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モモフクらーめん

Posted by 高見鈴虫 on 19.2008 ニューヨーク徒然
ニューヨークはラーメン・ブームなんだそうで。

で、
NEWYORKの駅でよく配っているフリープレスのAMNEWYORK、
今朝、いつものように地下鉄の中でそのAMを眺めていたら、
FOODセクションのページにいきなりラーメンの写真がでかでかと。
おおお、旨そう!と思わず内容を読んでみると、
モモフクってな名前のラーメンが一押しである、とのこと。
あれあれ、なんだそれ。
セタガヤやら麺喰い亭やらなら聞いたことあるけど、
モモフクとは一体なんぞや、
なんて思っていたら、
いきなり隣りの席のおばはんから、
ねえ、これなに?おいしいの?といきなり聞かれて、
いやあ、モモフクらーめん、聞いたことねえな、
と答えたとたん、いきなり前に立っていたおねえさんが、
あれ、モモフク知らないの?
そこのヌードル最高よ、わたしも良く行くのよ、と。
へええ、と俺まで関心。
したところ、
なになに、カップヌードルより旨いのか?そんなに味が違うのか?と。
以外にシリアスな視線が社内から集中。
あんた何を言ってるの、日本のラーメンは最高においしいわよ、とお姉さん。
向かいの席のおっさんからドアの脇のおばはんまで首を突っ込んで、
え?なになに、どのページ、ああ、これ、ジャパニーズ・ヌードルね、と。

俺の頭越しに、ラーメンの良し悪しをガイジン同士が大論争、と。
ははは、まあいいけどさ、と笑っていたら、
で、ねえ、あんた、ニホンジンでしょ?
本場の人としてはどこが一番お勧めなの?
と、いきなり水をむけられて、
しばし、うーんと悩んでしまった。

そう、ここ最近のニューヨークのラーメン戦争、
割と激化の一途らしくて。

ニューヨークのラーメン屋の歴史としては、
古くはどさんこから始まり、タイムズスクエアのサッポロから、
麺ちゃんこ亭から麺喰い亭から味干ラーメンから、
とそしてダウンタウンではMINCAとセタガヤがガチンコ勝負、
それに博多一風堂が参入、と割とHOT。

で、そう、俺的には、
うーん、そうだね、やっぱりMINCAかな、と答えたところ、
一同、うーん、とうなってしまって、
やっぱり本場は違うんだな、と感無量と言った感じ。
いやほら、おれは、油っこいの好きだからさ、と。
でも俺の友達はセタガヤだって言ってるけど、
と言ったとたん、そうよ、その通り、セタガヤが一番、
とまた他から声がかかって、
と言う訳で、へえ、さすがゲテモノ食いのニューヨーカー、
ラーメンのことも一応チェックしてるんだね、
とこちらが関心する始末。

前に乗っていたモモフクが一番と言ったおねえさん、
俺がMINCAと答えた時にちょっと悲しい顔をして見せて、
降りる時に、こんどモモフク食べてみるよ、
と言ったらいきなり満面の笑顔。
うん、行って見て。凄くおいしいからさ、なんてウインクひとつ。
ははは、こりゃ行くしかないかな、と。

で、会社に着いてから
さっそくラーメン通ナンバーワンにメール。
おい、モモフクって知ってるか?と。
間髪を居れずに回答が帰って来て、

あんなものをラーメンとは言えない、
との手厳しいお言葉。
まあガイジンにはえらい人気だけどさ、と。

ガイジンに人気のラーメン屋、モモフクかあ、
と謎は深まるばかり。
NEWYORK TIMESでも絶賛、とかあるし、
地下鉄のおねえさんのキラー・ウインクも手伝って、
これは物は試しに言ってみるしかないかな、と。

と言う訳で、
行ってまいりましたモモフク・ラーメン。

ガイジンに(だけ)大人気のラーメン屋、
その秘密を探るって感じ。

AMNEWYORKの宣伝の効果か、
雨の中にもかかわらず大盛況・大行列。

おしゃれなムードライトの中、
店内には見渡す限りガイジン=白人の方々が一杯、
カウンターの中のウエイトレスさんもなにげに白人の方々で、
ふとするとその辺のおされなカフェバーって感じ。

でメニューって言うのが、
特製モモフク・ラーメンってのは良いにしても、
その上にある、ポーク・ネック=豚の首ラーメン、
なんだそれは、と。
豚に首なんかあったのか?と、思わず???モード。
ならそれください、と言ってしまうところがまた俺。

と言う訳で出てきた豚の首ラーメン。
いきなり海苔、
あ、これはまあ良いとしても、
突如の半熟卵、おいおい、これサルモレラ菌大丈夫か、
と思いながら、ふと麺をすくうとのびのびにのびたうどん、
みたいのがどてっと底に沈んでいて固まっていて、
その上から、高菜、に似せかけた、
でも食べてみると、あれ、これちょっと甘くない、と。
そう、カラード・グリーン、黒人料理によくついてくるやつ。
味?全然合わないよ、当然のことながら。
で、お目当ての豚の首、
なんだこれ、
ねえ、これって、もしかして
チポトル=メキシコ系ファストフードに出てくる、
あの、裂き裂きのポークなんじゃないの?と。
で、目の前に、ほれ、と置かれたのが、
タイ料理とかコリアンによくでてくる、チリ=唐辛子ソース。
おやまあ、と。
つまりこれ、なんか世界の具を集めた多国籍ラーメン、
って感じ、らしい。

で、肝心のスープなんだけど、
これ微妙、というか、むむむむ、って感じ。
なにでダシを取ってるのかな、とかそういう次元の話じゃなくて、
なんか、ほんと、よく判らない。
でもなんか、ほんのりと、甘い・・・
そう、甘いラーメン。
あのあなあ、と。
甘いラーメンなんて聞いたこと無いぜ、
なんて、箸叩きつけて立ち上がる、
のを通り越して、
ちょっともしかしてこれ凄くない?ここまで酷いと、と。

で、お連れの方の頼んだモモフク・ラーメン。
これももう、スーパーごった煮状態。
まったくもって、なんだなんだって感じ。

でね、凄いことを発見。
実は、最初に一口食べてみて、
あれ、でも、そんなに悪くないんじゃない?
とか思ったんだけどさ、
で、ちょっと食べたところで、じゃあ交換ね、とやったんだけど、
したらいきなり、うげ、なんだこれ!と。
お連れの方も目をぱちくりさせてて、
あれ、味が変わったよ、と。
で、改めて、
ねえ、これ、むちゃ不味くない?と思わず顔を見合わせて、
ガハハハハ、と大笑い。

で改めて、スイッチバック!
と、もう一度交換したら、ぐげ、なんだこれ、と。
不味さ倍増、二倍二倍の四掛け。

お連れの方から思わず一言、
言わせて貰えばこのわたし、
とりあえず出されたものは何でも食べる、
だけが自慢で通してきたこのわたしに、
駄目出しされるって、これ、ほんと、
かなーりやばくない、と。

そう、そのとおり。
俺も生まれてこのかた、ヤグラの親子丼以外のもので、
不味い、食べれない、と言ったひとつも無い。
そう、俺、これまでに、自慢じゃないけど、
犬だって猫だって蛇だって鼠だって食ってきた男。
なにをこれしき、とは思うんだけど、
ううう、これは、これは、ちょっとねえ、と苦笑い。

そう言えばカウンターのロシア系のウエイトレスさん、
さっきからちらちらと俺達を見ていて、
むふふふ、実は俺もまんざらじゃないのかな、
なんて変に期待していたりしてたんだけど、
丸々残ったどんぶりを見て、
やっぱりなあ、と言った表情。
ははは、やっぱり?
うん、やっぱり、って感じ。

そう言えば、混み合った店内、
ニホンジンどころか、コリアンも、チャイニーズも、
つまり、ラーメンの味に慣れ親しんだエイジアン、
見事にひとりもいない。
ガイジン。ほとんど白人。
つまり、ガイジン専用のラーメン屋、と言った感じ。

連れの人、オリオン・ビールの酔いも手伝ってか、
後ろに席待ちで並ぶ人々に、おまえら、アホか、と大声で。
騙されてるよ、これは人間の食べるものじゃないよ、なんて。
そう、なにを言っても大丈夫!
ここはニホンジンのひとりもいないラーメン屋なんだから。

と言う訳で、ビールとチップ込みで2人で50ドル。
うーん、とこれが本当の苦笑い、なんてしないよ、
まっじいいいいいい!と大声で、
たっけええええ、と声を張り上げて。
げえええ、ゲロ食ったほうがまだましだぜ、と正直に。
大丈夫、日本語通じません。

という訳で、
帰り道の雨の中、
強烈だったよね、
なんてったって甘いラーメンだもんね、
いやあ、噂に違わず
でもほら、悪いことってのも一応見ておかないと悪いとも判らないしさ、
そうそう、ものは経験、
でもさ、ガイジンにラーメン喰わすと、みんなショッパイって言うし。
すし屋連れてけば、醤油が嫌いだって言うし、
味噌は臭い、とか、ワザビは何につけても最高だ、とか、
そう、やっぱりガイジンの味覚って判らないよね、と改めて。
あれを旨いと言われた日には判りたくも無いけどさ、
と顔を見合わせてがははは、と。

と言う訳で、ニューヨークの日本食ブーム。
でもね、
こいつら、日本食好きだとか言いながら、
結局なんにも判ってないんじゃないの、
と言ってしまうのは簡単。

あるいは、このモモフクラーメン、
もちろん、ニホンジンの作品じゃない。
ニホンジンだったら、これやっぱり、作れないよ。絶対。
だって、俺らニホンジンだもん。さすがにね。

つまり、モモフクラーメン、
ニホンジンじゃない人が、
日本食ブームに乗っかって、
どしろうと相手に日本名を語ってどうしようもな偽物にして訳で、
それを、詐欺だ、偽証だ、国家冒涜だ、
なんて言うのは簡単だけどさ、
まあいいじゃない、そんなこと。
だってここはニューヨーク。
結局、なんでもかんでもどうでもいいのよ、
誰もなんでも、好きなように好きなもの食えばいいじゃない、と。
何が好きか嫌いかなんて、人の勝手なんだから。

でね、
このニューヨーク・バージョンのラーメン、
これって実は凄いことなのかなって思った。
だってさ、
本場のラーメン、究極の味、とか良く言ってるけど、
ガイジンの味覚に合わせたラーメンなんて、
少なくとも本当にラーメンが好きなニホンジンには、
ちょっと絶対に考えれない筈、でしょ。

これつまり、ガイジンだからできた柔軟さ、なんだよね。
つまり、歩み寄ったんだよね、と。
つまり、攻め入った訳だ、と。
どんな形であれお客様に喜んで貰えるなら、
別に本当の味である必要なんか無いんだ、
なんて、
そう、ニューヨークなんでもありなんだから。

と言う訳で、
そう、別にいいじゃない、モモフクが好きなラーメン党が居たって。
俺達は勝手に俺達の好きなラーメンを食べれば言い訳でさ。
インドカレーも好きだけど、日本のカレーも好きでしょ?
同じこと。

と言う訳で改めてその翌日、
口直しとばかりに言ってまいりましたMINCA・ラーメン・ファクトリー。

ここのラーメンも開店当時は、
なんじゃこりゃ!と酷評されたけどさ。

でもね、いいんだよ、人がなんと言おうと、
本場であろうがなかろうが、
そんな能書きは俺にとっては関係ないもんね。
だっておしいんだもん、好きなんだもん、と。
お前らは、訳も判らずモモフク食ってろ、
ウンチク並べてセタガヤ食ってろ、
おれたちは例え世界でたった一人になったとしても
やっぱりMINCAでGOだ、すっこんでろ、
なんて嘯きながら、
いざ辿りついたMINCA,
したらなんと、人で一杯。
それもガイジンだらけ。

あの、1時間待ちになりますが、なんて。
嘘だろ、こんなに腹減ってるのにさ、と。

と言う訳でひとこと、
あのなあ、お前ら、
箸の使い方も判らないで
いつまでも延びた麺でべちゃべちゃやってやがるから店が混むんだよ、
どうせ味なんか判らないんだから、おとなしくモモフクでも行ってくれよ、って。
頼むから本場の味なんかに興味を示さないでくれよって。

したらいきなり一同から、
おおおおお、モモフク・サックス!の大合唱。
あんなもの食えたものじゃねえ、糞不味い、ゲロが出そうだ。

なんだよ、お前らもわかってるんじゃないの。

そう、人間、目の色、肌の色が変わったぐらいで、
そうそうと変わるもんじゃないよね。
つまり、モモフクのラーメンが旨いという人は、
糞食ってもげろくっても、旨いと言うはずなんだよね、と。
つまり、ザガットもNYTIMESもその程度なんだよ、と。
金貰えばなんでも書いちゃうの、彼らも商売なんだからさ、と。

と言う訳で、ラーメン党氏にすごすごとご報告。
噂に違わず凄かったな、モモフク、と。
やっぱり行ったのか、と。やっぱり行っちゃうよな、普通。
どれだけ酷いのか確かめたくなっちゃう、
そういうものだよニューヨーカー。

でもね、
モモフクの前を通るたびにちょっと悲しくなるよね。
日本文化が誤解されてる、とか、そういうのじゃないと思うんだけどさ、
なんて、いつになくしんみりとした言葉。
世界にはまだまだこれだけ訳の判らない人がいるのかな、と。
選挙でBUSHが勝ったときと同じ、絶望的な疎外感、というか。
あああ、人間がわからなくなった、というあの感覚を、
思わず思い出してしまうのかもしれない。

友よ、まだ、大丈夫だ、一風堂がやってくるぞ。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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