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マリサ・モンテ そのいち

Posted by 高見鈴虫 on 27.2013 ニューヨーク徒然   0 comments   0 trackback
珍しくすんなりと仕事が終わり、
早く帰って犬の散歩に行こうと出かけようとしたところ、
これまた珍しくすんなりと仕事を終えたらしいかみさんと
玄関のところで鉢合わせ。
で、今日の晩飯は?なんて話をしていたら、
そういえば今朝の新聞に載っていたマリサ・モンテというブラジルの歌手、
ブラジルでは超有名な人らしいが、なんて話をしながら連れ立って犬の散歩。
で、会場もビーコン・シアター、つまり我が家の目と鼻の先、ということもあって、
ならば、と散歩の途中にビーコンに寄って、当日券をGET。
オーケストラ席で60ドル+TAX$5。
しかしながら、
俺、マリサ・モンテという人についてなにも知らない。
まあブラジルのマドンナ、というか、シェールみたいな人かな、
ただブラジル人に言わせると、まさに奇跡、のような人らしいな、
なんて話をしながらいつものDOGRUNへ。

ここ数日の真夏日続き。
犬は一日中クーラー付け続けの部屋で寝ている関係で元気一杯。
ながら、街中はと言えばこの暑さでうだり気味。
くっそ、元気が良いのは犬ばかり。
人間は完全に脳停止状態だ、とぼわーっと歩いていると、
ふと目の前の芝生に犬が一匹。
見るからに雑種。柴犬のモコモコしたような奴。

なんだよお前、と話しかけて見ると、
なんとも頼りなさそうな顔で曖昧に尻尾を振るばかり。

もしかして迷子犬?

お前、こんなところに一人でいると、
パークポリスに捕まってシェルター行きだぞ、
と思わずその千切れたリーシュを手に取って、

で、名前は?と首輪を見るがTAGもない。

しばらくあたりを見回して、通りがかる人々に、
この犬知りませんか?とやっているのだが、
誰もが苦笑いをして首を振るばかり。

どうした、お前、どこから来た?
と、身体を撫でるのだが、
まあ見た限りそれほど汚れた印象もなく、
つまりはぐれてから早々と時間が経っているようにも思えず。

が、しかし・・・こいつ、いったい。

ブーの奴はそんな気も知らずに、早くDOGRUNへ行こう、と急かすばかり。
なら、とかみさんに、ブーを連れて先にDOGRUNへ行ってろよ、
と言えども、かみさんがいざ行こう、と促すと、
いや、みんな一緒じゃなくっちゃ行かない、と足を踏ん張ってがんばりだす。

という訳で、野原の真ん中で立ち往生。

ねえ、この子、どうする?と迷子犬の頭を撫でながら、
頭にあるのはまさしく、今日のコンサート、どうしよう、な訳である。

二人合わせて130ドルのチケット。
それをこの迷子犬のために、とは思うが、
しかし、この迷子犬にとってはそれは死ぬか生きるかの問題。

どちらが重いか、と言えばそれはもう犬の事情に決まっている。

まさかドッグランに置き去り、という訳にもいかないし。
まあ飼い主が来るまでここで待つか、
あるいは張り紙してうちに連れて帰るしかないな。

とかなんとかやっていたところ、
ついについに、丘の向こうからそれらき人、
見るからに犬の事情で人生潰したようなおばあさん。
別の犬たちを引き連れながら、
消えた犬の名前らしきものを叫びながら歩いている。

おい、と改めて犬に。

あれ、お前の飼い主?、と指をさすと、
思わず飛び上がった犬。
そのままえっさかえっさかとリーシュを引っ張り初めて、
いやはや、見つかったみたいだね、と一安心。

という訳でやって来たのはまさに歩くドッグシェルターのようなおばあさん。
片足のビーグルやら、片目のピットブルなんてのを連れて、
よたよたと歩いてくる。

いやあ、どうもありがとう。この子は手の掛からない子で、
バッグにリーシュをつないでいたらいつのまにかいなくなってて。

まあでも、慌てて道に飛び出したりしなくて良かったですね、
とリーシュを手渡すと、

ええ、それはよく言ってあるから、とおばあさん。
迷子になったらそこにいなさい、必ず迎えに来るからってね。

ほうほう、と思わず。
そういう会話も通じるものか、と思わずブーを省みる。

こいつ前に一度迷子になったときには、
勝手にテニスコートまで先に行ってしまって、
そこでひとりでボールを齧っていたのだ。

とかなんとか言いながらドッグラン。
おい、今日はコンサートがあるんだから早くウンチして帰ろう、
とやっていたところ、

おっ!見つけた、という感じで駆け寄って来たテニスマニアのTODD。

今日のウィンブルドン見たか?凄かったな、とまくし立てる。

ああ、そうそう、フェデラが負けたってなあ、と言ったとたん、

ええ、フェデラ負けたの?誰に?といまさら驚くうちのかみさん。

あれ、知らなかったの?

え?いつ見たの?会社で?

いや、俺もニュース読んだだけだけど、

という訳で、おいTODD。お前また家でずっとテニス見てたんだろ?
フェデラの試合のこと話せ、と言って見るのだが、
相変わらずのTODDは、自分の話したい話しかしない奴。

ヒューイットとやったブラウンってなジャマイカ人の選手の話ばかりして、
フェデラについてはまるで一言もなし。

おい、だから、俺はフェデラの、と言った途端、
いきなり降り始めた夕立。

おーい、こっちだこっちだ、と大樹の下に逃げ込んで、
人も犬たちも、大きいのも小さいのも、
白人の黒人もユダヤ人もチャイニーズも、
びしょ濡れになって大樹の下で雨宿り。

やばいな、この雨、いつ止むだろう。

なんで?今日なにかあるのか?

ああ、なんかマリサ・モンテって人のコンサートのチケットを買ったんだよ。

マリサなんだって?知らねえな。

と言ったとたん、えええ!マリサ・モンテ!!??と、叫び声を上げるルーシーの飼い主のサンドラさん。
マリサ・モンテ!?ブラジルの?

そうそう。今朝の新聞で見て、有名な人なら行って見ようかと思って、さっきそこでチケット買ったところ。

うへえ、と驚くサンドラさん。まだチケットあるかな?

うん、多分。私たちもさっき買ったばかりだし。

それを聞いたサンドラさん。こうしちゃいられない、とばかりにいきなり、ルーシー、行くよ、と怒鳴った途端、土砂降りの雨の中を走り出して行く。

おやまあ、と顔を見合わせる人々と、そして犬たち。

で、ふと見るや、当のルーシーはいまだに木陰の下。

ねえ、なんか頂戴、と茶色の瞳をくりくりさせて俺に膝に手を置いてはしつこくおねだりしている。

おい、ルーシー、お前の飼い主、ほら、あそこ、と指させど、
え?あ、いいのよ、あれは、とまったく気に留めない風。

ねえ、ルーシー、早く!、と雨の中で怒鳴るサンドラさん。

そんな様子を見たルーシー、
困ったように首を傾げて、で、うーん、と悩んだ末に、
やっぱ行かない、とそのままベンチの下でお座りを決め込んでしまう。
おもわず爆笑。

大丈夫だよ、コンサートが終わるまでこの子はここに座ってるから。

とかなんとか言っているうちに雨が上がり、
途端に走り出た犬たちを相手にボール遊び。

そら来た!と水溜りを跳ね上げて走り回る犬たち。

雲の間から薄日が差し始め、この分なら虹が経つかも、
と空を見上げているのだが、

おっと、そうだ、こうしている場合じゃない、と気を取り直して、

おい、ブー、行くぞ、今日はコンサートなんだ、早く帰らなくっちゃ。

と声をかけるが、ええええ、僕まだボール遊びしたい・・・

と不満顔のブー。

大丈夫よ、コンサートが終わるまでここでボール遊びやってるんじゃない?

とやり返されて苦笑い。

という訳で、走って帰った雨上がりの街。

足拭いて身体拭いて夕飯を上げて、とやっているうちに既に公演の5分前。

うへえ、俺たちの飯、食ってる時間無い、とやりながら、
慌てて着替えて外に走り出る。

で、そうそう、マリサ・モンテっていったいどういう人?

さあ、見てみなくっちゃ判らないけど。

という訳で走りこんだビーコン・シアター。

周りのブラジル人に囲まれて、雨に濡れたままの髪を掻き揚げながら、

そうだよな、ブラジル人のコンサートが時間通りに始まる訳無かったな、と。

という訳で、駆け込みで鑑賞したマリサ・モンテ。

その内容は、と言えば・・・・

まさに、驚愕!というか、まじめに、生涯に残るとんでもないコンサートであった訳である。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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