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「ROCKを葬り去る前に その6 ~ 断食三日目、もうなにもできない」

Posted by 高見鈴虫 on 13.2013 ROCKを葬り去る前に ~ 大人のダイエット奮戦記   0 comments   0 trackback
ダイエット三日目。水曜日。

昨日遅くまで本を読んでいたら大寝坊。でちょっと遅刻。
お、また顔が小さくなってる、と喜びながら小便を垂れる。
のだが、あれ、なんか可笑しくない?
というか、なんか変だぞ、と思ったところ、
そっか、小便があまりにも素直に出過ぎる。
つまり、朝立ちしていないのである。

じぇじぇじぇ、ダイエットを始めたら朝立ちが停まった。
もしかして、このまま干からびた老人になってしまうのであろうか、
とちょっと不安になるが、
改めて見ればその腹。いまだになにも変化無し。

なあんだ、と思わず。これだけ脂肪が乗ってればまだまだ大丈夫、ってことだろうが。

歯を磨きながら体重計に乗ったら140LBS。また1LBか。
ま、1LBずつは減っている訳で一応進歩があるってことか。

遅刻した手前大慌てぶりっこで出社。

がしかし、この職場。上司も居なければ部下もいない。
つまり人の目はまったく気にしなくても良い仕事。
下手をすれば自宅勤務もOKな訳で、
このルーズなマネージメント、一昔まえの日本では絶対に考えられない。

とは思いながら、ふとメールを開けてみればジェジェジェ、
夜の間に日本からおもいきし面倒臭い質問状が来ている。

まったく遅刻した時に限って急ぎのややこしい案件が襲ってくる。
つまり神様はお見通し、という奴か。

という訳で午前中一杯これにかかりきり。
なんか身体が軽くなったのは良いのだが、
なんとなく集中力が途切れがち。
今日はもうバナナも無く、空腹を誤魔化すためにタバコばかり吸っている。

そんなこんなで1時を過ぎてからGYM。

なんか身体にまったく力が入らず、腹筋100回がやっと。
そのまま寝てしまいそうになっていたところ、
エアロビのクラスを終わったJANET。

全身汗だくのまま、こら、こんなところで寝るな、と大声をあげて高笑い。

いやあ、ダイエット始めたら力が出なくてさ、と。

で、あんた改めて何を食べてる訳?

だから、薄めたクラムチャウダーとバナナ。

それだけ?

昨日の夜は味噌スープ。

具はなにがはいってるの?

豆腐とジャパニーズ・ラディッシュとチャイニーズ・キャベツ。

それだけ?

そう、それだけ。あとバナナかな。

バナナ?

そう、バナナ。通りのベンダーで5本で1ドル。

あんた、ダイエットってよりもお金をセーブしようとしてるの?

いや、ただたんに、6パックっていうか。だからほら、こうやって腹筋やってるわけで。

なんて話しをしていたら通りかかったインストラクターのジェニファー。

このジェニファーさん。さすがにインストラクターとは言え誠に見事な肉体美。
が、しかし、モデルのようにやせ細っているという訳ではなく、
おぱいもおちりも出るところはバーンと出ている。
がしかし、引っ込むところはきちんと引っ込んでいるが為に、もう見ているだけでそそわれて来そうな、
まさに肉感タイプの美女。

で、そのジェニファーさん。

どしたの?と俺の顔を覗き見て、ねえ、あなた、なんかやつれたんじゃない?パーティで飲み過ぎ?風邪でも引いてるの?

と鋭いことを言う。

いやあ、実はね、と言い出したところを、いきなりしゃしゃりでたJANET。

6パックに憧れてダイエット始めたらしいんだけどねえ、食事抜いたら力が出ないんだってさ~、と大笑い。

それ本当?とジェニファー。

まあ、そう、そんな感じで、とやっていたら、あんたちょっとこっち来なさい、と事務所に引っ張られることになった。

つまりね、食べなければ良いってもんじゃないのよ。身体に必要なものはしっかりと摂取して、不必要な物は取らず、
身体のバランスを保ちながら無理なく痩せるっていうのが現代の医学。

ちょっと待ってね、とWEBサイトを調べながら、そういう話をしながら俺はもう倒れそう。全然身体に力が入らないのである。

という訳で、はいこれ、と殴り書かれたメモ。

FAT BURN SOUP ~ JENNIFER STYLE

その内訳は、と言えば、

玉ねぎ3個
キャベツ1個
セロリ3本
ピーマン一個
ホールトマトの缶詰(味なし・無添加)1缶
チキンスープの素

これを鍋に突っ込んで、ぐつぐつ煮る。
で、食べるときに好みに応じて塩コショウ。

で?

これを食べたい時に食べたいだけ食べる。
空腹感無し。元気も出る。

食べたいだけ食べて良いの?

そう、食べたいだけ食べていいの。そして果物。バナナ以外の食べ物。

バナナ以外?

そう、バナナはご法度。バナナ以外の、りんごとかオレンジとか。
甘みが欲しくなったら、お砂糖は駄目。ソーダも駄目。とにかくりんごとオレンジ。

これも好きなだけ食べていいの?

そう、好きなだけ。バケツ一杯でも。

それで痩せる訳?

そう、それで痩せる。飢餓感なし。仕事もできる。GYMにも来れる。でも痩せる。どう?

という訳で、ジェニファーにはお礼を言って、明日から毎日あたしのところに来なさいよ。しっかりウエイト・ウォッチしてあげるから。
信じて、今年が終わる頃には、その辺のゲイダンサーが涎垂らすぐらいにのセクシーボディーになってるわよ。

あのねえ、と。ゲイダンサーに涎たらされても困るのですが・・できれば貴女に、と言いかけながら、もうそんな軽口を叩く元気もなし。

で、はい、これ、と渡されたりんごが2つ。

今日の午後はこれで乗り切って、家に帰ってすぐにこのスープを作って、それをお腹一杯食べて。明日の朝にはもう元気一杯になっている筈だから。

なぬ、こやつ、もしや俺の朝立ちが止まったことも知っているのか、と思わず焦るが、素直にはーい、とご返事して、りんご二つをもったままふらつく足取りで着替えを済ませ、じゃねー、また明日とジェニファーに手を振って。
机に戻るまでの間、最早エレベーターを避けて階段で、なんて思いもしない。
エレベーターを待っている間にも壁に寄りかかっているような始末。

こりゃ駄目だな、と改めて。
確かに飯を食わなければ痩せるには痩せるのであろうが、まさかこんなではまったく仕事にならない。
ジェニファーに貰ったりんご、机に戻るのももどかしく、廊下を歩きながらそのまま二つとも食べてしまった。

で、手を洗おうと立ち寄ったトイレ。そこにはまさに窶れ切った餓鬼のような俺。
やつれてるなあ、と思わず。しなびた、というか、まさに10年老けこんだ、という感じ。

そっか、そういうことか、と。ただ食わないだけじゃ駄目なんだね。

という訳で、机に戻ってクラムチャウダーの残りを温めて啜るもすでに食欲さえもなし。

まありんご2つ食ったからな、とは思いながら、この惨めな気分。まったくもって、何故にこの季節にこんなことを初めてしまったのか。

なんてやっていたら、あ、いたいた、とウェンディー。

探したのよ、はい、これ、と大皿に山盛りのクッキー。
お客さんからの贈り物。好きなだけ取って。これがナッツ入り、これがチョコレート、これがピーナッツバターで、これが・・・

クッキ~!?

もうこみ上げてくる生唾にいまにも窒息しそうな気分。
目の前の色彩がすっと薄れて、思わずすっとそのまま後ろに倒れそうになった。

が、なんとか気を取り直して、あの実は、とジェニファーから渡されたFAT BURN SOUPのレシピ。

なにこれ、え?あんたダイエット中?

そう、なんか、そういうことになっちゃったみたい。

あれまあ、それはかわいそうに、と微妙な笑顔、なんてやっていたら、ジムで着替えを済ませたJANET。

廊下の向こうから駄目!の一言。
駄目よ、ウエンディ、その人、ダイエット中なんだか。そんなの食べさせたら、もう一皿みんな食べられちゃうわよ。

あらまあ、まじめな話なんだ。

そう、まあ、そういうこと。今日で三日目。

三日目か。いちばん辛いところよね。ならいいわ、取っておいて上げる。

走ってきたJANET。なによあんた、ダイエットとか言いながらこんなもの食べて。

食べてないよ。ウェンディーに事情を話してだ、と言っている側から、

ううう、これ、マカデミアンナッツ?

そうそう、そんでこれがアーモンド。これ美味しいわよ、ほら、とそのまま口にぽい。

うーん、やみ~、と満面に笑顔。

くっそったれ、と思わず。てめえら、血も涙もないクソッタレだ。

という俺に二人でケラケラ。これチョコレート?そう、なんかね、ちょっとスパイス、っていうか、ハラペーニョが入っていてすごく美味しい。

うわあ、ホントだ、おいしい。凄く美味しい。誰が持ってきたの?うわ、もっと貰っちゃおう。

そんな話を聞いていると、ふたたび激しい目眩が回って来る。

あのなあ、そのクッキー一枚の中に、どれだけの砂糖とサチュレーテッっど・ファットとトランス・ファットとコレステロールが含まれていると思っているんだ。
いいか、本来、美味しいっていうのはそういうものじゃないんだ。もっと慎ましやかにしかし口に含んだとたんに舌の裏からじんわりと広がってくるようなもっともっと厳かな、可憐な、そして尊いものなんだ。
そんな人工甘味料漬けにされたお菓子なんてばかり食ってるからアメリカ人はみんなバケモノみたいにふとっちまったんだ。
良薬口に苦し、の逆で、食べたとたんにおいしい!なんていうのはまさに毒なんだよ。
アメリカ人はまさに、そのインスタントな味覚によって毒漬けにされているんだ。
食品会社が巨万の額をCMに垂れ流して騙してすかして毒を食わせるだけ食わせて
で、病気になったら今度は医者がそれでまた儲ける。
これが資本の循環って奴なのか?
資本を循環させるために、人間を毒づけ薬漬けにして、なにが民主主義だ。馬鹿馬鹿しいにも程がある。

なんて話を、いまさら聞いている奴などいない。

という訳で、机に戻ったとたんにまた眠気が押し寄せてくる。
もしかしてあのクラムチャウダーにも山のようなMSGが使われているということなんだろうか。

やはり、闇雲に食べない、だけでは駄目なんだな。

FAT BURN SOUP。つまりは脂肪燃焼スープか。
作ってみようかな、と思った訳だ。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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