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「鬼門・ダコタハウス」

Posted by 高見鈴虫 on 10.2013 ニューヨーク徒然   0 comments   0 trackback
日曜日の朝、目が覚めればすでに8時過ぎである。
しまった~と飛び起きれば、
待ちぼうけを食わされたブー君、
不貞寝のクリブの中から見るからに不服そうな上目遣いで
ちとーっと俺の焦燥を眺めている。

という訳で、取るものもとりあえず、
つまりは歯も磨かず髭も剃らず、
寝起きそのままの髪を掻き揚げる間もなく、
目に付いた服をかたっぱしから着込んで
セントラルパークへと急ぐ。

朝、自由に放せるのは9時まで。
最近、観光客の増加でパークポリスの目が厳しくなっていると聞く。
つまりブー君の無上の楽しみであるボール遊びができるのは、
なんとあと15分。

やばい急げ、と72丁目をひた走りながら、
やはりそこはニューヨーク。
急ぐ人の前には必ず思わぬ障壁が待ち構えているのである。

という訳で思ったとおり、
セントラルパークを目前に、72丁目の角に人だかりである。
これはつまり、ダコタ・ハウス。
1980年にジョンノンが撃ち殺された、
その現場を観に来た観光客達、な訳である。

なんの理由があってか、
世界各国からの観光客達はこのダコタハウスの前で
記念写真を撮らない訳にはいかないようなのである。
停められた巨大な観光バスの中から、
旗に導かれてぞろぞろと集まってくる人々。
狭い舗道に犇めき合いながら、
並んで、一人ずつ、交代で、と次から次へと写真を撮っていく訳で、
すでに20年も前にここで記念撮影を済ませてしまった俺としては、
このダコタハウスの前の人々がなんともうざったくて仕方が無い。

あの、すみません、エクスキューズミー、パルドン、エクセキュゼモア、ダーラオイシャ、
と世界各国の言葉で注意を促すのだが、カメラを前にした人々、
これがまた、まったくの脳停止状態。

どれだけ待っても人ごみが衰えることもなく、
ブー君はブー君で、えーん、おしっこ洩っちゃうよ~、から、
うんち、うんち、早くウンチしたい!
の切実な表情。

という訳で、ちょっと強引に、あるいは時として押しのけながら、
目の前のセントラルパークを目指す訳だが、
下手をするとはしゃいだ観光客に足を踏まれる、
なんてこともありうるわけで、
思わず、声を荒立てて、
てめえ、そこどこ、ばかやろう、とやってしまったりもする訳だ。

ジョンレノンのダコタハウス、まさに鬼門なのである。
まったく迷惑なところで死んでくれたものである。



IMG_2425.jpg


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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