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「ビー球」

Posted by 高見鈴虫 on 29.2013 嘗て知った結末   0 comments   0 trackback

という訳で、秘密基地を巡るトミザワミキとフジタニキヨシの物語。

実はこの話には後日談がある。

その10年後、
なんと俺の親友の、その友達のサトーシンヤが、
こともあろうに同じクラスになったそのトミザワミキに一目惚れしてしまった、ってな話。

え?トミザワミキ?と思わず驚愕する俺。
なんで、よりによってトミザワミキなんだよ・・

で、よくよく聞いてみれば、
なんとあのトミザワミキは、この初々しい高校1年生のクラスにおいて、
まさに人気一番、という訳なのである。

え?あのトミザワミキが?まさか・・と絶句する俺。

そもそも俺としたところが、あの女が俺とおなじ高校に進学したことさえも知らなかったのだ。
ましてや、女、と意識したことなど一度たりともなかった筈。

女ってより、妹、ってより、まあ、まさに、おもちゃだな、俺にとっては。

という訳で、

そんな話にあまりに浮かぬ顔をする俺を不審に思ったく親友に、
それとなく問いただされて。。。
思わず、あのさ、俺、実は、あいつの、ビー玉の、
という話を、思わず思わず、思わず・・・こぼしてしまった訳なのだ。

という訳で、
それまで1年7組で一番人気であった筈のトミザワミキ。

いつのまにか、ビー球、という渾名で呼ばれるようになって以来、
どういう訳かその支持層が、よい子派から悪い子派へと一挙にシフトをはじめた。
つまり、あの女、押せば落ちる、と踏まれた、ということである。

で、3ヶ月も経つうちに、良い子派のアイドルであったトミザワミキはすっかり不良の一員。
夏休みを前にして、長いスカートに茶髪のカーリーヘアー。
色つきのリップを輝かせたスベ公ルックに一新していた訳だ。

という訳で事情を知っている親友。

なんかトミザワミキには悪いことしたな。あのビー玉の話で、あいつの人生すっかり狂っちまったってところじゃねえか。。。

ははは、と俺。

まあビー玉で済んで良かったじゃねえか。実は俺、もっと凄い話知ってるんだぜ、

と喉まで出かかりながら、ふとその話を思い出した時に思わず股間をきゅーっと冷たいものが走る気がして、
そうか、エロスか、俺はあの時のエロスをまだ引きずっていたのんだな、と気づいた。

その話を親友にするのはそのずっと後のことになる訳のだが。

という訳で、夏のある日。

海からの帰り道。
ダチの単車に送ってもらって、深夜のバス停で最後のタバコを吸っていると、
ふと通りかかったトミザワミキ。
で、その隣には、なんと紫のアフロを来たフジタキヨシ。
なんだてめえら、と思わず。
まさか、お医者さんごっこの続きじゃねえだろうな、と笑ったとたん、
二人の顔が引きつった。
どうも、まさに、図星だったらしい。

え!?まじで?お前ら、まじ付き合ってんの?

まっさかあ、と俺。趣味悪いいい、と思わず大声て笑ってしまったのだが。

という訳で、
そんな俺の忠告も聞かず、
2年進学を待たずに妊娠の発覚したトミザワミキ。
なにを血迷ったか3ヶ月を過ぎるところまで親に隠し通してしまったが為に、
事が発覚したときには既に全てが手遅れ。
で、止む無く高校は休学扱いと相成った訳で、
このまま卒業を待って中卒のフジタキヨシと所帯でも持つのか、
と思えば、出産を前にしていきなりフジタニキヨシが失踪。
で、出産後、トミザワミキはトミザワミキで親に子供を預けたまま、
そのまま学校も世間体もすべてぶっ千切って極道坂を真っ逆さま。

夜の繁華街の階段を転がるビー球のように、
スナックからバーからピンサロからキャバレーからそしてソープ嬢へ、
夜の街のどぶの底へと流され消えていったと聞く。

つまりは、まあ、いわゆるひとつのビー球であった訳だ。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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