Loading…

ブッチ血便騒動 その2 「ダンテのこと」

Posted by 高見鈴虫 on 14.2013 犬の事情   0 comments   0 trackback
昨夜はいきなり夜中の4時にゲロだ下痢だでおこされて、
さすがに今朝は大寝坊。

普段は夜明けと同時に向かうセントラルパークの代わりに
今日は近所のドッグランでお茶を濁そう、とやって来たのだが、

ゲートをくぐったとたん駆け寄ってくる顔見知りの犬たちとの挨拶もそぞろに
一目散に走り込んだ角のうんちスポット。
背中を丸めた途端、ブーっと飛沫が弾けるような下痢。

なんだよなんだよ、いきなり下痢か?
と走り寄ってみると、
え!?!?

なんとその下痢便、まるでトマトケチャップのように真っ赤ではないか!
お前、もしかして、なんかヘンなもの食ったか?
赤い食べ物?赤ピーマン?ミートソース?唐辛子?
あるいは・・・・
これはもしかして、血便という奴ではないだろうか!

という訳で、思い起こすのはダンテのことだ。

一昨年の夏、ブッチの大親友であった三歳のロットワイラーのダンテ君が急逝した。

朝一番のドッグランで、ブッチと二人で夢中になって走り回っていたと言うのに、
ダンテの姿を観たのはそれが最後になった。

その後ブッチと別れてから、いきなり下痢と嘔吐を繰り返し初めて、
家に引き返してからも症状が悪化。
結局、その日の午後になってから病院に運び込んだ時にはすでに遅く。
そのまま診察台の上で息を引き取った。

その訃報を聞いた時、
思わず、えええ、まさか!と絶句。
今朝の今朝まで一緒に走り回っていたのに!

気は優しくて力持ち、ブッチの最高のお兄ちゃんだったダンテ君の、
あまりにあっけない最後だった。

実はね、あの日、ブッチが来る前にうんちをしたんだけど、
それがひどい下痢だったの。
それも、まるで血が混ざったような真っ赤の下痢便。
でもその時はああまたいつものやつだろうな、
多分また変なものでも食べたんだろうなんて、
よく見もしなかったのよ。
だってそのすぐあとに、もうブッチと遊びまわっていたでしょ?
こんな元気なのにまさか病気のはずないって思ってたのよ。

今でも思うの、あの時、あの赤いうんちが血便というもので、
あれが出たところですぐに病院に向かっていれば助かったんじゃないかって。

だからね、
血便が出た時にはなにがあってもその足でお医者にいったほうがいいわよ、
それだけは忘れないでね。

飼い主であったベローラさんの涙ながらの言葉が蘇る。

まさかな、これがベローナさんの言っていた血便というやつなのか・・

とりあえず、嘘か本当か、既に公園を中を走り回り始めていたブッチを呼び戻す。

なるべく気取られないようにとは思いながら、思わずこわばる声。

おいで、帰ろう!
あれボール遊びしないの?
と首を傾げるブッチ。

だから、ちょっと訳があってもう帰るんだよ。

とたんにドッグランの真ん中に座り込むブッチ。

いやだ。帰らない!

あのなあ・・・・

ほとほと困り切りながら、

お前、つい今さっき、血便を出したんだぞ!

と言ってはみるが、口を大きく開いて、へっへっへ、と笑うブッチ。
確かにまるで不思議なほどに元気。

なにも知らなければ、そのままボール投げを始めてもいいぐらいで、
まさか・・・とは思いながら、

しかしだ・・・
そう、あの時も、ダンテはブッチと元気にボール遊びをしていたのだ。

とその途端、背筋に走る悪寒。
確かに、なんか、今日のドッグラン、強烈に嫌な予感がする・・・

途端に腹が決まった。
おい、帰るぞ、の声に憮然とするブッチ。

だってまだボール遊びやってない!
だからそれどころじゃないんだって!
いやだ!帰らない!
じゃあ置いてくぞ!
へん、ボール遊びするまで帰らない!
バカ、ぶっ殺すぞ、早く来い、帰るぞ!

渋々とやってきたブッチ。
恨めしげに俺の顔を伺いながら、リーシュを付けてからもたびたびに足を踏ん張って、
あわよくば引き返そうと虎視眈々。

まあ、とりあえずだ、とりあえずこのうんちを医者に見せて、
で、OKだったらまたドッグランに連れてってやるからさ。
まあ今日は休みだし、あとでセントラルパークに言っても良いしさ。

え?セントラルパーク?と聞いてとたんに元気になったブッチ。
うっし、行こう、今行こう、このまま行こう、と大ハッスル。

で、公園の入り口から、WESTENDの三叉路の交差点を横切ろうとした所、
あれ、と首を傾げたブッチ。
そのまままるで照れ笑いをするようにすり寄ってきて、
ちょっと、待って待って、と片手を上げて、
で、また、
あれ?と首をかしげながら、
あれ、あれ、やばいやばい、とそのまま背中を丸めて、ブーっと下痢便。

あのなあ、お前、よりによって交差点の真ん中でうんこすること無いじゃないか、
と見ると、もう下痢便は、便にもあらず、まさにまっかなジュースのようん。

なんだ、なんだ、これ。真っ赤じゃないか!

その時になってようやくわが身の異変に気づいたブッチ。
そうだね、帰った方がいいかも、と、ふらふらと歩き始めるが、
ハハハ、といつもの照れ笑いを浮かべる間もなく、
ふたたび足を止め、うっぐっぐっぐ、と喉を鳴らせて、ぐへっとゲロを吐いた。

やばい、やっぱりダンテの症状そっくりだ!

信号が変わって、いきなり、パパッパとクラクションの洪水!

うるせえ、黙ってろ。うちの子が大変なんだ。ちょっとぐ待ってろって。

取り敢えず、両手に抱え上げたブッチ。あれお前、なんかいきなり凄く軽くなったぞ。

そのまま、なだめてすかして取り敢えず、最寄りの獣医への道を歩み始めるが、
己の身体の異変に気がついたブッチ、それよりは家に帰りたい、と抗いはじめる。

え?家に帰りたい?

だったら・・と考えた途端、いきなり頭に流れ始めるあのダンテのこと。

家に帰っちゃいけない?
そうか、あの時ダンテも慌てて家に帰ろうとして、
で、そのままあの怪力でベローナさんを家まで引きずって行っちゃったんだ。
で、家に帰ってばたんきゅう。
そのまま昏睡と下痢と嘔吐を繰り返して、という事だったのか。

つまりそういうことなのだ。
これはダンテからのメッセージなのだ。

なにがあっても、ブッチをみすみす死なせる訳にはいかない!
ダンテがそう言ってるのか・・・


  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://shumatsuwotohnisugit.blog.fc2.com/tb.php/1141-dc10b8fe

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

月別アーカイブ

検索フォーム