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BITTER COLD ~ 苦寒

Posted by 高見鈴虫 on 28.2014 犬の事情   0 comments   0 trackback
今年の冬は寒い。

そんなこたあ冬になるたびに挨拶代わりに言われることではあるのだが、

この冬、前代未聞の大寒波に襲われたニューヨーク。

今年に限って、そんなことをわざわざ口に出す輩もいない。

ニューヨークに住んで早20年になるが、いままでこれほどまでに凄まじい冬を経験したことはなかった。

一週間に一度ドカ雪が降る。

そのたびにバスだ地下鉄だタクシーだが無茶苦茶になり、
流通が滞り学校が休みになり、そして人々は際限なく降り続く雪の中で終わり無き雪かきを続ける。

そして雪が降り止んだ途端に零下15度の凍りついた突風が吹き荒れ、
それが終わるとすっかり凍りついた残雪に街中がスケートリンクと化す。
二三日ようやく零下5度ぐらいの日がやってくると、
おおなんかまるで小春日和じゃないか、と感じるぐらいに、すっかり体内の温度計がバカになっているのに気づく。

そしてようやく道々の氷りついた残雪が取り除かれた頃、
まるで見計らったように次のドカ雪がやって来るという次第。

そんな中、さしもの我が家の猛犬、
この問答無用のお散歩マシーンである我ブッチ君でさえ、今年のこの寒さには思わず目をぱちくり。

アパートのロビーから吹き荒ぶ雪嵐を見るに当って、唖然として雪舞う空を見上げた後、やばっとばかり、ぶるりと身体を震わせてそそくさと回れ右。

そこをなだめる賺してなんとかおしっこだけでも済ませて貰うのだが、それだけでも全身が雪まみれ。
まつげについた雪辺にしょぼしょぼさせた情けない顔に、そのスリムな短毛の身体をプルプルと震わせて見るからに哀れである。

何だよお前、どうした!いつもの元気はどこ行った。さああお散歩出発だ!といくらカツを入れても微動だにせず。

うーん、もしかして、これは元気やら、根性やら、という次元ではなく、すでに常識的な範疇、つまりはその犬種における許容量の限界を超えてしまっているのではないか。

という訳で、ここに来ていやはや、今年の冬の寒さのあまりのとんでもないさを改めて思い知った訳だ。

と、そんな姿を観るに見かねたかみさんが、着古したカシミアのセーターを改良して特性ブー君セーターを作成。

犬の体系に合わせておしっこ用にお腹の弛みをたくし上げたりとしているうちにまるで田植えに向かうもんぺ姿そのもの。
その上から黄色いレインコートを羽織る訳で、ステテコを履いたおっさんが黄色いマントをはためかせているようだ。

まるでどこぞの山の神がマンハッタンに降臨したようでもあり、観ているだけでも笑わせてくれる。

がしかし、この特性・山の神セーターのお陰か、吹雪の中でも零下15度の極寒の中でも物怖じすることもなくなりハッピーハッピー。

本人もよほど気に入ったのか、散歩に出かける前にセーターを出すと嫌がるどころか自ら率先して片手ずつを差し出してくれるようにもなった。

と言う訳で、この100年に一度の大寒波でさえ、我らが猛犬たちは恐れるに足りず、というばかりに、雪の公園を我が物顔に走り回っている訳だ。

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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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