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「犬を犬コロと呼ぶ理由」

Posted by 高見鈴虫 on 08.2013 犬の事情   0 comments   0 trackback
我が家の犬コロはブチと言う。

ブッチを斑(ぶち)と名づけた理由は、
白と黒の斑犬だったからで、
もしも色が白だったらシロ、黒だったらクロ、と名づけていただろう。

犬の名前なんぞはそんなもの。

その程度であるべき、という妙な信念があったせいなのだが、
それは同時に、犬なんざたかがそのぐらいの存在。

そのぐらいの存在であるべき、という意味も込められている。

そして言う。たかが犬コロじゃないか。

そして当然のことながら、
それはまさに、ささやかな抵抗の証でもある訳だ。



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今更こんなことをいうことも煩わしいが、
当然のことながら犬は可愛い。

まあ邪魔臭いときも憎たらしいときもあるが、
そんな気持ちも愛おしさの裏返し。

もしも許されるならば一日中、
寝ている時も起きている時も、
できるのであれば仕事場にさえも連れて行きたいものである。

そんな風な俺なので、犬の存在がますます膨れ上がって、
下手をするとなによりも、
つまりは、人間よりも、そして人間を中心とした社会の規律や法律よりも、
犬の事情が遥かに超越してしまったりの事態も有りうる。

と言う訳で、
犬の事情で引越しをし、犬の事情で仕事を変わり、
犬の事情でバケーションにも行けず、
時として犬の事情で人間同士が大喧嘩。
あわや警察を呼ばれる、なんてこともなきにしもあらず。

そう、犬の愛は危ない。

すべての愛が代償を求め、犠牲も求め、破滅と表裏一体であるように、

愛すれば愛するだけその愛を返してくれる犬は、
まさに愛の沼だ。

愛すれば愛するだけ愛しくなり、
そしてその愛は絶対に裏切られることはない。

そしてますます、犬に依存し、犬に依存されることになる。

そんな俺を見て、犬の大先輩である犬仲間から一言。

犬は裏切るわよ、それもとてつもないぐらい、最後になってとんでもない裏切りをしでかしてくれるのよ。

それはなにか、と言えば、

そう。死んじゃうのよ。犬は。

これまで十匹以上の犬を飼って来て、
そして愛情のすべてを注ぎ込んだ末に、
最後の最後になってとんでもない裏切りに合い、

そのたびに、

あああ、もう犬など一生飼わない、と心に誓うのだが、

そんな悲しみから抜け出すために、また犬を飼う以外に方法はない、
というこの悪循環。

そんな彼女。

いい?判った?犬は裏切るのよ。それだけは確実なの。

そして犬を愛すれば愛するだけ、その裏切りはとんでもなく非情なものになるのよ。

だから、私は犬をあまり可愛がらないの。
撫でたりもしないし、芸も教えない。一緒に寝たりもしない。

あなたはあなたの人生を生きなさい。私は私の人生を生きるけど、
とりあえず飼い主の責任、ごはんとお散歩だけは確保してあげる。
ただそれだけ。
その先はあなたの問題。
あなたはあなたでしっかり生きるのよ。判った?

そう、そうなのだ。

彼女のこの姿勢こそが、犬との付き合いで最上の方法なのだ。

犬なんて所詮は犬コロ。
そうそう思ってなくっちゃ、
裏切られたときにやってられなくなっちゃうわよ。

と言う訳でブチである。

目が合うたびに、なんだこの犬コロ、と思うようにしている。

なんだよブッチ。このブチ犬。ブー。ブーブーブーのブー。



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ブッチを斑(ぶち)と名づけた理由は、
白と黒の斑犬だったから。
ただそれだけの理由。

犬の名前はそんなもの。

その程度であるべき、なのだ。

だってたかが犬コロじゃないか。

そうでも思わなくては、この先10年後20年後に待ち構えているであろう、
その手痛い裏切りの際に、
正気を保てる自信がなくなって来てしまうではないか。

いいか、お前はブチ。ブチ犬のブチ。

改めて言うぞ、
俺はお前を可愛がらないぞ。
お前はお前の人生を生きろ。俺は俺でやっていく。
とりあえず飼い主の責任は果たすが、
俺達の関係はそれ以上でもそれ以下でもない。

判ったか。だからお前はお前でしっかり生きろよ。俺を当てにするなよ・・・

といってみたところで、それで済む訳無いんだよね、確かに。

と言う訳で、犬を犬コロ、と言う理由は、

それはまさに、ささやか且つ切実な抵抗の証、なのである。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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