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可愛くなくっちゃ女ではない。 やせ我慢こそが男の糧。

Posted by 高見鈴虫 on 16.2014 嘗て知った結末   0 comments   0 trackback
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寝ているばかりでなにもしない!
とは常々かみさんの口癖である。
がしかし、
男たるものそんな小言をいちいち耳に入れてはいけない。
あるいは、
寝ているばかりでなにもしない、こそが、男の勲章と思うべし、というべきか。

では、果たして旦那の仕事の最も大切なこととはないか。

それは、口を出さないことである。

夫婦喧嘩のほとんどは、実はこの下手に口を出すことによって始まっている。
旦那である以上、かみさんのやることに口を出してはいけない。

出されたものは黙って食う。
それが例えなんであろうと、うん、旨い、ぐらいは言ってやる。
なんかさあ、なに出しても美味しい美味しいばかりで、全然参考にならなくて、
というのはつまりは褒め言葉。
男たるもの一度かみさんに家事を任せた以上、
決してそれに口出しをしてはいけないのである。
それは掃除しかり、洗濯しかり、子育てしかり。
外でいったい何様であろうとも、
家にあってはかみさんことが上さん。つまり神さん。
旦那は家における一切のことをすべてかみさんに一任し、
一任した以上は口出しは厳禁。
これこそが男尊女卑の日本文化を支えてきた秘訣なのである。

がしかし、例え旦那だからと言って、
いっさい家のことはなにもやらなくてもよい、
という訳ではまったくない。

今日日、夫婦共稼ぎ、
かみさんだって外でばりばり働いていることも多く、
下手をすればかみさんの方が収入も上、という事態も十分にありうる。
そんな中で、外仕事に加えて家の仕事もかみさん頼み、
というのはあまりにも情けない。

という訳で、口を出さない旦那はなにをしなければいけないか、
と言えば、口ではなく手を動かすことなのである。
つまり、不言実行。
あれ、お皿洗っておいてくれたんだ、と言われたときには、
どうだ、俺にだってやればできるんだぞ、やら、
あ、あ、そうそう、ちょっと手が空いてたから、
とか、うん、なんか仕事大変そうだから、へへへ、
などと、頭撫でて撫でて、のようなことを口にだしては絶対にいけない。
あ?おお、この一言で十分。
あるいは、うるせえ、余計なこと言うんじゃねえ、
と返事もせずに横を向いている、というのが正しいありかた。
掃除しかり。切れた電球の交換しかり、大工仕事、ゴミだし、そして洗濯しかり。
なにごとにおいても不言実行を貫くこと、こそが旦那の役割なのである。

つまり、旦那と言えども家のことはいっさいまったくなにもやらない、
では決して済まない。
しかも指示を待つこともできず、ご褒美を期待することなどもっての他。
ただこっそりと黙って、何事もなかったかのように妻の不足を補い、
苦労を補い、しかしかみさんの前では一切そんな姿は見せず。
知らねえや、そんなこと、とばかりにテレビの前で寝転がって、
おならでもひっていなくてはいけない。
たまの残業で遅く帰った妻が、
そんな姿を見て、あれえ、ねえなにもやってないの?ちょっといい加減にしてよ、
と小言が出るときも、いちいちそれに口をだしてはいけない。
なんだとこら、やら、俺にだってゆっくりしたいときぐらいあるんだ、
などと、言い返す、なんてもっての他。
それこそが敵の思う壺。
家においてはそれが例えどんな理不尽なことであったとしても、
決してかみさんの小言を真に受けてはいけない。
聞こえない振りして鼻くそをほじっているか、
あるいは、あ、ちょっと、という不利をして犬の散歩にでもでかけてしまう。
そのときに、あらよってな感じでゴミなど捨ててくれば尚良し。

そして一時間二時間の後に帰った時には、
かみさんの機嫌はいつの間にかすっかり直っている筈なのである。
がしかし、最近の女は強い。
早々と男ばかりに格好よい顔もさせてはくれない。
下手をすれば、その鬱憤のはけ口に、
こちらの最もきついところを突いてくる、
というこしゃくな攻撃に転じることもままある。
がしかし、判っているように、こと口喧嘩においては男は女には勝てない。
絶対に勝てない。何度やっても、絶対の絶対に勝てない。
それはつまりは勝つべきではない、ということも含め、
つまりは勝てない喧嘩はしない。
口喧嘩を売られても決して乗ってはいけない。
大抵のけちな夫婦喧嘩が拗れる原因は、
なんてことはない、この理論性もなにもない堂々巡りの女の口喧嘩に、
男がむざむざと乗ってしまった、あるいは引きずり込まれてしまったことによるものだ。
女としても男に口喧嘩の相手になって欲しい、などと思っている訳では決してない。
ただなにかを喋りたいだけか、あるいは、それはつまりは鼻歌と一緒なのだ。
いつ何時でも、たとえそれがどれだけ理不尽なことであっても、
旦那はかみさんをまともに相手にしてはいけないのだ。
とは言っても、最近は特に早々と達観ぶりっこばかりしていられない事態に陥っているケースが多い。
つまりは経済的な問題。つまりはそう、旦那自身がにっちもさっちもいかない状態に陥っている時である。
がしかし、そんなことは百も承知しながら、
男はしかし、やせ我慢を続けなくてはいけない。
うるせえ、とケツをまくって踏ん反り返り、決して動じるそぶりを見せてはいけない。
そこを一度、ほんの少しでもそんな引け目を感づかれるようなことがあれば、
ましてや、
あんなあ、俺だって精一杯やってるんだ、などと同情買うような下手言い訳を始めたり、
その逆に、いやあ君もお仕事大変だねえ、いつもありがとうね、
などと、一度かみさんに媚へつらうような態度を取れば、
そのときこそがかみさんが旦那を見限る時。

だったらあんた家のこと全部やってよね、ほらこれもこれもこれもこれも、と際限がなく、
いちどそう来た以上はすでに待ったなし。
残業の末に酔っ払ってくだを巻きながらご帰宅、とすっかりおじさん化したかみさんは、
そのうち必ずや下手な不倫に巻き込まれては、
結果お役ごめんと引導を渡されることになる。
それもこれも、つまりは、この媚を見透かされたことによるものなのだ。
たとえ収入がどうであれ、仕事があろうがなかろうが、
あるいは家の仕事にどれだけ無能であれ、旦那は旦那である。
全てを達観して、うっしゃあ、とどんと構えてなくてはならないのである。

改めていう。
可愛くなくっちゃ女ではない。
やせ我慢こそが男の糧なのだ。

女にしっかりと可愛い女をさせてやるために、
男は精一杯にやせ我慢を続ける必要があるのだ。
そんな可愛さこそが女の証であるとすれば、
男の精一杯のやせ我慢こそが女への愛の証。

どうだ辛いだろ?

がしかし、
男として生まれた限り、口先でしゃあしゃあとおべんちゃらを並べるのは、
新しい女を騙すときだけ。
てめえの本命の女の前ではそんなそぶりは一切出さす、
なにもかもが屁づまらねえ、という顔をしてふんぞり返っていること、
こそが大仕事なのだ、と心得るべし。

男はつらいのだ。そういう生き物なのだ。なんてったって俺たちは消耗品なのだから。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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