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バケーション明けの悲劇

Posted by 高見鈴虫 on 29.2013 とかいぐらし   0 comments   0 trackback
休暇明けの朝、いつになくちょっと緊張している。

それはといえば、噂には聞いていたバケーション明けの悲劇の話。

つまり米系では、休暇明けの朝、
意気揚々と出社してきた玄関のカードスキャンでいきなりブー!と鳴って、
あれあれ、どうした、休暇中にカードが壊れたのか、
と思っていれば、
いきなりカツカツと踵を響かせてやって来たガードマン。
両脇を抱えられるようにエスコートされたまま自身の席へ。

ガードマンに見張られたまま渡されただんボール箱に私物を詰め込み、
はい30分、そこまで、といわれて再び回れ右。

メールのチェックどころか同僚たちにさよならの挨拶さえもできずに、
まだ休暇のお土産の詰ったカバンを置くこともないまま、
閉まるエレベーターの扉から垣間見た風景、
これまで苦楽を共にしてきたわたしの会社の見納め。

そんな米系悲喜劇のよくある話、だった訳だが、
いざそれが自分の身に降りかかるかも、と思った途端、
さすがにまったく笑えない。

そう、まったく、笑えない訳である。

と言う訳で休暇明けの朝。

玄関を入る前に会社の前でタバコを一服。
見上げる空は、秋の気配のする青空。
ああ、くそ、仕事がなければセントラルパークでこの青空を眺めていた筈。
あるいは・・・
これからずっと公園で青空を眺めることになるとも知れず・・

と言う訳で、柄にもなく胃の辺りがきゅんとする。

が、まあしかし、そうなったときはそうなった時だしな。
少なくとも一年は生き抜いた訳だし、
それだけでもよくやった、と思うべきで。。

と言う訳で、うんと下腹に力を込めて入るゲート。
ポケットの社員カードをリーダーの上に走らせると、
赤いランプが。。。。。緑に変わった。

おっと、とちょっと意外な気分。

で、ふと見ると受付のおねえさんが、意味深な顔でにっこり。
思わず、ちょっとガッツポーズ。
深く深く頷くお姉さん。そうこの人だってニューヨーカー。
つまり彼女も休暇明けの朝は、同じ緊張を味わっている、ということなのだ。

と言う訳で、ちょっと心配していた事態だけは避けられたようなのだが、
エレベーターまでフロアを歩くまでの間に、
今日これからやらねばならないことを思い出して、思わずズーンと背中が重くなる。

まあやるだけやるさ。渡る世間に鬼は無し!

と言う訳で、フロアについたエレベーターの扉が開いたときには、
クソッたれ、と顎を上げている訳である。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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