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「恵みの雨」

Posted by 高見鈴虫 on 22.2013 とかいぐらし   0 comments   0 trackback

ここのところ多忙である。

多忙なときに限って公私に渡って次から次へと案件が襲い掛かって来て、
それはまさに高波に浚われて錐もみ状態といった感じである。

もがけばもがくほどに波に弄ばれ、手と足がどっちを向いているのかさえも判らない。
ああくそ、こんなものもうどうにでもなれ、と放り投げてしまおうか、と思ったところ、
ふとした拍子になんとか地面に足が付き、
えいやあと蹴り上げたらすこっと顔が水面に出た。

と言う訳で午後であったか。

見上げる空から雨が降っている。
じきに降り始めた大粒の雨が、
アスファルトに弾け飛んでもうもうと白い霧となって立ち上がる。
吹き抜けてゆく湿った風にすでにシャツもずぼんもぐっしょりだ。

夏ももう終わりか、とふと思う。

今年の夏はいったいなにをしたのだろうと考えてみるが、
果たしてなにひとつとしてなにも思い出せない。
こうしてまたひとつ夏が終わっていく。
あの夏の光と影はどこにいってしまったのか。
光どころか影さえもなかった夏だったな。
見上げる空に雷鳴が轟く。
バカやろうにどうにでもなれ、と薄く笑う。
昔はこうして雷を眺めるのが好きだったな。
雨が降り始めると窓に貼り付いて雷を見ていたものだ。
ゴジラがやってくる!ゴジラが来るぞ!と待ち望んでいたのだ。
ああ、ゴジラ来ないかな、と思わず。
と言う訳で、
あれやって、これやって、それやって、なにやって。
つくづく馬鹿馬鹿しくなった。
えーい、知ったことか。今日こそは早く帰るぞ。
いや、逆だ。
今日こそは一時間でもなにもやらない時間を作って、
そして、
あれやって、これやって、それやって、なにやって、を書き出してそれぞれ番号を振って、
そして、なにをどうするべきか、の作戦を練るべきなのだ。
どうせ雨だ。犬の散歩はできない。
自分を取り戻すための一時間。
恵みの雨、と言わせて貰う。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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