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72丁目 リバーサイド モスク

Posted by 高見鈴虫 on 28.2012 ニューヨーク徒然
アッパーウエストサイド、72丁目のリバーサイドドライブ。
公園に臨むT字路の角に、どういう訳だかイスラム教のモスクがある。

ここアッパーウエストサイドは、実は古くからユダヤ人の多く住むエリア。
よってその住人はこれでもか、というぐらいにユダヤ人ばかり。
まあユダヤ人と言っても、
黒服黒帽子にもみあげクリクリしたようなオーソドックスはまた別もので、
普通にしていたらそれがユダヤ人かどうかなどまったく判らない。
まあ判る人には判るのだろうが、だからと言ってなにを気にすることもない。

このユダや人という方々、俺の個人的見解では、
お喋り好きの、やたらと人懐っこく、おせっかいで理屈屋で、
インテリだが決まって計算高くそして小銭に汚い、
まあ、愛すべきくそったれ、という認識。

とは言いながら、
古くはヒッチコック、JDサリンジャーから始まって、
サイモンとガーファンクルから、バーンスタインから、
と、
はっきり言って、子供の頃のアイドル、
というか、
このニューヨークのユダヤ人の方々の功績は、
東洋の島国に生まれたこの俺の中で、
今も血となり肉となって確実に身体の一部となっている訳だ。

とそんな訳なので、俺的にはそんなユダヤ人の方々とともに暮らすのは、
なんの苦もない、というか、実はとても過ごしやすかったりもする訳なのだが、

がしかし、
ではなぜ、そんなユダヤ人ばかりが住むエリアのど真ん中に、
よりによって、そんなユダヤ人を毛嫌い、というよりは、
天敵と定めるイスラム教のモスクがなくてはいけないのか、

とはかねがね思っていた訳なのだが。

という訳でこの72丁目のモスク。
公園に面して実にこの辺りではピカ一の一等地に位置する。

その前を取って信号を渡るとそこはもうリバーサイドパーク。
公園の入口のエレノア・ルーズベルトの銅像を過ぎて緩やかなスロープを下ると、
すでにドッグランを暴れまわる犬達の元気な声が響いてくる。

この72丁目のドッグランに普段から朝晩通っている訳で、
まあブー君にとってはモスク、というよりはもうすでに生活の場、
であったりもする訳で、
この辺りに住む犬達のほとんど全てがこのドッグランに足繁く通っているか、
あるいは、
この72丁目のドッグランがあるからこそこのエリアに住んでいる、
という我が家のような人々も多い訳で。

という訳で、そのリバーサイドパーク、72丁目のドッグランを見下ろすモスク。

川からの風に煽られてドッグランからの匂いがここまでただよってきていて、
まあ犬を飼っているものは慣れっこなのだが、
それでもなんとなく匂うな、と気がつく以上は、そうでない人にはそれはかなり臭うのだと思う。

それに加えてどういう訳だか、
うちのブッチはお散歩の途中、ドッグランへの行き帰りに、
必ずこのモスクの前でおしっこをする。
で、ふと見ると、どういう訳だか、その前を通る殆どの犬が、
このモスクの前でふと立ち止まるや、くんくんくん、と鼻を鳴らして、
で、片足を上げておしっこ。
見る限りほとんどの犬がそれを朝晩の習慣にしている風がある。

ご存知かとは思うが、
イスラム教徒の人々は犬が嫌いだ。
たまに茶目っ気のある犬が通行人にジャレツイたりするとき、
ひっと、低く悲鳴を上げてまゆを潜めて逃げるのはつまりはイスラム教徒だからだ。

死体を食らう汚れた動物。
四足の獣。
糞を食べる不潔な生き物、
とまあ、そんなことがコーランに書いてあるのかないのかは知らないが、
まあ、通常、イスラム教とは犬を毛嫌いする訳だ。

そんな犬嫌いな方々に、犬たちの方でも懐くはずもなく、
犬は犬で、露骨に迷惑そうな顔をして道を避けるか、
さもなくば、ちょっとでも下手を打ってみろ、ただじゃおかねえぞ、
とばかりに低く唸りを上げて睨みつけていたりもする。

という訳でこの72丁目のモスク。

周り一面をユダヤ人に囲まれ、
目の前にはこれみよがしに停まったNYPDの覆面パトカー、
朝から晩まで大嫌いな犬のうんこと小便の匂いに包まれ、
今日も今日とて玄関先に染み込んだ犬のおしっこを
せっせと水で流しているわけで。

皮肉といえばこれ以上の皮肉も無いのだが、
そこはニューヨーク、どういう訳だかそれはそれでなんとなくも
妙に普通に共存してしまっている訳だ。

いやはや、ニューヨークだよな。まったく

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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