Loading…

2013年10月27日 ロングアイランド・ベイビー

Posted by 高見鈴虫 on 29.2013 ニューヨーク徒然   0 comments   0 trackback
それは秋の半ばの、
よく晴れた日曜日だった。
空は青くどこまでも晴れ渡り、
澄み切った風に踊るように、
色づいた街路樹の葉が舗道に散ってゆく。
まさに、これぞアメリカン・ビューティだろ、
と言うほどに、
これほど気持ちの良い日は、
一年のうちにもそうあるものじゃない。

ルーリードの最後に見た世界は、
まさにそんな秋の日曜日の風景だった。




IMG_2805.jpg





ニューヨークの夜の帝王。
キング・オブ・アンダーグラウンド。
ロックンロール・アニマル
パンクの大詩人。

麻薬、バイセクシャル、犯罪、狂気、暴力。

ニューヨークのそんなどぶの底を、
身の毛のよだつようなその退廃を
まさにこれでもか、と暴き続けたこの男が、

最後の最後に見た風景が、
そんな清々しくも素晴らしい風景であったとは、
なんと皮肉なことだろう。


ルーリードがロング・アイランド育ちであったことなど知らなかった。
ルーリードがユダヤ人であったことさえ知らなかった。
ルーリードがローリー・アンダーソンと結婚していたことさえ知らなかった。

俺はつくづくルーリードのことを良く知らなかったのだな、と思い知らされた。

俺が知るルーリードとは、ROCK’N’ROLL ANIMALを気取っていたあの厚化粧のお釜、
あるいは、ホンダのスクーターに乗るレイバンのハードコア・ヤクザ、
あるいは、そう、これこそが真実のルーリードなのだが、
ビレッジの舗道を青い自転車をコキコキと買い物に向かう、
あのやせこけたフランケンシュタインのような爺さん。

という訳で、ルーリードの旅は終わった。
そしてようやく普通の老人に戻れたフランケン爺さんではない、ルーリードは、
子供の頃に憎んでやまなかったまさにアメリカン・ビューティ、
青い空と緑の芝生と白い生垣と色づいた街路樹に見取られて、
この世を去ったという訳か。

ルーリードが最後の最後にそんな風景が見れて、
本当に良かったなと思う。

RIP (REST IN PEACE)
天国に行ってからも幸せに暮らして欲しい。


という訳で、一生物の LOU REEDである。

これまで世界中のいろいろなところを通って来たが、
このBLUEMASKとBANANAだけは、
どこに行くときにも必ず一緒だった。


Lou Reed - Blue Mask


The Velvet Underground & Nico


トランスフォーマー、そしてベルリンに至っては、
あまりにも聞きすぎたがために、
そのすべて音、すべてのパートのすべての演奏を克明に暗記してしまっていて、
いつでもどこの部分でも好きなように取り出すことができるほどで、
わざわざもって行くことも無いか、と思っていた作品。

俺にとってLOU REEDとはまさにそんな人であった。

Lou Reed - Transformer


Lou Reed - Berlin



そしていま改めて、WILDSIDE を聴く。

Lou Reed - Walk on the Wild Side

そっか、俺はいつのまにかLOU REEDの歌っていることを、
はっきりと聞き取れるようになっていたんだな。

「Walk On The Wild Side」

Holly came from Miami, F.L.A.
Hitch-hiked her way across the U.S.A.
Plucked her eyebrows on the way
Shaved her legs and then he was a she
She says, "Hey babe, take a walk on the wild side"
He said, "Hey honey, take a walk on the wild side"

ちなみに、
マイアミからヒッチハイクでアメリカ中を回る間に、
眉を抜いて脛毛を剃ってお釜になったそのホリー。
Holly Woodlawn
http://hollywoodlawnsuperstar.com


Candy came from out on the island
In the backroom she was everybody's darlin'
But she never lost her head
Even when she was giving head
She says, "Hey babe, take a walk on the wild side"
He said, "Hey babe, take a walk on the wild side"

ロング・アイランドの出身のやりまん、みんなの恋人だったキャンディさんは、
Candy Darling
http://www.candydarlingsuperstar.com


Jackie is just speeding away
Thought she was James Dean for a day
Then I guess she had to crash
Valium would have helped that bash

ジェームス・ディーン気取りでぶっ飛ばしていたジャッキーちゃん。
終わりはSPEEDでもVALIUMでもなくSMACKだったらしいけど。
Jackie Curtis
http://www.warholstars.org/indfoto/jackiecurtis.html


And the colored girls say
Doo do doo, doo do doo, doo do doo

そしてニグロ女が歌います、ちゅっちゅちゅーちゅちゅー。


愛しいフリークスたち。

ロングアイランドの片田舎で、バイセクシャルとしてキチガイ扱いを受けていたルーリードは、
このニューヨークという街で、ついに魂の友たちのめぐり合ったんだな。
これは愛の歌なんだよ。
ルーリードは、そんな変態やジャンキーやヤクザやお釜たちを、
こよなく愛していたんだよな。

そして俺は、この歌を聴いてニューヨークにやってきた。

そんな俺を、ニューヨークはなんともやさしく包み込んでくれた。

そんなニューヨークとは、まさしく、LOU REEDの歌ったニューヨークそのものだった。

そしていま、
月曜日、火曜日、と日を数えるたびに、
LOU REEDの居ない世界、一日目、二日目、と数えている訳だ。

まじ、悲しい。


という訳で、いまは天国でNICOと仲直りしたのかな、とこの曲を聴く。

Nico - Frozen Warnings - John Cale cover



LOU REED。魂の友よ。
あなたは俺に勇気をくれた。
いまになって思うのは、
あなたがいなかったら、俺はこうして生きていることもなかったと思う。
ありがとう、と心の底から伝えたい。


  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://shumatsuwotohnisugit.blog.fc2.com/tb.php/1709-87c481bb

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

月別アーカイブ

検索フォーム