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地下鉄の八と十分の一

Posted by 高見鈴虫 on 01.2013 ニューヨーク徒然   0 comments   0 trackback
朝のラッシュ時間。
混みあった地下鉄の中に、
座席の横一列を全て占領する一家族。
見るからにカリビアン系であろう、
まさに漁師の母のような褐色の母親。

ホームレスではないのだろうが、
まさに夜逃げの真っ最中、
というような巨大な荷物を右左に積み上げて、
そんな母親の腕の中にはまだおむつの取れない女の子がぐずって泣き声を上げ、
そしてその前の乳母車には同じぐらいの男の子が、
顎の下からはだけた胸のあたりまでよだれでべろべろ。
その隣りには7~8歳であろう、見るからにやんちゃそうな男の子を筆頭に、
数えて5人の子供達がずらり。
合計、なんと7人の子供達。
そのどれもがまさに監督不行き届き。
汚れ切ったシャツをまくりあげ、
靴は脱ぎ捨てる座席の上に寝転んでは飛び上がり、
まさに動物園の猿山そのものの大騒ぎ。

まあ子供が元気なのは良いことなんだけどな、
とは思いながら、
こんなガキどもを引き連れたその母親。
諦め切っているのか、
あるいは、開き直っているのか、
人々の冷たい視線にいちいち睨み返しては、
何見てんだよ、なんか文句あるのかよ、バカどもが、
と肉々しげに舌打ちを繰り返している。

どう見ても経済的にあまりに恵まれていなさそうなこの家族。
当然のことのように父親の姿はみられず。
しかしながら、いやはや、
そんな経済状態でありながら、
よくもこれだけの子供を作る気になったものだ。
と見るや、まさにその母親のお腹、
まるまると膨れ上がって、まさに8人目の登場も待つばかり。

いったいどうするつもりなのだろう、
と他人事ながらその母親の断末魔を思わざるを得ないのだが。。

が、そう、しかし、である。

つまりは、そう、生活保護なのであろう。

まったくなあ、と、と思わず。

この見るからにちょっとおつむをやられている感じの母親と、
それが産み続けるこんな子供達の養育費と生活費、
そして多分、この先ろくなことにならないであろう
そんな子供達の教育費から社会保障からその全てが、
全てはこの地下鉄の乗客たち、
つまりは、朝も早くから混んだ地下鉄に揺られ、
一日中を電話とメールと会議に追いまくられる人々、
その人々からの税収によって賄われているという訳で。

そんなことを思っていた時、
まるで俺の胸の内を見透かしたように、
背中からむぎゅっと押し付けられていたどこぞのおっさん、
耳元でぼそり。

まったくさ、朝からあんなの見ちゃうと、
仕事するのがつくづく馬鹿馬鹿しくなるよな。

途端に広がる重い溜息。

それは判っている。
誰もがそう思っている。
思ってはいるが、判ってはいるが、
口に出したらおしまいじゃねえか、と。
がしかし、ふと囁く悪魔の声。

なぜ?なぜそれを言ったらいけないんだ?

とそんな時に、見透かしたように響くガキどもの金切り声。
うるさい!と母親。この知恵足らずども、静かにしてな!

子供は世界の財産、とは言うものの、
まさに、朝からいやはやな気分であった。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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