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小型犬の飼い主

Posted by 高見鈴虫 on 12.2012 犬の事情
正直言って、小型犬の飼い主と話すたびに腹が立つ。

犬を飼うにしても、小型犬の飼い主とではそのライフサイクルがまるで違うからだ。

俺にとって犬を飼うということはまさに試練の連続である。

仕事で急用、と聞いてまず考えるのは犬の事。
これからタクシーを飛ばして家について、公園にすっ飛んで行ってトイレを済ませて夕飯をやって、
一時間で足りるかな、どうやって誤魔化そう、と頭の中はそればかり。

あるいは、古い友人からメールがあって、今晩会社帰りに飯でも?ってなことになっても、
ちょっとその前に寄るところがあって、と下手な口実をつけては、
家に飛んで帰ってトイレ済ませて飯をやって・・・
で、そうだな、8時過ぎでもいいかな?
なんて、これはあまりに間が抜けている。

同じように、コンサートのタダ券が、やら、ヤンキーズのチケット、余ってるんだけど行かない?から始まって、
やれ接待だ、打ち上げだ、出張だ、とそのたびに、
えーっと、えーっと、いま何時で、速攻で家帰ってトイレして飯やって帰ってきて、うーん、
はあ、あのちょっとヤボ用を済ませてからになりますので、ちょっと遅れるかもしれませんが・・
ということになる。

というかそれが犬を飼うものの日常、であるはず。

が、しかし、
その点、小型犬の飼い主は余裕しゃくしゃく。
急のお誘いも二つ返事。
残業どころか、その後の飲み会から二次会からまで、まったくなんの気なしに付き合ってしまったりもする。

え?犬は?
なにが?
だって、トイレは?ご飯は?散歩しなくていいの?寂しがって、部屋荒らしたりとかしない?
すべての問いに、え?なんで?と不思議そうな顔で首をかしげる。

え!?じゃあもしかして、
朝6時に起きて散歩に行ったり、
寝る前にちょっとおしっこだけでも、なんて夜更けの公園に行くこともなし?
まあ、たまにはねえ、でも、あんまり、と困った風。

え、なら、
一日3時間のお散歩ノルマもなし?
散歩さぼったが最後、留守番中に運動会やられて部屋中めちゃくちゃにされたり、
知らないうちにテーブルの上のものをみんな食べられちゃったり、
挙句に食べ過ぎて、
夜中に起こされて公園の芝生に駆け込んだり、
とか、
なんにも無いわけ?

え、あんまり・・とますます困った顔。

なんだそれ!と思わず。
ねえ、小型犬って、もしかして、ぜんぜん手間がかからないの?
もしかして、放っておいてもぜんぜんOKなの?
ただ気の向いた時に、撫で撫で、なんてやっていればいい、それだけなの?
まるで、猫みたいなものなの?

まあ、たまにはお散歩もするけど、うちの子、あんまり外に出たがらないし・・

唖然である。

思わず、
それは犬とは言わない! と叫んでしまいたくなる。

散歩にも行かず、公園で一緒に遊ばず、
つまり、トレーニングもせず、
極寒の朝も、土砂降りの中も、酷暑の午後も。

やばい寝坊した!という朝。
が、しかし、とは思えども、
まさか犬を置いて行くわけにも行かず、
ふっと諦めてそのままサンダルをつっかけて公園でトイレ、
やれやれトイレには間に合った、とは思いながらも、
肩を落として会社にメール。

うーん、地下鉄が遅れた、はもうあんまりだしなあ。
またファミリーマターにするか・・それももうあんまりだな・・・

なんてことをしていると、いきなり膝に押し付けられるボール。
え~!?ボール?ボールやるの?
あのなあ・・・
おまえ、こんなことやっていたら俺、首になっちゃうよ。

が、しかし、と苦笑いしながら見つめる目と目。
うーん、と思わず・・うーん、と思わず、うーんと思わず、じゃあちょっとだけだよ。

そうだよな、お前のために働いてるんだもんな、
お前がいなくちゃ働いている意味もないもんな、と思わずため息。

なんて、そんな思いをすることもなく、ドッグラバー、を名乗るなど、断じて許されない!

改めて言う。

犬を飼うということは大変なことだ。
ほとんど不可能と思ってしまうことも度々だ。
がしかし、
その苦労もすべて、可愛い犬の為。
あるいは、
そんな苦労を乗り越えれば乗り越えるほどに、ますます可愛さが増す、というもの。

ニューヨーク、世界一の大都市のそのど真ん中で、
浮気な夜遊びも、
週末の夜の喧騒も、
パーティもイベントもコンサートも、
すべてのシティーライフに背を向けて、
たどり着いた川沿いのドッグラン。

やれやれ、金曜の夜だっていうのに、
これだけの犬ども。飼い主の気も知らないで我が物顔で走り回っていて。
がしかし、
ふと見る小型犬用のドッグラン。当然のことながら誰も居ない。

そうだよな、金曜の夜だもんな・・
今頃みんな、飲めや歌えでよろしくやっているだろうに・・
ああ、それに引換え、俺は今日も今日とて、おしっこくさい公園でボール遊びか・・

ああ、やっぱり、どうせなら、小型犬にすればよかったかな、
なんて思った途端、
いきなり後ろから背中をこれでもか、とどつかれる。
振り返ると並んだ犬犬犬。
そして足元にボールがひとつ。

どこ見てるんだよ、みんな揃ってるんだから早くボール投げてよ。

はいはい、判った判った、と投げ上げるボール。

うっしゃあ、と走りだす犬たち。
あれまあ、まったく元気の良いことで、と思った途端に壮絶な唸り声。

おい、馬鹿、おまえ、喧嘩をやめろ!たかがボールじゃないか、おい、おまえ、ほら、やめろって!

やっぱ小型犬にすればよかったかな・・

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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