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ソルト・バーン ~ 塩焼け

Posted by 高見鈴虫 on 28.2014 犬の事情   0 comments   0 trackback

がしかし、この冬の真の強敵は実はこの雪でも寒さでもない。

そう、そんな犬たちの真の強敵と言えば、まさに塩。

つまりは雪が降るたびに、滑り止めのために巻かれるこの塩。

これが犬たちのパウに染み始めるや、ひりひりと痺れてとても痛いらしいのである。

そんなソルト・バーン~塩焼けを防ぐために、我が家では必殺 MUSHERS WAXという、
エスキモーの橇犬ご用達の特性クリームを塗って来たのだが、今年のこの寒さ、そして雪の量、
まさしくそんな今までの常識の全てを覆すまさにクライシス・シチュエーションの極限状態。

さしもMUSHERS WAXも、通りに出てワンブロックも行かぬうちから、
ぴょこたんぴょこたんと足が攣ったようにびっこを始める訳で見るからに痛々しい。

がしかし、この塩々も公園に着くまでの我慢。

公園の雪の原野に辿り着けばもう元気いっぱいであることは判っているので、
さあがんばれ、あと少しだ、と綱を引くのだが、
どうにもこうにもこの塩焼けの辛さ、さしものお散歩大魔王もぐうの音を上げては
雪の最中に一歩も歩かなくなってしまった。

と言う訳で、この雪の中、いまや40LBになろうかという中型犬を
よいしょとばかりに胸の中に抱え込んで吹雪に霞む公園までの道のりを行く訳で、
その姿、まるで世界最悪の旅のスコット隊長をさえも思わせる。

お前なあ、橇犬の分際で人間様に担がせるとはなにごとか、とぶーたれながらも、
いざ公園に着いたとたんに、さっきまでのピーピー声もどこへやら、
行ってきま~す、とばかりにあっという間に白い雪原に消えて消え去ってしまうう訳で、
ひとり取り残されたこの俺。。まったくなあ、と苦笑い。

だがしかし、この塩焼けである。

いつまでも橇犬を担いで散歩をする訳にもいかない訳で、
凍りついた交差点で足をとられるようなことがあればまさに死活問題。
なによりも、可愛い我が子が苦痛に顔をしかめている姿は見ているだけで胸が張り裂けそうにもなる。

と言う訳でついに近所のペットショップに出かけて、スノーブーツを購入することになった。

このスノーブーツ。

ちょうどゴム風船のような格好で、ゴム製の提灯形のゴム袋にその足を突っ込む訳で、
ちょくちょくこのゴムブーツを履いた犬を観るたびに、なんだこの軟弱者は、足にコンドームなんかしやがって、
とせせら笑ってはいたのではあるが・・・

ついについに我が家のブー君もそんな軟弱犬の仲間入り。

がしかし、このスノーブーツ。

これまで子犬の時代からお散歩だけは十分すぎるほどにさせてきた関係で、
生まれてこの方、たった一度、それも子犬の時代にシェルターから出された直後、にしか爪を切ったことが無いぐらいで、
つまりはその自慢の俊足を支えるこの4つの足にそんな邪魔臭いものを着けた覚えもない。

と言う訳でその姿、まるで四本足のガチョウそのもの。
まるで焼けた砂浜を歩く時のように、ぴょこたかぴょこたか、とまるで舞踏病患者の嫁入りのようでもある。

そんな姿に思わず笑い転げるたびに、なんだよ~、といかにも恨めしげな表情。
クソッたれこんなものこんなもの、と剥がしてしまおうと暴れ始める訳で。
そこをなんとかなだめ賺して、でもほら、塩の上を歩いても痛くないだろ?とやれば、
あ、そう言えば、そう言えばそうそう、痛くないぞ、と首を傾げてはしげしげとその青いブーツを眺めている。

どうだ、凄いな、文明の利器は。それに割と似合うぞ、そのブーツ。
と騙し騙ししているうちに、なんとかブーツを履いての歩行も慣れてきたようで一安心。

がしかし、その途端にボールを追って無茶をやり始めたものだから、
散歩から帰ったとたんに、ふと見ればその風船ブーツにすっかり大穴が開いている。

あのなあ・・と。

この風船ブーツ。

12個入りで18ドル。

朝夕晩の三回の散歩でそのたびにブーツを破られてしまうと、なんと一日のお散歩代が18ドル・・・
これはまさにちょっと頭の痛くなる大出費である。

がしかし。。いまさらブーツを履かせないわけにも行かず、かと言ってお散歩に出て運動をさせない訳にも行かず。
と言う訳であっという間に穴の空いたブーツの山が築かれてしまった。

これ、接着剤で止めてみようか、あるいは二枚重ねたらどうだろう、と浅知恵を働かせながら、
まったく今年の冬は心底やれやれな訳である。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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