Loading…

AMERICAN BITE その九

Posted by 高見鈴虫 on 16.2014 日々之戯言(ヒビノタワゴト)   0 comments   0 trackback
その後、我が家の常連になったのはメキシコ人である。
ウエットバック、といわれるこのメキシコからの不法移民。

来るたびに山ほどハッパを持ってきてくれて非常に重宝したのだが、
俺が家に居るいないに関わらず、昼夜を問わず我が家に常駐するようになっていて、
そのあつかましさにはさすがに辟易させられたが
いつの間にか我が家のポンコツ電気炊飯器の使い方を覚えては、
家に帰ると山のようなパエリャを作っていてくれたり、
チューブに入りのワサビが気に入ってはなににでもワサビを入れるようになったり、
と、とにかく笑わせてくれた。

その頃になると俺の英語もとりあえずは通えるようになっていて、
下手をすれば俺がそんなメキシコ人移民の英語の先生。
がしかし、発音的にも文法のいい加減さからも、
どちらかと言えば英語よりもこのスペイン語の方がなじみが深い。
という訳で、俺の英語勉強はいつのまにかスペイン語に摩り替わっていて、
いつの間にか英語で話すよりもスペイン語で話す機会の方が多くなっていたりもした。

そんなメキシコ人たちに紹介されたメキシコ人コミュニティの人々。
本来、根がいい加減でお祭り男。チンピラ風情の抜けないあんちゃん風情であった俺は、
そんなメキシコ人たちとは異様に波長があってしまうところがあって、
一度このメキシコ人の奴らとつるみ始めたとたん、その居心地のよさにまさに我が家同然。
いつの間にか本来の俺のアパートにはメキシコ人ばかり、
俺はそんなメキシコ人たちの住むメキシコ人ゲットーに入り浸る、
なんてことにもなっていったいどこが自分の家なのか判らない。

と、そんなメキシコ人移民たち。
大小に関わらず、揉め事の際には必ず力になってくれて、
俺があのタフな状況を生き抜く上において、
奴らの力添えなしには越えられない山がいくつもあった。

いまでも俺があのタフな状況を生き抜けたのは、
そしてその後、グリーンカードが取れたのは、
まさしくやつらのお陰、と思っている。


  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://shumatsuwotohnisugit.blog.fc2.com/tb.php/1946-57a9bc90

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

月別アーカイブ

検索フォーム