Loading…

今日、ピーターを眠らせた

Posted by 高見鈴虫 on 15.2013 犬の事情   0 comments   0 trackback
夜のドッグパーティから帰る途中、
公園の入り口で、ばったりと友人親子に出くわした。

こんな冬の夜更けにいい年をしたオヤジと息子、男二人で散歩か?

とりあえずやあやあ、と挨拶がてら、
で、あれ、ピーターは?と犬の名前を聞けば、
一瞬息を飲む二人、そして、実は今日、いろいろあって、
そう、実は今日は長い一日で、実はその、
と二人で顔を見合わせて、覚悟を決めた、という風に、
実は今日、ピーターを眠らせたんだ、という話。

ピーターを眠らせた?
そう、あの、まあ話せば長い話なんだが、
そう、まあいろいろあったんだが、
と言う訳でそう、
と言う訳でなんというか、
ピーターを眠らせたんだ。

つまり?
つまり、そう、まあ、そういうことで、
つまり、まあ、そういうことなんだ。

え?よく判らない。
そう、まあ、まだ気持ちの整理がつかなくて、
そう、俺も今日は一日中泣いてて、
どう説明したらいいんだか
本当にどう話して良いのか・・

親子が同時に似たようなことを口走るため、
よく判らないのが、つまりは、そう、いろいろあった末に、
今日、ピーターを眠らせた、つまりは・・・

ええええ!??

まあ原因といえば肝臓の、腎臓の、
そう、糖尿病というか、膵臓というか、
実は一週間ぐらい前から具合が悪くなって、
そうなんか元気がなくなってて、
で、昨日、突然具合が悪くなって、
吐き気が止まらなくて、下痢もしてて、
見たら血が混ざっているようで
水ばかり飲んでいて、
そう前から水ばかり飲んでるなとは思ってたんだけど、
とりあえず食欲はあるし、
そう、元気だし、散歩にも行きたがるし、
したら昨日の朝、いきなり具合悪くなって。
こりゃまずいって医者に連れて行こうとしたらもう立てなく。
立とうとはするんだけど、もう後ろ足がね、
で、おかあさん一人では連れて行けないってことになって、
で、おとうさんも一緒に行くって言ったら、
俺もいっしょに行くって言ったんだよ。なんか嫌な予感がして。
それでこいつも仕事の休みを取って、
風邪引いたって嘘ついてね。
で、みんなで抱え上げて医者に行ったら・・
そう、毛布でくるんで抱え上げてタクシーに乗って、
で、医者に行ったら・・・
そう、いつものオスカー先生のところに行って、
で、なんか急に具合が悪くなってって言って、
なんかまた変なもの食べちゃったみたいで、
もしかしたらただの食べ過ぎかもしれないけど、
なんて言ってたんだけど、
したらピーター診た途端にオスカー先生が慌て初めて、
で、今すぐにタクシーに乗ってここに行きなさいって、
59丁目の医者の住所を渡されて。
ここには手術の機材もみんな揃ってるからって。
一刻も早くここに行きなさいって。

で、またタクシー飛ばしてその59丁目の医者に行ったんだけど、
どうせまたいつもの食べすぎだよ、とか。
そうどうせまた変なもの拾い食いしたんだよ、とか。
で、その病院でずっと待たされて。
もう待合室でずっとずっと待たされて。
奥で色々検査してるとか言ってね。
血液検査とか便のサンプル調べてるとかレントゲンとってるとかね。
で、あんまり待たされるんで、いったいどんなってんだって言ったら、
専門医が来るまでちょっと待ってくれ、とか言われて。
で、専門医が来るまではなにもできないからとりあえずいったん家に帰ってくれって言われて。
だったらピーターを返してくれっていったら、いやそれは危ないとか言って。
危ないってどういう意味だよ、って、何言ってるか判らなくなって。
でそんなこと言われたらなんか本当にちょっと心配になってきて。
どうせ仕事も休みだしここで待つって言ったら、好きにしろとか言われて。
でまたすごく長い間待たされて。
こんなことなら仕事行ってればよかったとか言ってて。
で、あんまり待たされるんでやっぱり家に帰っておこうか、とか言っていたら、
いきなりピーターが奥の部屋から出てきて、
そう、ひょこひょこ足を引きずりながら出てきて。
俺達のこと見てすごく尻尾振ってて。
ああなんだ、治った治った、なんだすぐに治った、とか思って
なんだよ、人騒がせな奴だ、とか思っていたら、
したら奥からその専門医ってのが出てきて。
いろいろ検査したんだけど、やるべきことはすべてやったんだけどって。
で、もう長くないかも、みたいなこと言われて。
そう、いきなりもう長くないなんて言われて。

長くない?
いやそんな筈ないって。
そう、そんな筈ない。ついおとといまではすごく元気だったのにって。
たぶんまた食べ過ぎたか、あるいは散歩の途中で変なものを広い食いしちゃったとか。
でも聞いてみるとそんなことじゃなくて。
そう、なんか肝臓だか、腎臓だか、胃だか腸だかで、
そう、糖尿病とか、膵臓とか、癌とか、
ほんと、知らない間になにかが起こってたみたいで、
そう、本当に、知らない間にどんどん悪化してたみたいで、
まあ気をつけていればいろいろあったのかもしれないだが。
気がつかなかったんだ。本当はいろいろと兆候が出ていたはずなのに。

で?
でもよくよく聞いてみたら今夜が最後になるか、といわれて。
なんで、24時間体制の救急施設のある病院を紹介されて、
そう、無駄だとは思うけど、とか言われて。
どう言う意味だって言ったら、
そうなんか腹が立ってきて、どういう意味だって言ってたら、
そう、そんな話してたらなんかまた具合が悪くなってきて、
そう、いきなり病院のフロアにすごい下痢をしてしまって、
もう血が混ざっていて、吐き気も止まらなくなって。
で、生きてる限りはこれがずっと続くってな話で。
だから早く楽にしてあげたほうがいい、とか言われて。
そう、楽にしてあげたらとか言われて。
いきなりそんなこと言われても、なにが起こったのかさっぱり判らなくて。
ああ、混乱してた。何言ってるんだこいつ、って腹が立った。
おかあさんが泣き初めて。
縁起でもない。泣くな。もっと他の医者に行ってみようって話になって。
で、取り合えずその紹介された24時間体制の救急病院ってとこに行ってみたら
そしたらその病院でも同じことを言われて。
もう長くない。明日まで持つか、と言われて。
でとりあえず今晩だけでも入院するなら、
したら、なんと5000ドルと言われて。
でも5000ドルでもいくらでも払うって言ったんだが、
お金ならいくらでも払うから言ったんだけど、
でももうこの状態ではうちで預かってもなにも手の施しようがないって言われて。
もうなにをしても無駄だって言われて。

で、とりあえずは応急処置の注射をうって、
それで痛み止めの注射も打って、
これで様子を見て、もしも良くなったらとりあえず次の処置を考えるって言ったんだけど、
それでがんばれがんばれって。
それでがんばれがんばれ、良くなれ良くなれって、やったんだけど、
でもやはり良くならなくて。。

で、とりあえず家に連れて帰って、
そうどうせ長くないなら家に連れて帰ってやろうって。
で、家に帰ったら、
そう、家に帰ったらまたちょっと元気になって、
そう、また散歩に行きたいって言いだして。
で、散歩に出て、
いつものようにセントラルパークをね。
こんなに元気なのにってぐらいに元気でね。
そう、いつものようにランブルの山の中をみんなであるいてね。
ああ治った治った、なんだよ、心配かけてってみんなで笑ってたら、
帰ってきたところで。
そう、家に着いたとたんにまた吐き始めて。
そして下痢が始まって。もう止まらなくなっちゃって。
そしたらもう立てなくなっちゃって。
呼んでも頭も上げなくなって。
目を瞑ったまま動かなくなっちゃって。
でも名前を呼ぶと尻尾だけ
そう、尻尾の先だけがちょいちょいって動いてて、
ああまだ聞こえているんだなって。
で、みんなでがんばれがんばれって。
夜通しでがんばれがんばれって看病してたんだけど、

で、もしもの時のためにってペンシルバニアの大学にいる娘に電話をしてね。
そう、ナオミに電話しようって言ったらいきなり目を開けて。
そう、ナオミって名前を出したとたんにいきなり頭を上げたんだよ。
ああ、そうかナオミを待っているのかって思って。
で、娘に、ピーターが危ないって伝えたんだよ。

それからはずっとナオミが帰って来るまでがんばれよって。
がんばれがんばれって。
そのたびに判った判ったって尻尾の先で、
そう尻尾の先で、判った判ったって。
なんか寝ちゃったらそのまま死んでしまいそうな気がして、
それで誰も寝ないで、
みんなで寝ないでがんばれがんばれって。

でナオミが着いたのが昼前ぐらいで、
そうしたらね、
そう、そしたら、
ナオミが帰ってきた途端にね。
そう、いきなりぴょんって立ち上がって、
そう本当に生き返ったみたいに立ち上がって。
ぶるぶるぶるって、昼寝から目が覚めたみたいに。
おおお生き返ったって。
でピーターの奴、お帰りお帰りお帰りって。
そう、お帰りお帰りってじゃれ付いて。
それ見たらナオミも、なんだ、大丈夫じゃん、なんて。
顔中を舐めてね。
そうナオミの顔中を舐めて舐めて。
うれしそうにね。
本当にうれしそうだったね。

で、家族全員そろったところでまた医者に連れていって、
もうその時には救急病院とかじゃなくて、
そういつも世話になっていたオスカー先生のとこに行って
でオスカー先生に最期にもう一度だけ診てやってくださいって頼み込んで、
で、聴診器で心臓の音を聞いて、
そう、その音を聞かせてもらって、
ね、って。
そう、もう心臓の音もほとんどしなくなってるって。
もうこれ以上苦しませるのは可愛そうだって。

で?
家族で個室に通されて、準備ができたら呼んでくれって言われて。
みんなでピーターを囲んでお別れの言葉を言って、
みんなでピーターの好きだった歌を歌って。
そしたらピーターが。
もうぐったりして頭を上げることもできなかったのに。
そう、いきなり目がぱちって開いて、
で、尻尾を振りながら家族の顔を一人一人ぺろぺろ舐めて。
そう、ひとりひとり、舐めてね。
ああ、ピーターがお別れを言っているって思って。
そして・・・

そして?
そして、オスカー先生を呼んでね。
みんなにいいか?って。もうオスカー先生呼ぶぞって。
したらまた、ナオミが。
そしたらおかあさんが、
そしたらおとうさんが、
そしたらこいつが、
もうちょっと。もうちょっとだけでもピーターと一緒にいさせてくれって。
で、ね、身体を撫でて。
全身にキスをしてね。
鼻の頭から尻尾の先までね。
みんなでキスをして。

そしてオスカー先生を呼んで、
そして最期に写真を撮って貰って
そう最期に写真を撮ろうって、
その時にもね
そうその時にも目をぱっちり開けて、
そう、まるでいまからみんなでお散歩にいくぞ、みたいに元気な顔をして。

オスカー先生もピーターって名前を呼んで。
ピーターは本当によい子でしたねって。
本当に愛されて来ましたねって。
本当の本当に幸せな一生でしたね、って
みんなありがとうって、この子もそう言っていますよって。

それで注射を打ってもらって。
なるべく苦しませないようにって。
そしてピーターの手をみんなで握って。
ピーターの顔にみんなでキスをして。
そして・・そして・・

まあそういう訳で。
まあそういう訳で長い一日だったんだ。
長い一日だったね。
長い一日だった。

とここまで語り終えて、親子二人が顔を見合わせて、

お前もよくがんばったな、と息子の肩を抱いて、
お父さんもね。よくがんばったよ、とお父さんの肩を抱いて、

そしてふたりでにっこり。

実はもう涙も枯れ果ててしまってね。
女どもはまだめそめそしてるんだがね。
男はそういう訳にもいかないしね。
それでこうしてふたりでピーターの好きだったお散歩のルートをね。
ほら、こうして、リーシュも持って。
そう、こうしてお散歩しようかってことになってね。

とここまで聞いて、かみさんは涙ねぐしょぐしょ。
俺もあまりのことに息を飲んだまま。

昨日の今日でしょ?
そうついおとといまで、ぴんぴんしてて。
そう、ここの、この道を通って、そしてあの野原でボール投げをやってたんだよ。
食欲もあったし、元気に走り回ってね。
それがね、いきなりだからね。
あまりに呆気なくてね。
本当になにが起こったかいまでも信じられないくて。
はっと目が覚めたら夢だった、みたいにね。
そう、夢なら早く覚めて欲しいんだけどね。

でも、と俺。
健康診断とか受けてなかったの?と思わず聞いてしまえば、
いや、半年前の健康診断ではまったく健康って言われたんだよ。
そう、血液検査からレントゲンから全部見てもらってまったく正常って。
それがね・・
まあよく気をつけてればいろいろと兆候があったんだろうが。
とにかく元気な奴だったんで。
これだけ元気ならまさか病気になんか罹らないだろうって。
ついおとといまで本当にそう信じ切っていたわけで。

でもね、よくよく考えたらね。
もしかしたら、って兆候はいろいろあってね。
よく下痢をしてたし。
下痢の色がなんか黒っぽいことがあって。
いま思えばあれは血便だったんだよね。
そう。下痢が黒いなんておかしいって思えば良かったんだけどね。

でも元気だったんでしょ?
ああ、元気だった。
おとといもそこでボール投げしてたぐらいで。
でもやっぱりね。
そう、確かに、ちょっとボール投げするとすぐに疲れちゃってて。
そう確かにボール咥えたままじっと座ってることのほうが多くて。
床に下痢をしちゃったときにもね。
そう、怒ったりして悪いことしたなって。
そう、あんなに怒らなければよかったって。
あれをみておかしいって気がつくべきだったんだよな。

でもね、そう、あいつもしかしたら知ってたのかなって。
そう、なんか最近、すっごく元気が良くて。
ああ涼しくなったからかなとか思ってたんだけど。
あれ、実は無理をしてたのかなって。
自分の命がもう長くないって自分で知っててね。
それであんなに元気にしたのかなって。
心配かけないように無理して元気なふりしてたのかなって。
痛かっただろうにね。
痛かった筈なのにね。
そんなこと一言も言わないで。
言ってくれれば良かったのにね。
言ってくれればどんな病院にだって連れて行ったのにな。
あの時、そうあの時、下痢が長く続いたときに病院に行ってればね。
まあ確かに水ばかり飲んでいるなとは思ってたんだけどね。
まあでも元気だったしね。
食欲もあるし。
なんで、そう、気がついてやれなかったんだよな。
そう、もっと注意してみていてやればよかったものをね。
言い出すときりが無いけどね。
ああ言い出すときりがないけどね。

と言う訳で、ふと押し黙った4人。
そしてふと、足元のブー君に目をやる4人。

ブッチはいまいくつだったけ?
いま5つになりました、とかみさん。
ああ、なら、
ああ、それならまだまだ大丈夫だ。
ちなみにピーターは?
ピーターは、そう、まああいつもシェルタードッグだったんで、
貰い受けた時には一歳未満って言われていたから、
そう、だから、まあ11歳ってところなのかな。
11歳かあ。
そう、ちょっと早いかな、という気もするんだけどね。
そう、この元気さならあと10年ぐらい大丈夫か、なんて思ってたんだけどね。
それが、昨日の今日でね。
いやあ、あっさりとしたもんだった。
犬は大きくなるのも早いけど逝ってしまうのも早いね。
具合悪いって言ったとたんに、だからね。
半年に一度は必ず健康診断に行っていて。
予防注射もハートワームの薬も必ず上げてて、
散歩も十分してご飯にも気をつけて
できることは全てやっているつもりだったんだけどね、
なにが足りなかったんだろうね。
気をつけていてもどうなる訳でもないのかもしれないけどね。
運命なのかな。
まあでも幸せな一生だったとは思うけどね。
ああ、幸せそうな顔だったけどね。
ああ、それだけが救いだね。

ブッチはいつでも幸せそうな顔をしているね、とお父さん。
本当、ピーターの若い頃そっくりだよね、と息子。
そしてじっとブー君を見つめながら、
ふたりの目に再び涙がうるうる。

え?え?え?どうしたの?とうろたえるブー君。
ぼく、なにか悪いことした?と俺に飛びついて来て顔を舐め舐め。

あと5年、10年、15年、いつになるか判らないけど、
まあブッチはまだまだ大丈夫だけどね。
そう、いつかはお別れになっちゃうんだよね、ってことにいままで気がつかなかった。
それに気づいていればもっともっとお散歩してやったのにってね。
そう、そう思って、最期に飼い主だけでもお散歩してやるかってね。

あの、こいつでよかったら、いつでもお貸ししますんで、と俺。
良かったらこのまま連れて行って貰ってもいいですよ。嫌になったら返してくれれば。
で、みんなにもようやく笑顔が戻る。

笑顔の戻った面々の間をはしゃいで飛び回るブッチ。
お散歩?よし、ならテニスコートまでもう一周!といきなり走り始めようとする。

ピーターにもこんなに元気なときがあったよな。
ああ、俺が散歩した時はいつもこんな感じだった。
息子が大学を出て仕事について、娘が地方の大学に入学して、で、俺とかみさんだけになっちゃってからなんかピーターもすっかり老け込んじゃったみたいでね。
俺とよくこの公園を走ったよな、と思ってさ。
あの頃がピーターも一番元気だったな。
あいつはこの公園が一番好きでね、いつもここで放すとそのままあのフィールドまですっ飛んで行って、

と指差したフィールド、に気づいた途端、いまにもリーシュを振り切って野原の中に駆け込もうとするブッチ。

はははとすっかり笑顔の戻った面々。

あのまだお気持ちの整理はつかないと思いますが、と思わず余計なことを言ってしまう。
もし良かったら、ASPCAに行かれてみてはいかがですか?ペットロスの一番の特効薬はASPCAのボランティアだって言いますし。
ははは、と力なく笑う二人。
そう、まあまだそんな気持ちにはまったくなれないんだけどね。
はい、みなさんそうおっしゃいますが、そう言いながら行った突端に、
そう、その日のうちに新しい犬を貰い受けちゃったりするって言うよね。
はい、いまこうしている時にもどこかで殺処分にされている犬が沢山居るわけなので。
ああ、覚えておくよ。
そうそうなんだよな。俺もさっき言ったばかりなんだ。くよくよしててもピーターの為にならないしって。

と言う訳で、まだまだ気持ちの整理がつかない。
あの元気だったピーターがもうこの世に存在していない、なんて、まったく想像がつかない。
あるいは、まさかこのブーが、突然死んでしまう、など、まったくまったく、片鱗さえも考えたことがない。

いや、たぶん、それを恐れるがあまり考えないようにしているだけなのだろう。
いまこうしている時にも、その日に向けての時間が刻々と刻まれている訳なのだ。

夜になってまたシーツの中でブー君と抱きあって、顔中を舐められて悲鳴を上げて。
そしてはしゃぎ疲れておやすみ、と枕に頭を静めたとき。
ふと、かみさんがすすり泣きを始めた。
ブー君がいなくなっちゃったら・・・あたし・・
まあ確かに。考えたこともないけど、あるいは、考えないようにしているだけなんだけどね。

今日の親子はまだ笑っていられたが、俺はたぶん、ブー君がいなくなったら、
笑うどころか、立つことさえ、できなくなってしまいそうで、
つまり、こいつがいなくなったら、もう生きていける自信がない、というか・・・

と言う訳で、そう、そうならないためには、
まずは、散歩だ。そして健康診断だ、といきなり次の健康診断の予約を入れて、
そしてやはり次の連休は、ずっとずっとこいつと一緒に過ごすことに決めた。

こいつが幸せで居てくれるなら、例え一文無しになってもなにがあってもぜんぜん構わない。
こいつが幸せでいてくれること、それこそがなによりも一番大切な問題で、
それ以外のことははっきりいってあまり大したことではない、という認識を改たにした訳だ。

あと5年先になるか、10年先になるか、15年先になる判らないが、
とりあえずそのときまでは、徹底的に散歩ばかりして過ごしてやろう、と思っている。



  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://shumatsuwotohnisugit.blog.fc2.com/tb.php/1754-553d1405

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

月別アーカイブ

検索フォーム