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「ROCKを葬り去る前に その35 ~ アメリカの田舎、恐るべし」

Posted by 高見鈴虫 on 12.2014 ROCKを葬り去る前に ~ 大人のダイエット奮戦記   0 comments   0 trackback
またまたご苦労様でご出張に出ていた。

朝6時に家を出て、開いたばかりのレンタカー会社のカウンターで車をピックアップし、
IPHONEにUSBケーブルを突っ込んでGOOGLE MAPのナビゲーションが始まれば、
あとはもうなにもすることがない。

マンハッタンからジョージ・ワシントン橋を越えて、
ニュージャージーを横断して山越え谷越え、
右だ左だ、のIPHONEの指示に従ってただひたすらにフリーウエイをひた走るだけ。

雪の積もった暗い山陰。
すっかりと凍りついた河。
氷に包まれた枯れた木立。

雪かきの最中で諦められた無人の駐車場をつっきって、
誰もいない吹きさらしのガソリンスタンドでガスを入れて、
そして誰の姿も観ぬうちにまた再び走り始め、
そして再びフリーウエイの上。

毎度のこととは言いながら、
このアメリカの田舎道。
この裏寂れた風景の侘びしさと言ったら半端ではない。

ニューヨークから西、
ハドソン川を越えるとそのまま太平洋を跨いで東京まで、
まるでなにもない、とは良く言うことではあるのだが、
このアメリカのど田舎。
行けども行けども目に見えるものはフリーウエイの車線と、
そして枯れた木立。
マクドナルドの看板と、そして、空、ばかりで、
見渡す限りなにひとつとしてなにも目につく物がない。

ニューヨークやシカゴなどの大都市部を除くアメリカ人たちは、
一日平均2時間半ほどを車の中で過ごすそうである。

いったい彼らはこんな車の中でいったいなにをしているのだろう、と改めて思う。

本を読むわけでもなく、IPHONEでゲームをする訳でもなく、
ただ呆然と見渡すかぎりの茫漠とした風景の中で、
空とフリーウエイの白い写真とそしてEXITのサインばかり。
考え事をしようにもこんな状態でなにをろくなことを考えることもできず、
つまりはただひたすらにぼーっとしている訳である。

日本人がなんだかんだ言って電車の中で過ごす時間がもっとも無意識に近いとすれば、
アメリカ人はまさにこのフリーウエイを時速80マイルでぶっ飛ばしながら
ただひたすらにぼーっとしている時間こそが、もっとも無意識、
つまりは普通の時間なのだろう。

という訳で、辿り着いたのは雪に包まれた原野の中に忽然と建ったデーターセンター。

いったい誰がなにを考えてこんなところにオフィスを作ったのか。
そしていったいどんな奴が、どんな事情があって、
こんな何ひとつとして何もない、こんな原野の真ん中に建ったオフィスに勤務しているのか。

同じ会社の同僚とは言いながら、
まったくもってそんな人々が何を考えているのかさっぱりわからないのだが、
がしかし、それは向こうも同じこと。

ニューヨークオフィスから来た、というだけで、
まるで宇宙人を前にしたかのように、皆さん、コチコチに意識しまくってしまって、
まあ確かにこちらは田舎出張とは言え普段着代わりのスーツにネクタイ。
で、あちらさんはと言えば、Tシャツにジーンズにフリースのジャンパー姿。

そして改めて目を見張るのは彼らの体型である。
そんな田舎人は決まって誰もが徹底的に太っている。
タイコどころか、まるで地球儀のようにまん丸になってしまった人々ばかり。

そんな俺はといえばここ一月ばかりのダイエットでようやく腹に6パックが浮いてきたところ。
そんな俺が、実は彼らの目にはまさに餓死寸前で死にかけているような骨と皮ばかり、
に見えることだろう。

とい訳で今更ながらお互いがお互いを、なんじゃこりゃ、と言った感じで思わず凝視してしまうわけなのだが、
どちらが特異か、と言えば、勿論それは俺。つまりはニューヨーク側。

なんてったって、数えるばかりの大都市を除くアメリカのほとんどが実はこの地球儀体型。
このじゃがいもに割り箸二本の体型こそがアメリカのスタンダードなのである。

がしかし、いまさらながらこの田舎と都会とのあまりにも大きな差異。
埋めるに埋められないギャップの大きさを改めて実感することになる。

という訳で、アメリカで出張と言えばまさに飯である。

アメリカ人というのは出張に出るとまさに朝から晩まで徹底的に食って食って食いまくる。

前回の会議では、朝にドーナッツ、昼にピザ、夜にステーキ。
その合間を埋めるチップスとクッキーとケーキとコーラとジンジャエール。
コーンフレークにワッフルにベーコンにオムレツにチーズバーガーにポテトチップスにパスタに
チーズにバターたっぷりのまさに揚げ物の山。

まさに悪夢。これで太らないほうが徹底的にどこかおかしいというぐらいにまさに肥満食そのもの。

で、会議の間中、これが連日絶え間なく続く訳で、まさに胃袋どころか腹そのものが、
エイリアンの子供に食いちぎられるように破裂しかけた覚えがあって、
ニューヨークに戻って数日した日にはなんと腹一面に妊娠線のようなものが見えたりもしたものだ。

がしかし、今回に限ってはそんな状態を予想して事前に「ヘルシーフード」をリクエストしていた甲斐があって、
幾ばくかばかりの進歩は観られた。

つまりは朝はベーグルとフルーツ。
昼はサラダとハムとチキンのサンドイッチ。
夜だけはさすがにイタリアンでパスタ三昧であった訳なのだが、
これでも前回に比べてばまだまだましな方。
しかしながら。。予想通り今回のこの会議、
まさか食事のせいだけとは言わないまでも、
まったくもって完全に不評。

会議二日目には出席者の半分以上がなんやかんやで欠席。
だって~、ピザもチーズバーガーも出てこない会議なんか、
出る意味ないじゃない?
という声が聞こえてきそうである。

まあたしかにな、そういう俺も、確かにピザもチーズバーガーも出てこない、
と判った時点で、ほっとしたものの、ちょっと物足りないな、と思ったのも事実。
俺がそう思っている以上、他のメンバーは尚更。

昼食後に大幅に遅刻した一段。
どこに行っていたかと聞けば、実はみんなでメキシカンを食べてきた、
とのことでこのアメリカ人、まったくやれやれな人々である。

そして今回改めて思ったのだが、田舎の料理は塩辛い。

サラダからスープから出てくる料理全てが確実に塩の入れすぎ。
思わず唇がヒリヒリしてくるように塩塩塩。
山のように用意されたペットボトルの水を再現なく飲みまくっても、
やたらと喉が乾いてやまない。

あらためてこれで身体をおかしくしない方がおかしい訳だが、
田舎のアメリカ人たち。
そんな自殺行為的な食生活にどっぷり浸りながら、
わかっちゃいるけどやめられない、という妙な親近感でつながっているわけで、
そう、アメリカ人に親近感をもたれたければまずは太ることなのだな、と思い知った訳だ。

そう、つまり、アメリカの田舎から出る気がないならば、の話。
そして、そう、それこそが、彼らがこんな地の果て、ミドルオブ・ノーウエアに埋没している理由な訳である。

という訳で、たかが出張されど出張。
気をつけていたとは言いながら、なんだかんだ言いながらそれでもたらふく食べてしまって、
おまけにこの究極の運動不足。

運動といえば歩くだけ。それも駐車場から車までの距離だけ。
あとは全て車でスイスイな訳で、まったく徹底的に身体を使わない。

という訳で帰りの車の中、なんとなくズボンがきついことには気づいていた。

なんかもしかしてダイエットを始める前の昔に戻ってしまったのではないか、
と思うぐらいに身体が重い。

という訳で、帰り着いたニューヨーク。

家に着いて最初にやったことと言えば、
服という服を脱ぎ捨ててすっぽんぽん。
鏡を見ればまさにけつの穴からストローで空気を詰められたカエルのようにパンパンまん丸の腹である。

生唾を飲み込みながら恐る恐る乗った体重計。。。

出発前には129.8LBであった体重が、
たった2日間の出張から帰り着いた途端。。。。

なんと、137.8LB!!!!

じぇじぇじぇ~、なんと8LB?まさか。。。とは思いながら、
やはりこの身体の重さ、尋常では無いわけで。
たしかにな、そのぐらいは増えている可能性は大、
とは思っていたのだ・・

がしかし、いきなり8LBとは、とこれまでの苦労が、
たった2日間の出張ですっかり瓦礫と化してしまった現実が、
ずしりと重く伸し掛かってきた訳である。

もういいか。もう諦めるか。
そして普通のアメリカ人のように、まるで風船のような地球儀のような、
そんな体型でこのさきの人生を生きるということなのか。

という訳で、気を取り直してもう一度。
思わず霞む目で体重計の目盛を再び凝視すれば、
あれ、これもしかして1か。つまり、131.8LB
ってことは2LBの増量。それだけで済んだ訳か。

思わず床にヘナヘナとしゃがみ込んでしまうぐらいに脱力してしまった訳だが、
それにしても2日間で2LBか。しっかり一日1LBの増量という訳で、
果たしてアメリカの田舎。まさしく恐るべき、と言ったところである。

くそったれ、俺はもう何があっても絶対にニューヨークを離れないぞ、と心に誓った訳である。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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