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夜道を塞ぐ金網に激突

Posted by 高見鈴虫 on 23.2008 ニューヨーク徒然
こないだの会社の帰り、
残業明けの9時過ぎ。
憂さを晴らそうとIPODで大音響でロッキンロールなんて聴きながら、
イーストリバー沿いの公園をかっ飛ばしていたのだが、
灯りの消えた夜道、
すれ違う時になってふとジョガーやら他のちゃりんこやらの姿が見えて、
おっと、なんて苦笑い。
そう、ここ暗いんだよ。電灯なにもないし、と。
でもこの時間、しかもこの寒さ、
そうそうと人がいるって訳であるまいだろうし。
なんて、
そうちょと調子に乗りながら、
思わず、両手離しでエアーギターなんてしちゃっているとき、
突如、
本当に、まさに突如、
身体が壁に叩きつけられた。

いや、ぶつかる直前、判っていた。
目の前に通りを塞ぐ金網が立ちふさがっていることを。
ブレーキを踏む暇もなくもろに顔から突っ込んで、
思わず身体ごと持っていかれてまさに大の字。
で、自転車がはじけ飛んで、
そのまま下半身も持っていかれて。
しばらくそこに張り付いていたんじゃないか、というぐらい。
まさに、カートゥーンの、バックスバニーそのもの。
トムとジェリーそのもの。
目の前の火花が、頭のまわりのピヨピヨが去るのを待って、
くそ、と立ち上がりながら、まあ生きていて良かった、と苦笑い。
自転車、ハンドルが曲がって、ライトが飛び散って、
カバンの中身が散乱はしているが、
とりあえず、パンクはしていなし、財布と煙草と携帯は見つかったし、で一安心。
あのなあ、と、改めて。
なんで夜道にいきなり金網張ってるんだよ、と。
その無茶苦茶さに、思わず苦笑い、それを通りこして高笑い。
おいおい、NEWYORK、なかなかやってくれるな、相変わらず、と。
煙草に火をつけて、
改めて右手の甲を引っかいて、肩が痺れていて、
膝の上をハンドルでしたたかに打ち付けていて、
で、極めつけは顔の右側半分に思い切り金網の跡の蚯蚓腫れ。
あのなあ、と、思わず深く煙を吐き出して、
で、金網に向けて思い切りKICK。
したとたんに靴のつま先が痺れて、ああ、ここも打っていたのか、と。
さすがに馬鹿らしくなって。
でもまあ、あれだけ酷くぶつかったにしては、
骨は折れてないし、自転車も壊れていないし、
まあいいじゃねえか、顔ぐらいなら、と。
血の味はするが歯は折れてないし。
鼻血は滲んでいるが曲がってはいないみたいだし。
という訳で、再び自転車の人。
ウィールも曲がっていないし、ハンドルも折れていない。
後輪のギアからキーキー音がするのは今に始まったことじゃないし、
なによりパンクしていないってのが一番うれしい。

でも改めて、
本当に改めて、
なんだって夜道の真ん中に金網なんか張ってあるんだよ、と。
工事中、であることはわかるのだが、
つまり、
これで金網がなかったら穴の底にまっさかさまって状況もあったとしたら、
それはそれで金網があってくれて良かった、となる訳で。
まあNEWYORKだったらそれぐらいもありえる、と。

でもね、痺れた頬に顔をゆがめながら、
歯茎に滲んだ血の味が薄くなっていくのを感じながら、
ちょっと久しぶりに、NEWYORKらしい体験をさせてもらった、
と、ちょっと嬉しかったりもした。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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