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目だけで惚れる

Posted by 高見鈴虫 on 05.2013 嘗て知った結末   0 comments   0 trackback


看護婦であった友人の話。

手術中、全身、頭も顔もすっかりと手術着とマスクに身を包んだ手刀医、
見えるものはまさに目だけ、であるのだが、
その目だけでも実に多くのことを語るそうである。

経験、自信、不安、怯え、尊大、プライド、媚び、性欲、

まあ目を見ているだけで大抵のことは判るね、という話。

新米のあの怯え切った目。
パニックに遠のきそうな意識に夢の中を彷徨い始めたら、
態とらしく咳払いをして目だけで笑いかけてやったりとか。
そういう奴は一生わたしに頭が上がらないね。

かと思えば、
手術中に鼻歌を歌っている医者もいれば、
うつろな目をして遠い思い出の中を旅しているものもいれば、
始終時計ばかりを気にしてこのクソ仕事の後の予定ばかり考えている奴。

下手をすると隣りの看護婦にボディータッチはできないので、肘で、あるいは、
目で犯す、なんて輩もいるそうである。

そういう医者にはつくづく掛かりたくない、とは思うが、
凄腕の奴に限ってそういうところがあるというのも事実。

という訳で、そんなちゃらんぽらんな医者どもの手綱を、
がっちりと握っているのが実は看護婦である、という話。

とそんな中に、まさに目、そう、目だけで思わず惚れてしまう人、
というのがいるらしい。
もうその目を見ただけで、ぞっこん。全てを捨てても良い、って気にさせちゃう、凄い人。

で、そんな人が、手術が無事終了後、はいお疲れ様でした、
とマスクを取った途端・・・

じぇじぇじぇじぇ~、なんだこの薄らハゲのおさん、と衝撃を受けることになる。

でもね~、と看護婦。

目だけで惚れた人、確かなんだよね、実は。
つまり、
ちゃらちゃらした服やら、いったい誰のつもりになってるやらの態度やら、
どうせ誰かの受け売りぐらいしか言うことの無い、下らないふかし、なんか聴かされてるよりは、
その目、目だけ見れば、大抵の男なんて判るのよ、ってな話でさ。

そう言えば、キムタク目線ではないが、
目だけで惚れさせてくれるような、目線のきまった男って、いないんだよね、ほんと、
という話であった。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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