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愛しのチャーリー・ワッツ ~ その6 基礎のできた男

Posted by 高見鈴虫 on 29.2014 音楽ねた   0 comments   0 trackback
とかくキワモノ的な扱いを受けるチャーリー・ワッツである。

世の困ったど素人の間では、リンゴスターと並んで下手糞なドラマーの代名詞のような言われ方もしている。

確かにリンゴ・スターは下手だ。ど下手だ。耳が腐る。リンゴスターのドラムは効果音としてのドラムで、そこにリズム、あるいはグルーブは存在しない。

ビートルズがライブバンドとして立ち行かなくなったのもそれが理由であり、そしてその後のスタジオワークに没入できたのも、つまりはビート、つまりグルーヴに、つまりはリンゴスターのドラムになんの思い入れもなかったからである。

そしてストーンズである。

ストーンズこそが正真正銘のライブバンドである。ライブでこそその本領を発揮しうる底力を秘めたバンドである。

そんなストーンズがビートルズと共にライブハウスの箱バンをしていた時代、ストーンズの演奏技術は群を抜いている、という評価であったと聞く。
その理由とはまさにチャーリー・ワッツである。

箱バンクラスのキャパの小屋は、とかく音が悪い。

ベースの音は廻ってしまってなにも聞こえない。ギターのアンプを上げれば上げるほど轟音の中になにもかもが掻き消えしまう。

そしてそんな小屋ではまさに、ドラム。ドラムの音しか聞こえないのである。

がしかし、客たちはそんなことには誰も気づかず、聞こえもしないギタリストに熱狂し、そしてボーカリストこそがステージの花。

がしかし、そうドラムである。ライブハウスこそがドラマーの正念場。

唯一聞こえるスネアの音。その安定性と、そして切れがなければ、客は誰一人として踊らないのである。

という訳でチャーリー・ワッツである。

初期のチャリー・ワッツのビデオ、というか、記録フィルムを見ると、まさに口があんぐりと開いてしまうに違いない。

上手いのである。普通の意味で、とてもとても、上手いのである。

リズムの安定性は当然のことながら、驚愕すべきはそのハイハットの切れである。

8ビートの8ビート性である、ハイハットの8分を、まさに寸分の狂いもなく、確実に、シャープに、的確に打ち込んでいるのである。

これは実は、並大抵にできることではない。

大抵のドラマーは、そこにONOFFのアクセントをつけて逃げる。つまり楽をする、手を抜く訳である。

がしかし、チャーリー・ワッツは敢えてそれを避けている。

8分を8分として、完璧にフラットな8分拍子として叩き出している。

これができたのは、あの時代のチャーリーワッツと、そしてかの日本の伝説のロックロールバンド、ザ・ルースターズのドラマー、池端潤一さん、だけであろう。

池端潤一さんのことはまた場を改めて書こうと思うが、誰がなんと言っても、かの池端さんこそは、日本、あるいは世界で有数のライブハウスドラマーであったと断言できる。

あれほどに気合の入ったドラムを叩けるドラマーは、あれほどまでに高揚を感じさせる熱いリズムを叩き出したドラマーは、この池端潤一さんと、そして、そう、チャーリー・ワッツしかいない。

そんな超絶テクニシャンであったチャーリーワッツ。

おかずにおけるスネアの切れ、そのときに、実にさりげなく見せるフラム、あるいはルーディメント。まさに完璧。まさにジャズドラマーの面目躍如。ダブルストロークはもちろんのこと、徹底的にルーディメントの修行をしたドラマーだけが叩きだせるあの微妙な裏技。つまり、チャーリー・ワッツは基礎がしっかりとしたドラマーであった訳だ。

叩けば音がでる、とばかりに思い切りぶっ叩くことしかしらないようなクズドラマーの中にあって、この基礎をマスターしているる、ということ、つまりはルーディメンントぐらいなら当然のことながら軽くクリアしている、という姿勢にチャーリー・ワッツのプライドを実に厳かな形で垣間見ることができる。

チャーリー・ワッツとはそんなドラマーであったのだ。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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