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「思考の連鎖」

Posted by 高見鈴虫 on 05.2013 犬の事情   0 comments   0 trackback

そろそろ鼻毛が伸びてきたな、と思うとそれは肛門腺へのトリガーである。

このトリガーはしかし、例えば、爪が伸びてきたな、でも、眉毛ぼーぼーだな、でも良い訳なのだが、なぜか俺の思考回路の中では、肛門腺に紐づいているのは、鼻毛、なのである。

鼻毛が伸びてきたな、と思うと、おいブー、肛門腺絞ろうか、となる。

しかし鼻毛が伸びてきたからと言ってそのまま鼻毛を切ってしまうと、肛門腺のことを忘れてしまったりするかもなので、鼻毛が伸びてきたなと思うとまずは急いで肛門腺を絞るぞ、と心に決める。

ソファの上にペーパータオルを何枚も重ねて敷いて、トイレットペーパーを山のようにくるくるして、で、はいここに寝て、とやる訳なのだが、その時ばかりはブーも、神妙な表情で素直にしぶしぶと言うことを聞く。

シートの上に伏せたブー君の尻尾をぐいと持ち上げて、その根元の肛門のピンク色の穴に向けて顔を近づけすぎないように凝視しながら、人差し指と親指で作ったVの字を、そろりそろりとそのピンクの肛門腺の周辺部にあてがい、そしてそろりそろりと押し始めると、いきなり肛門のそのすぐ両脇、5MMぐらいの部分から、まるで膿のようなクリーム色の液体が、ぴゅっと飛び出す。

と同時につんと漂うこのなんとも言えぬ独特の匂い。
その匂いも絞る度に違うことがあるので、つまりはそれが体調の変化なのだろうが、むむむ、今日はちょっとクサヤ系の匂いがするぞ、やら、なんか醤油が腐ったような、やら、なんか今日はチーズ系だね、やら、とまあ、千差万別。
で、よしよし、ツボはここか、と更に指先に力を込めると、ぴゅぴゅぴゅぴゅ、とそれはまさに、迸るように滴り始め、あるいは、下手をするとぴゅっと鼻先に向けて飛んできたりもする。

くくく、臭い!と思わず苦笑い。で、ブー君も神妙そうな顔をしながらも、くんくんくん、臭い臭い、と遣っている。

ほらほら、まだ出るよ、出るぞ出るぞ。、なんかかなり溜まってたね、ごめんな、
とやりながら、大切な部分に傷をつけちゃいけないな、と注意をするうちに、なんか俺の爪が伸びてねえか、と思うわけだ。

で、肛門腺を絞った後、肛門腺の染み込んだトイレットペーパーはそのままトイレに流し、入念に手を洗うのだが、爪の間に入ってしまった肛門腺の匂いがなかなか消えず、ついでに爪でも切るか、とさっきのペーパータオルの上で爪を切り始める。
と、あれ、なんだかまだ臭い、と思ってふと見れば、おっと、ソファーのカバーにちょっと飛んでるかも、とくんくんしてみれば、飛び散った飛沫と一粒が、ポツリとソファのカバーに微かな染みを残していて、ああ、しまった、やっぱり飛んじゃったな、と、がしかし、俺はやはり殊、匂いにはちょっと敏感過ぎるところがあって、案の定ブー君もその辺りをクンクンやっては、ニマーと笑っているところからみると、やはり匂うらしい。

と言う訳で、まあついでだ、となる訳でソファのシーツを引っぺがして、新しいものに交換。
これまでのこげ茶色からからし色に変わっただけで部屋がぱっと明るくなった。

新しくなったカバーの上、いの一番に飛び乗ったブー君。
さっそくゴロゴロとおなかを見せて転がり初めて超ご機嫌。
これだから肛門腺絞りが待ち遠しいぜ、と言ったところ。

で、だったらついでに眉毛の無駄毛も抜いておくか、と風呂場に行けば、そうそう、こないだもそうだった、とブー君も着いてくる。で、あ、そうそう、そう言えば、そう、
そもそもこれが始まったのは、つまりはこれ、すべて鼻毛むずむずから始まる連鎖反応な訳であったのであった。

と言う訳で、眉毛の前にまずは鼻毛だ、とやっていたら、鼻毛が終わった時点でなぜか満足してしまって、ねえ、お散歩行こう、とせがまれて、うっし、となってしまう関係上、俺の眉毛はいまだにぼーぼーのままなのである。



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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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