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AMERICAN BITE その十六

Posted by 高見鈴虫 on 16.2014 日々之戯言(ヒビノタワゴト)   0 comments   0 trackback
TVジャパン、という放送局がある。

有料のケーブル局で、日本のNHKの番組を半日遅れで放送している。

このTVジャパン、お試し期間とのことで試しに観て見たら。。。

思わず、おい、このテレビ壊れている!と叫んでしまった。

おい、このテレビ、いきなり日本語を喋りだしたぞ!

なぜか、テレビの言っていることが良くわからなかった。

日本語が聞き取れないのである。

つまりこれまで、テレビと言えば英語。つまりはテレビの音は全て英語脳で聞いていた訳なのだ。

がしかし、一度慣れてしまうとこのTVジャパン、つまりはNHK、まさにキラーであった。

なんだかんだいってTVこそが日本の文化の集大成である。

そのなんとものっぺりとしたのほほんとした、うじうじと身を寄せ合ってはお節介ばかりする

その悲しくも朗らかで、痛々しいほどにアジア的なこのNHKとそれに映し出される人々。

テレビをつけた途端、窓のそのとニューヨークの雑踏が一瞬のうちに影を潜め、

そして体ごとがあの日本ののほほんとした母体の中に包み込まれてしまう。

それはまさに麻薬、麻薬の中でも一番性質の悪い、まさにオピュームの齎す甘い霧のような陶酔感。

いやあ、日本っていいよなあ、本当にいいよなあ、な訳である。

とそして、TVジャパンのお試し期間が終わったとき、ふと普段の米系チャンネルに変えてみると、

おっとっと、英語がまったく聞き取れなくなっている。

という訳で、いつのまにかのこの日系社会。

うだうだと長屋暮らしをしているうちに、はっと気づけばまったく、まったく英語を喋らない日々が続いていたのだ。

が、そう、まあいいかな、なのである。

つまりこの日系部落に身を沈めている限り、英語など喋らなくても十分に生きていける。

一度そう思うと、英語を喋るのが、聞くのが読むのが、無性に面倒になってくる。

いやあ、楽させて貰っているなあ、と思わずニマニマしてしまうわけで、

そんな中、安月給にさえ目を瞑れば、そしてあの勝手に特権階級に収まってしまった薄ら馬鹿の駐在員たちの、
あの人を人とも思わない差別的な態度、さえ気にしなければ、ここはまさに長屋。

寄り添い、支えあい、慰め合い、笑いあう、そんな貧乏長屋そのもの。

テキサスのあの孤独を経た俺にとってはそれはまさに天国であったりもした訳なのだが、
それが罠であることも十分に承知していた。

自分を甘やかしたものには必ず報いが訪れる。

ここニューヨークにおいては、いかにもそれが普通にも思えるこの日系社会。

があしかし、このニューヨークがアメリカにある限り、ここニューヨーク以外のアメリカの抱える、
あのどす黒いアメリカ的な現実から逃れることはできない。

つまりは、そう、ここはアメリカなのである。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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