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結局南極・スーパーボウル

Posted by 高見鈴虫 on 03.2014 ニューヨーク徒然   0 comments   0 trackback

毎年2月の初頭に行われる全米スポーツイベントの最高峰・スーパーボウル。
言うまでもなくこれは全米を挙げての国民的イベント。
米国の正月がしょぼい理由はまさにこのスーパーボウルこそが米国の正月だから、なんて話もあるぐらいで、
子供から老人まで、一族郎党、下手をすれば赤ん坊やら犬・猫にまでお気に入りチームのコスチュームを着させてテレビの前に大集合!
とまさにアメリカ人冥利に尽きる国民的一大イベントなのである。

で今年、2014のスーパーボウルはなにを何を間違えたこのニューヨークで開催されるということになっていた。

何故にこの真冬の糞寒い時期によりによってニューヨークの、しかも天井もない吹きさらしのGIANTSスタジアム(現名・METLIFE STADIUM)なんてところでこのスーパーボウルなんてものをやらねばならないのか。

まあぶっちゃけ、経済効果であらう。

全米の津々浦々が大注目するこのイベント。
このスーパーボウルを生きているうちに一度だけは見たいという人々がほとんどのこの国。

ここアメリカのほとんど男の子たちにとってアメフトこそがまさに人生の全てである。
その比重は田舎に行けば行くほど顕著で、まさに生活どころか人生そのものがまさにアメフト。

いま問題になっている全米の肥満の原因の実はほとんどが、
このアメフト信仰、でかい・重い・強い、ほど良い、という美意識に基づいているからで、
ちなみに女の子への巨乳信仰とも密接に関わっていると思われ。

そんなアメフトファンどもにとってまさにスーパーボウルこそがこの世の華。世界の中心、最高峰。

ちなみに選手が豆粒以下にしか見えないような席でもそのチケットは券面額で800ドル。
がしかし、まさかこの天下のイベントがそんな値段で買えるワケがない。
一般売り用の枠などは全席の8%と言うがまさかまさかである。
つまりは、ダフ屋が買い占めたチケットがその転売サイトで転売を繰り返され、
倍の倍の倍のに跳ね上がっていく訳でまさにその値段は天井知らず。
下手をすれば家一件どころか全財産を担保に入れてその一席を買ってしまう、なんていうハードコアが毎年現れるぐらい。

それに加えて焦点となるのがまさにスポーツベット。つまりは賭けである。
応援するチームに全財産を賭けるどころか、生涯稼ぐ金の全て、つまりは自身の人生そのものをアポンしてしまう輩がごまんといる訳で、
まさにそう、このスーパーボウルこそが天下分け目の大決戦となる人が全米にごまんといる訳なのである。

そんなアメフトキチガイたち、
年に一度、チケットが取れようが取れまいがとりあえずはスーパーボウルの開催地に向けて大移動をする習性があり、
つまりそんな人々たち、俗に言うテールゲイトの人々も含めこのスーパーボウルにはまさき空前の収益を見込める訳なのである。

がしかしよりによってこの冬、ニューヨークは史上始まって以来という大寒波。

連日マイナス10度、ことによるとマイナス15度なんていう南極日和が連日に渡り
それに加えて週に一度のドカ雪に見舞われるたびに全市がストップの大混乱を繰り返している訳で、
さしものハードコア・アメフト野郎と言えども、まさか大雪に没した露天のスタジアムで、零下マイナス15度の突風に煽られながらゲームを観戦、というのは・・・

いや大丈夫、と誰もが言う。

それがアメフト魂、というものだ、とは言いながら、
そう、そのアメフト魂によって天国に召される方々が続出するのも必至。

と言う訳で、この史上初めてとなる極寒地の露天スタジアムでのスーパーボウル。
この後に及んで、あまりにキチガイじみている、という批判も殺到していた訳だ。

果たして、もしもスーパーボウルの最中にドカ雪が降ったらどうするのか。

もちろん試合は行われる。いついかなる状況でも試合をすること、こそがこの戦闘訓練を基本としたアメフトの最もたるもの。
いついかなる場所でも戦うことこそがアメフト魂。これはもろに、アメリカ軍兵士の士気にも直結する。
がしかし、つまりは、そう、そんな経済効果を狙って召集するアメフトマニアの観客達が果たしてそんな状況でどうやって試合を観戦するのか、あるいは、どうやって会場まで辿りつくのか。

スーパーボウル開催日が近づくに連れ、白熱化する議論の中、スポーツ専門放送局であるESPNでは毎日一時間おきにニューヨークを中心とする天気図が現れ、2014年2月2日のお天気こそが、全米最大の関心ごととなっていた訳である。

そんな懸念を胸に、マンハッタンの中心・タイムズスクエアでは、開催日前の一週間、目抜き通りであるブロードウエイを「スーバーボウル・ブルーバード」と称して、すべてをイベント会場化。
巨大スクリーンからジャイアント滑り台から、とそんな経済効果を狙っての一大パーティ会場化が計られていたのだが、いやはやこれが連日連夜押すな押すなの大盛況。

しかもこのアメフトマニア。前述したようにまさにでかい・重い・強い、が心情の人々。通常のニューヨーカーの少なくとも二倍の体積のある輩、関取クラスの人々がひしめいている訳で、
しかもそんな人々、揃い揃って超田舎者で、都会暮らしに慣れていないどころかなにからなにまでまさに牛並にとろい。あるいはゴリラのように怒りっぽい。
そんな輩たちがいきなりTIMESスクエアを占拠してしまった訳でこれを地獄と言わずしてなんと言おう。

しかしながら、さて地元ニューヨーカー達の反応はと言えば、これが実は意外に冷めている。

ニューヨーカはアメリカではない、とまで言われるこのアメリカで唯一の都会であるニューヨーク。
そこに暮らす人々はアメリカ人というよりはニューヨーカー。
そんな生粋のニューヨーカーはあまりアメフトに興味がない、というよりは、
そのアメフトに象徴されるものを嫌って、あるいは、そんなアメフトに象徴されるアメリカ土着文化から逃げてきた、なんていう場合が多いのも事実で、

スーパーボウル?そんなもの知ったことじゃない、という輩も数多く存在するのではあるが、そこはやはりどうしてもアメリカ人。スーパーボウルはスーパーボウル。
好き嫌いは別としてそのスーパーボウルの意味することは十分すぎるほどに知り尽くしていて、まさに苦々しいばかり。
まあ好きにやってくれよ。俺は知らないけどね、とこの狂騒に背中を向ける連中も多かった訳だ。

と言う訳で、このニューヨークで行われた最初で最後のスーパーボウル。

まさか観衆5万人が大遭難。その被害はカトリーナ・サンディあるいは、911の比ではなく、全市民総出で捜索と雪かきに動員されて、

なんてことにはならなくて済んだのはまさに奇跡の中の奇跡。

蓋を開けてみればこの2月2日。
ここ数ヶ月間、見たこともないようなまさに降って湧いたようなぽかぽか陽気。
雲間から覗く久しぶりに見る明るい日差しの下、まさに、ああハレルヤ、と両手を広げたくなるぐらいの絶好のスーパーボウル日和。

試合そのものは開始早々から守備力に勝るシアトル・SEAHAWKSのワンサイドゲーム。
全米のJOCKたちの象徴的アイドルであり続けたベテランQB・デンバー・BRONCSのペイトン・マニングがまさかまさかの赤恥に赤恥を重ね、
生涯一度あるかないかの大失態試合の中、完膚なきまでに叩きのめされた結果、43-8という、
これも史上稀に見る大量得点差の超一大糞ゲームというおまけもついて、この世紀の一大祭典スーパーボウルは無事に幕を閉じたわけである。

と、そしてまた新たなる奇跡が起こった。

まさにスーパーボウルの終りを待ちかねていたように、試合終了と同時に空に白い雪片が舞い始めたのである。

そしてニューヨークに雪が降り始めた。

スーパーボウルの去った直後から夜を徹して降り続いた雪。

祭典から一夜明けた朝、街中がありとあらゆるものを白く埋め尽くされていた。

と言う訳で、飛行機は欠航、道路は大渋滞。

スーパーボウルの巡礼者たちはこの雪の都会の中に缶詰状態。
音も無く降り積もる雪を前になす術も無く、銀ラメの紙吹雪ならぬ、本まもの純白の吹雪を前にただ唖然と佇んでいるのばかり。
その足止め客の経済効果もまさにバカにならない訳で・・・

ニューヨークの神様、まさにやってくれるなあ、であった。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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