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なんとなく欠落間

Posted by 高見鈴虫 on 12.2014 とかいぐらし   0 comments   0 trackback
出張先からの帰り道。

なんか俺、忘れていないか?
という妙な気分に捕らわれていた。

なんだろう。
書類?財布?免許証?家の鍵?社員証?
IPHONE?チャージャー?ケーブル?

あまりに気になって、思わず途中のガススタで降りて、
かばんの中を引っ掻き回してみたのだが。。
あれ、全部あるぞ。

そう、テック時代、出張に出るたびに現場になにか忘れて来て、
それを思い出すのは決まって空港の待合室。
いまさらフライトをキャンセルするのも馬鹿馬鹿しく、
かと言って自分の間抜けぶりが許すに許せず、
そんな訳で帰路の機内ではきまってむっつりと不貞寝状態。
今のうちにやっておかねばの出張清算も報告書も、
すべてうっちゃってばかやろう、と眼をつむっていた。

がそう、そんな経験に懲りて、
今となっては俺はほとんど忘れ物をしない人になっていた筈。
いまでも場所を離れる前には、
地下鉄の座席を必ずもういちど振り返ったり、
あるいは、普段から身に着けているものは、
すべて所定の場所が決めてあって、
つまりなくなったものがあればすぐに気づくはず。

がしかし、なんだろうこの欠落感は、
とふと眼を上げた時、
マルボロ$3.99のサインにはたと気がついた。

タバコだ!

そう、タバコなのである。

アメリカの田舎への出張でまずなにを買うのか、と言えば、それはまさにタバコである。

ご存知のように長らくニューヨーク市長であったかの名君ブルーンバーグ氏の英断で、
ニューヨーク市のタバコの値段はある一夜を境になんと倍額に跳ね上がった。
通常市価は一箱13ドル。そのほとんどが税金。
がしかし、一度ニューヨーク市を出ると、
ぶっちゃけハドソン川を跨げばいきなりそのタバコは半額になる訳である。

ご存知のようにアメリカのタバコの値段は週によって違う。
ヴァージニア州のようなタバコの葉の産地なんかに行くと、
まさにニューヨーク州の3分の一。
つまり州を上げて喫煙を推奨している訳でそれもどうかと思うが、
わざわざ車でヴァージニア州まで出かけてタバコを山ほど買い漁っては
ニューヨークで密売なんてことをやっているケチな運び屋もいるぐらいで、
ヴァージニア州までのガス代と労力を考えてもその方が安い、
というのもニューヨーク市のタバコがいかに無茶苦茶な値段であるのかが判るというもの。

がしかし、そう俺は既に電子タバコ愛好者となってしまった訳で、
すでにこうしたタバコの呪縛からは徐々に開放されつつある。

なので、なんだ今回の出張はタバコを買う必要もないし、あまりおいしくないな、
とは思っていたのだが、そしてもうひとつ。

そうか、タバコか。。

これから15分も走ればペンシルバニアの州境を越えてニュージャージー、
そしてニューヨークはもう眼と鼻の先。

いまのうちにタバコ、買っておくか?
俺が吸わないまでも、誰かに土産として持っていってやっても言い訳で。。

という訳で、しばし悩むこと5分。

辞めてしまったタバコ。
その代わりに手に入れたこの電子タバコ。
正直いって味気ない。
もし手元にタバコがあれば。。。たぶん、吸ってしまうだろう。

うーん、さあ、どうするどうする?

と悩んだ途端、ふとみると暗い空からちらほらと雪が舞い始めた。

そら、雪嵐が近づいて来たぞ。

という訳で、いきなりぶん、とアクセルを吹かして、
不埒な気持ちを吹っ切った訳である。

さらばマルボロ。さらばナットシャーマン。さらば銜えタバコのいなせなロッカー野郎。

そんな次第でこの禁煙、もうしばらくは続きそうである。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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