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ニューヨークという、このどうしようもなくいかれたオンナ

Posted by 高見鈴虫 on 02.2008 ニューヨーク徒然
旅に出たい、とは常々思っているんだよ。
初めての長い旅から帰った時、
もう旅には出ない、次に出るときには、帰りはしない、
と訳も無く誓ったものだが、
まあ、それが現実となった訳で、
つまり、俺の旅はずっと続いている、
ということになってはいるのだが、

いつの間にかその、旅立つ先が、
日本から、ニューヨークになっていただけの話でさ。

かれこれ、日本を出てもう20年、
もう既に、日本をふるさとと思うのはこちらの勝手な思い込みで、
そう、この20年、もう既に日本は嘗て知ったる俺の育った日本なんかとは、
ぜんぜん違うところになっている、と言うのは周知の事実。

で、問題は、そう変わり果てた日本ではなくて、
そう、それを傍観している俺自身。
なぜかといえば、
俺は正直言って、日本がどうなろうと、
あまりぜんぜん、知ったことじゃない、という気がしている訳で。
逆に面白がっているところさえあって。

だってね、
前回の日本行きから帰った時にも、
JFKから乗ったイエローキャブの窓から、
BIGAPPLEの摩天楼の姿を観た時には、
心底、そう、それはもう、字の通り、心の底の底から、
あああああ、帰ってきたああああ、と、
ほとんどもう、涙交じり状態で、
ああああああ、帰ってきたあああ、寂しかったよおおお、
と思ったもので。
そして思わず、
くっそおおおおお、俺はもう、どっこにも行かねえぞお、
と思わず誓ってみたりもしたもので、

いつの間にか、
こんなにこの街が好きになってしまった以上、
もうはっきり言ってどこにも行きたくない、
というのが本当のところで、
それがまあ、俺がバケーションに行きたくなくなった
理由であったりもするわけで。

が、しかしながら、
ご存知のようにニューヨーク、
早々とスバラシイことばかり、と言う訳には行かない。
ともすると、
一日のうちのほとんどを、
ばかやろう、から、くそったれ、から、このど百姓、からと、
罵声怒声愚痴泣き言の中で過しているわけだが、
そんなヒステリックな声を上げながら、
あああああ、
お前ってほんと、どうしてそうなの?
と地団駄踏み続けながら別れるに別れられない
腐れ縁の糞ビッチそのもの、というか、
まあ、つまりは、可愛いオンナ、な訳であって、
つまり、
そう、いまだに俺は相思相愛愛憎無増状態で
この街とのすったもんだを繰り返している。
そう、
そうなんだよね、俺、やっぱり、このオンナ、
ニューヨークが好きで堪らないみたい。

という訳で、浮気、
そう、純朴な田舎娘、とか、
セクシーな小麦色娘、とか、
子猫のような緑の瞳、とか、
まあ、確かに、ちょっとの間だったら息抜きにはなるのかな、
とも思うのだけれど、
ああ、やっぱり、つまらない、というか、
そう、やっぱり、統括的に見ると、
やはりどこか物足りない訳であって、
わざわざ物足りない、とわかっていながら浮気をするぐらいなら、
ずっとここに居たって別にいいじゃないか、
とさえ思い始めている。

まあ確かに、
最近は街を歩いていてもウキウキすることも、
人だかりを見つけて駆け寄って行く事も、
ましてや、夜遊びもクラブ巡りもレストラン探訪さえもしなくなてしまったけど、
でもね、
そう、ここはニューヨーク、
誰がなんと言おうと、俺が一番愛した街。

この煩さが、このいい加減さが、
この雑踏が、この汚さが、
この鼻つまみの腐れビッチのどうしようもないアバズレが、
やはりやはりどうしようもなく大好きな訳で、
騙されれば騙されるほどに、
痛めつけられれば痛めつけられるたびに、
ああああ、もう、これで終わりだ!!と怒鳴りながら、
やはりどうして、
ああ、やっぱり俺はこの街が好きだ、
とほとほと凹みまくってしまう今日この頃な訳である。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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