり、と電気が切れたように眠りこけて、
を一日中繰り返すそうで、結果、普通よりも尚更多くの睡眠時間を必要とする、らしい。

普段の生活サイクルとして、
起床が朝6時。夜明けの公園を1時間半、縦横無尽に走り回って、
帰って朝ごはん。
俺はそのまま仕事に出るが、
かみさんが仕事に出るのが8時半。
で、日中はずっと放置プレー。

俺の仕事が終わって帰ってくるのが6時半、として、
果たしてこの時間、なにをしているのか、一人で寂しくないのか、
と常日頃から心配していた訳なのだが、

改めて指を折ってみると、
夜かみさんが寝る1時過ぎまで付き合っていたとして、
ブー君の一日の睡眠時間は、15時間。
つまり、昼の間にずっと寝続けていても、睡眠時間としてはかつかつな訳だ。

普段からそうやって過ごしているところを、
いざ連休だ、と言ったとたんに思い切りがっついて、
朝は一番からセントラルパーク。
9時のドッグタイム終了時間ぎりぎりまで、
72丁目からモールからイーストメドウからボートハウスから、
シーダーヒルからグレートローンからを自転車とともに疾走。
休憩のたびにボール遊び。
チェリーヒルにたどり着いた辺りで9時直前。
慌てて犬仲間たちに挨拶をした後は、
まるでシンデレラそのままに72丁目のエントランスを目指して全力疾走。
その後、ちょっと遅目の朝飯を腹いっぱい食べて、
で、俺たちの朝飯にまで付き合って、
その後、部屋の掃除だ洗濯だ、の間も周りでちょろちょろ。
で、昼のドッグランでボール遊びをした後、
昼飯がてら買い物にでも行こうか、という時になって、
また、連れて行け、連れて行け、と駄々をこね始め、
で、しかたなしにお供させてしまうわけだが、
その途中でも必ず、
どうしても、どうしても、どうしてもセントラルパークに行きたい、
と聞かず。
結果、地下鉄にもバスにも乗れずに五番街への道のりを
永遠と歩いてパークを横断する形になり、
で、買い物の途中にもあっちをきょろきょろこっちをきょろきょろ。
帰り道は帰り道で人ごみに驚いて目をぱちくり。
ようやくたどり着いた時には既に足が棒のようで、
しかし、あれ、そう言えばうんちしてなかったな、
と晩飯前のドッグランでまたボールボール。
帰って夕食。腹いっぱい平らげた後に、
またまた俺達の夕飯にも付き合って、
で、ようやくテレビでも見るか、とソファに座ったところを、
いつもの犬仲間から散歩のお誘い。
はいはい、判りました、と出かけて、帰ってくるのが11時過ぎ。
連休中、それが3日4日と続くうちに、
だんだんと睡眠不足から来る疲労が溜まって体調を崩し、
ということになっていたらしい。

あれまあ、このエネルギーの塊、
タフを絵に書いたようなオーストラリアン・キャトルドッグが、
まさに3日4日の遊び過ぎで過労ダウン?

が、しかし、実は犬にとっての一番の大敵は、実にこの睡眠不足らしい。

ものの本によると、
世界で一番過酷な労働を強いられるエスキモーのスレッジ・ドッグでさえ、
2時間の移動の後は必ず一時間の休み、と取らせているそうだ。
もしもそれを怠ると、なんとエスキモー犬は過労で死んでしまうらしい。

疲れ知らずのこの元気の塊りのような犬が、
元気でいられるのは実はこの睡眠のおかげ。

どうもね、人間も犬も、長寿の秘訣は実は睡眠らしい。

よく寝る人は長生き。睡眠不足の人はそのまま早死するんだと。
人生のうちに目を開けていられる時間ってのが限られているってことなのかな。

という訳で、これまでかなり後ろめたかった平日の空白。
実はそのまま一人で寝かしておいてやるのが長生きのなによりの秘訣だたらしいのだ。

なあんだ、そうか。

そう思うと、寝ている犬の姿がなおさら愛しく思えてくる。

よく寝ろよ、そしてうーんと長生きしろよ、と頭を撫でながら、
いつの間にか俺もつられて寝てしまっていた。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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