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真夏の最中のちょっとしたハートブレイク

Posted by 高見鈴虫 on 12.2013 ニューヨーク徒然   0 comments   0 trackback
俺に取ってはまさしく本当にどうでもいいことなのだが、
このアパートには美人が多い。

アッパーウエストサイドには珍しく、賃貸専用の巨大アパートなのだが、
さすがにアッパーウエストサイドとだけあって、
一人用の小部屋、と言っても30万は下らない。

が、そんなところに一人で住めるぐらいだから、
余程の高級取りか、余程の良家のお嬢様か、
あるいはそのどちらも。

そんな独身貴族の若いお嬢様方。

さすがにタトゥーとピアスの臍だし行け行け、という雰囲気ではなく、
芸能人で言えば、グイネス・パルトロウ、
もうちょっと若めで、レイトン・ミースター
あるいは、テイラー・スウィフト。

つまりは、白人系で、ちょっとお転婆なお嬢様、というタイプ。

ま、そんなお嬢様達。

朝の出勤時ともなれば、まさに水も漏らさぬような、
完璧なセクシー系ビジネスウエアに身を固めた彼女達、
まるで見つめられるだけで切れそうな程にキリリとした面持ちで
朝のニューヨークに散っていく訳なのだが、
夜のブーのお散歩時ともなれば、
すっかりリラックスしたコンビニ・ウエア、
あるいは完全にパジャマ代わりのタンクトップにガバガバの短パン、
なんて格好で、ほろ酔い気分のままでアパートのロビーをウロウロしている訳で、
思わず目のやり場に困ってしまうことも多いのだが。

が、しかし、そこはブーである。

どういう訳か犬を連れていると、そんなお嬢様からも好感度120%。

あっらああ、かっわいい~、と黄色い声を出すお嬢様に、
ブーの奴、またいつもの奴で、大きな瞳をくりくりさせながら、
満面の笑みで、お手、なんてしてしまうものだからもう大変である。

下手をするとそのまま抱きつかれそうな勢いで、
うーん、このお嬢様達、普段はどんなに着飾っていても、
やはり一人暮らし、暇を持て余すことも多いのだろう。

という訳で、その中でも何人か、
うは、これは、もう、女優か、モデルか、それでなかったら、魔女か妖怪か、

というぐらいまでの、完璧な超S級美女。

そのうちの何人かは、俺はともかく、ブーの大ファンで、

ブーの姿を見かける度に、ぶっちー!と叫びながら駆け寄って来る、
なんてことも起きるわけだ。

で、どちらへ?ああ、そこのドッグランまで。
ああ、よかった、私も角のデリまで買い物なんです。一緒に行きましょうよ、
と、つまり、ブーと一緒に歩きたい、ということな訳で、
はいどうぞ、と手綱を渡してあげると、それはもう大喜び。

で、思わずそのままデリでアイスなどを買って、外のベンチでデート気分。

私もわんちゃん大好きで。。ホントなら私も飼いたいんだけど、一人暮らしなのでなかなかそういう訳にもいかなくて。。

と、ちょっと寂しそう。

なんならいつでもお貸ししますよ。あるいはこのまま連れて行ってください。飽きたら返してくれればいいし。

ええ、うそ、ほんと!?まさかあ、ああ、でもブッチ君みたいなパートナーがいてくれたらな、って、いつも思うんです。オーストラリアン・キャトル・ドッグって言うんでしょ?私、ネット調べたんです。可愛いですよねえ。でもなかなか大変な犬種のようで。。ははは、私も欲しいなあ。でも無理だな、いまの暮らしじゃあ・・

という訳で、そんな一人暮らしのお嬢様たちの何人か、実はブッチを餌に裏の公園をお友達デート。

もしやもしや、そのうち、ちょっと寄って行きません?なんて声がかかるかかからないか、
まあね、が、しかし、所詮はこんな犬のおじさん風情、
どう見たって高根の花。お話をさせて貰っただけでもみっけもの、
と思っていたのだが・・・・

という訳で今朝もブーの散歩を終えて飛んで帰って、
取るもの取り敢えずシャワーを浴びて髭を剃って、行ってきます、おっと歯を磨くの忘れた、
とやって飛び出したところ、

アパートの前でホースで水を巻いているホルヘ君。
新しく入社したサービスマンの男の子。
ラテン系の黒人らしく、まるで子犬のような間の抜けた顔をしていつもニコニコ。
ちょっとこいつ、頭が足りないんじゃないのか?というぐらい緩い顔つきをしていて、
たまにそのまま通行人に水をひっかけたりして、やはりちょっと頭も緩そうだな、
とは思っていたのだが、その子犬のような緩い笑顔、なんとなく憎めずに、
ま、いいからいいから、とみんな笑って済ませてしまっていたのだが。

で、そんなホルヘ君。

あまりの屈託の無さから、わりとみんなに気楽に話かけられることも多く、
エレベーターの中でも、あの新しい子、わりと可愛いわねえ、
なんておばさん連中が噂しているのも知っていた。

という訳でホルヘ君。

はろはろーと誰にでも愛嬌を振りまいていた訳だが、
いつの間にか、このアパートに済む独身女性の方々にも顔が売れ始め、
で、まさか、まさか、と思いながら、
なんと、あの、ブッチ~と駆け寄ってくるお嬢様方にも、
いつのまにか大接近。

仕事中に集めたゴミ箱を道の真ん中に放ったらかして、
誘われるままにそのまま買い物に付き合っちゃって、
で、部屋まで運んでくださる、なんて具合に、あれよあれよと・・・

という訳で、入社早3ヶ月も立たないうちに、ホルヘ君、裏方のゴミ掃除やら、
水撒き、やらが本職のくせに、なにかあるたびにロビーの隅でうろうろ。

で、住民リストでチェックした一人暮らしの女の子、が通る度に、
ハロー、と声をかけて、買い物?重そうだね、運んで上げようか?
やら、
部屋の電球が切れたら僕に行ってね。いつでもすぐに飛んでいくからね
やら、
トイレが流れなくなっても、クーラーが壊れても、コンピュータがつながらない時だって、
いつでも僕を呼んでね。僕、こう見えてもなんでもできるんだから。

ってな具合にまさに売り込みまくり。

その姿。まるで股間に赤いものをチラつかっせて、はっはっは、と舌を出すオス犬、そのもの。

こいつ、クソ生意気にもしゃーしゃーとホスト気取りだな、
とは思いながら、嘗てのブッチ・ガールズ達。

いまやすっかり黒い子犬のホルヘ君に乗り換えである。

まあね、そう、そんなもんなんだろな、とは思いながら、
まあね、まあ、そう、彼女だって寂しい時ぐらいはあるだろうし、
とも思える訳で、
バイブレーターで遊んでいるよりは、知恵足らずの黒人のガキ、と言えども、
ぬくもりがあるだけでもましなのかな、

などと、柄にもなくうじうじ・・

くそ、こんなことならさっさと行っていればよかったのだが、とは思いながら、
まさか、かみさんと暮らすアパートでつまみ食い、などした日には、
行った先は必ず覚えているブッチのことだ、
かみさんと一緒の時に、今日は8階、あ、この部屋だこの部屋だ、僕だよ、ブッチだよ、また遊びに来たよ、
とやり始めるに決まっているのだ。

という訳で、いつのまにか恨みつらみモード。

まったくオンナってやつは、どいつもこいつも外面だけはしらっとしているが、
やっていることと言えばその辺りのクソババと同じ。頭の中は男漁りという訳か、
などとちょっとしたハートブレイク気分。

が、そう、だがな、と大人の俺はすぐに思考の転換。

もしも、ホルヘが19歳の黒人の女の子で、
ちょっと頭は足りなそうだが誰にでも愛想が良くいつもニコニコ。
で、仕事大変だね、部屋で冷たいものでも飲まない?
と言ったら、うん、ありがとー、とほいほい着いてきて、
なんて具合だったら・・・・

あの子ね、そう、あの新しいサービスマンの女の子、
20ドルも出せばほいほいとやらせてくれるぜ。
それがさ、あの身体、若くてぴっちぴちでさ、もう貯まらないねえ。
え?大丈夫大丈夫、みんなしてるから。
だって声かけたらいつでも付いて来るんだし。
お前も今度ロビーで見かけたら声かけてみな。
かみさんが帰ってくる前にちゃちゃっと息抜きには持って来いだぜ。

なんて話をされたら・・・行っているか、行かないか・・・多分・・行っているだろう。だろ?そうだろう?

という訳で、年収2800ドルの21歳の新人サービスマンが、

グイネス・パルトロウだ、レイトン・ミースターだ、あるいはテイラー・スウィフトだ、
なんていう世界の美女を、片っ端から食いまくっている、という現実。

なんとなく・・・ちょっとアンフェアだ、とも思うわけなのである。

真夏の最中の、ちょっとしたハートブレイク気分なのであった。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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