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新年の誓いの終わり

Posted by 高見鈴虫 on 17.2013 とかいぐらし   0 comments   0 trackback
年明け早々のバタバタも一段落。
久しぶりにオフィスに戻り、
朝一番のミーティングが思いのほか順調に終わり、
頭の痛かった案件が延期となった。
と同時に、
新しい案件のキックオフミーティングが午後一番。

さてさてまた忙しくなるぞと思った矢先、
ふと見るとマテ茶がからである。

ついでにふと見ると
今年に入ってからの禁煙をささえていたニコレットの箱が空。

うーん会議の前にマテ茶でリフレッシュしたかったのだが、
おまけにちょっと腹が減った。
時計をみると11時半。
昼休みにはちょっと早いかとは思いながら、
まあこっちは朝の5時に叩き起こされている手前、
今更昼飯の時間が30分早くなろうが誰に文句を言われる筋合いもない。
加えてこのオフィスである。
上司も同僚もいないオフィスに一人、
勝手に机を構えて勝手に仕事をしている、というこの衛星社員。
まさに気楽な物なのである。

という訳で、
さっきプリントした書類を取りに行ったついでに、
久しぶりに二階にカフェテリアを覗くきになった。

普段の昼飯時はどこのカウンターも長い行列ができてごった返しているカフェ。
それが30分早いだけでもぬけの空である。

という訳で今日のスペッシャルの世界の料理。

おお、今日はメキシカンか。

そう言えば去年の年末からずっとメキシカンを食いたいと思っていたのだが、
そうこうするうちに風邪を引いてダウン。
で医者で計った体重がなんと去年の10パウンド増し。
風邪なんかよりも、その体重増のことのほうがずっと大問題。
どうせ風邪で食欲もないし、とそのままダイエットに突入していたのだが。

そうかあ、メキシカンかあ、
と熱々の料理を乗せて並んだばかりのトレイをみているうちに、
なんとなく皿の上にトルティージャに手が伸びていて。
とすると、
やばい、いつもの癖でとりすぎちゃった、と思いながら、
一度取ったものを今更返すわけにもいかず、
そうかあ、トルティージャ4枚かあ、
と言うことは、
とついついいつもの貧乏性で、
取ったトルティージャに合わせておかずを取り集めているうちに、
なんと御会計が12ドル。
いやはやしまった、と頭をかきながら、
どうせメキシカンを食うならコーラが無くては寂しいと、
自販機でコーラを買おうとしたら、なんといつものゼロが売り切れ。
だったらダイエットか、とも思うが、
どうせゼロが無い以上、砂糖もサッカリンも変わらないだろう、とばかりに、
思わずレギュラーの赤い缶。
一口飲むとこのシュワーッとした香り。
うーん、うまい。美味すぎる。やっぱりコーラはレギュラーに限る!
とかなんとか言いながら、
手のひらに広げたトルティージャの上に、
ピコデガジョからシナントロからワカモレから、
チキンからビーフからシュリンプからと並べては、
思い切り大口を開いて、むぐっと頬張ると、
ううううううん、おいしい!と顎の先にまで垂れたジュースを拭い拭い、
とかなんとかするうちに、
あっという間に12ドルのビッグランチが胃袋の中。

いやあ、おいしいなあ、暖かい料理。

ここのところずっとサンドイッチやコーンフレーク、
つまりは冷たいものばかり食べていたのだが、
改めてこの料理の暖かさの、あまりの温かさに腹の底から心の底まで、
ジーン、と染み渡るよう。

がしかし、ここまで来て、仕上げのコーラを、と見ると、
あれええ、空じゃないか!

そう、久しぶりのレギュラーコーク、
あまりの美味しさに配分を考えずに飲んでしまったもので、
仕上げの一口を残すのを忘れていた。

うーん、この口の中に残ったメキシカンの匂い、
これをコーラで洗い流さず、というとなんとも片手落ち、
という気がして、思わず、えいやあ、とレギュラーコークをもう一本。

思わず、グビグビと喉に流しこみ、
いやあ、旨い、とゲップを一つ。

このコーラ、そう、俺はコーラが好きだ、本当に好きだ、と涙が滲むようだ。

というう訳で食事を終えて時計を見ると、なんとまだ12時前。
で、ふといつもの癖からニコレットの箱を覗くと、
そっか、もう空だったんだ。

腹いっぱいのメキシカンにレギュラーコークの赤い缶。

まだ冷たいうちにタバコを片手にくーっと行きたいものだなあ、
と思いながら、ふと見ると引き出しの奥にタバコの箱。
で、ふと中を覗くと、あれええ、まだ半分も残っている。

そうか、風邪を引いて咳が止まらず、
もしや肺癌では、と思った時に、
こなくそ、とばかりに封印してしまった奴なのだ。

そっかあ、まだあるのか、と思った途端、
気がついた時にはビルの前。

いやあ、青空だな、今日な妙に温かいぞ、
と伸びをしながら、
唇の先からすっと吸い込んだ冬の空気。

焦げた香りの中からジワーっと広がるなんとも言えないニコチンの刺激。
くっ、きつい、と思わず咽そうになるのを、
喉に残ったイガラと一緒にコーラで洗いながし、
とたんに襲いかかるくらーっとくるめまい。
いやあ、ニコクラかあ、この感覚も久しぶりだなあ。
と、
そして二服目三服目、とするうちに、
いつのまにか、それはあまりにも当たり前のいつものタバコと成り果てていて、
いやあ、旨い。本当に旨い。
そして、いやあ、まさに、まったく幸せとはこのことだ、
とさえ思って見上げた冬の空。

かくして新年の誓いは、2月の声を聞くのを前にして、
一瞬のうちに潰えさったのであった。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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