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なんだかんだ言って自宅勤務で本当に良かった

Posted by 高見鈴虫 on 13.2012 とかいぐらし
サンディ騒ぎから早二週間、

その間、出張を挟んで、ずっと在宅勤務の自宅軟禁状態。

いやはや改めて、やはりオフィスというのは必要だな、
と心の底から実感。

そんな訳なので、
そろそろ自宅軟禁状態から開放されて、
明日こそはオフィスに出社してちゃんと仕事をしなくては、
と決心したその矢先、

いきなり夜中の3時に起こされた。

耳元でクンクンと鼻を鳴らされて、
はっとして飛び起きたとたん、
なんだおまえ、その情けない顔は。

普段はその出会い頭の眼力一発で大抵の犬はビビらせてしまブッチが、
なんともまあ、困り切った顔で背中を丸めて鼻を鳴らしているではないか。

やばい、と飛び起きて、そのままジャケットを羽織って走り出た夜更けの公園。
吹きすさぶ風の中、みぞれ混じりの雨に叩かれながら、思った通りお腹ピーピーである。

やれやれ、お前、何を食ったんだよ?と。

その後、6時前にももう一度起こされた末に、
ついに本日の出社も諦めることになった。

が、しかしだ、
ここに来てはたと気がついた。

こんな場合、本来であれば、
無理やり出社しても一日中眠い目をこすりながら生あくびを繰り返すところ、
あるいは、
電話口でわざとらしい咳を繰り返しながら、あの~、えっと、具合悪い、
なんて、
いずれにしろあまり気持ちの良いものではない筈。

が、しかし、そう、
今回のこの会社は、なんと在宅勤務が許されている。
まさに、
こういった時の為の在宅勤務ではないのか、と、勝手に拡大解釈。

という訳で、その後はきれいさっぱり、まあいいか、とボール遊びを初めてしまう。

それにしてもブッチ、下痢下痢で人を叩き起こした割りにはやけに元気、というか元気の固まり。

やれやれ、さっきまでのあの情けない顔はなんだったのか、
とすっかり担がれた気分、
とは言いながら、
そうこの元気さこそが安心の証。





という訳で例によって泥だらけになって帰ったのが朝7時過ぎ。
もう出社には到底間に合わない。

まあ、元気は良いから大丈夫だとは思うけど、
と言いながらゆっくりとシャワーを浴び、
念のため一日家で様子を見ておくからさ、
と言いながら、お粥にビーフジャーキをちりばめてぐつぐつ。
でも、なんか、ほら、いつにもましてすごく元気なんだよね、これが。
ほら、お粥だって一瞬のうちに平らげて。

まさに、一杯食わされた、とはこのこと。

という訳で、不本意ながらも今日も1日、自宅に軟禁の継続が決定。

朝一番からメールのチェック。
またまた夜のうちに山のようなメールが日本から届いている。

やれやれ、メンフレ班の方々、
太平洋を挟んでとんでもないお祭りを繰り広げているようで。
が、そのどれもこれも、相手のメールの言葉尻を捉えては、
ネチネチと嫌味を繰り返すか、
果てはヒステリックに騒ぎ立てているだけ。
で、その内容は、と言えば、
誰がなにを言った、誰が偉くて、誰が俺より下で上で、とか、
言ったの言わないのと、まさにおかまホステスの痴話喧嘩、そのもの・・
ニホンジン、相変わらずだなあ、朝から暗澹たる気分。

ふと顔をあげると、窓辺の向こうにはマンハッタンの朝の光景。
雨上がりの朝の遮光に浮かび上がったレンガ建てのタウンハウス。
今日も学校が休みなのか、ガキどもがスケボー片手にまたいたずらの算段か。
まあ何をしてもいいけどさ、無茶して怪我だけはするなよ、ガキども。

まったくね、この平和なマンハッタン・ウエストサイドの風景と、
この日本からのネチネチメール。
まったく、まったく、まったく、咬み合わないんだよね、本当に。

果たして、このネチネチメールを書いてきている人々、
いったいその窓辺からどんな光景を見ているのだろう、
と改めて悲しい苦笑い。

そんなこんなで不愉快なメールをすべて抹消していたら、
おっと、そう言えば、そんないじめと呪怨の国・日本からやってきたご一行。
そう言えば今日あたり、全米ドサ回りを終えてそろそろニューヨークに凱旋帰還される筈。

と予定を見てみれば、おっと、もう3日も前に到着していたようで・・・
まあしかし、あのサンディにぶち当たらなくて良かった、と一安心しながらも、
あの人達、すでに三日間、なんの連絡もよこさずに何をしていたのか。
さすがにちょっと心配になって来る。
いやあ、ニホンジン相手だとやっぱりついつい柄にもなくニホンジンしてしまって、
またむくむくと例の要らぬおせっかい魂が頭をもたげ始めるのだが、
そんなこんなで、
ちょっと探りを入れて見ようかと思っていたところ、
そんな気持ちを見透かしたように、

ポン、というメッセージ到着のチャイムとともに、ハロ~ と一言。

おっと、あの、大丈夫すっか?で、いまどちら?

と速攻で返信を返したところ、

お心遣いありがとうございます。いやあ、だんだん度胸がついちゃって!
なんとか自力でがんばります!ニューヨーク、最高ですね!

だってさ。

なんとも心強いお言葉。

そうなんだよね、この街に来るとみんななんだか元気になる。
うっし、じゃあ、まあひとまず余計なおせっかいしないで、放っておくか、と。

という訳で、さっきの中傷メールの方々、
いったいどんな環境であんな心理状態に追い込まれていくのかは知らないが、
そんな人々でも、ひとたびニューヨークに来たら、
まったく違う人間になっちゃうのになあ、と思わず。

不幸なのは自分のせいだ。
人間は自身の望んだ姿にしかなれない。
つまり、
不幸な人間は自身が不幸になりたいから不幸になっているだけの話。
つまりその不幸は自己愛の変形なのだ、

なんて言っている奴がいたが、
まあ、ね、そう、アフガンやらパレスチナは別として、
とりあえずは、この日本からの人々、

えいやあ、と1週間の休みをとって、14時間寝ているだけでたどり着くこのニューヨークという街、

誰がなにを言ったの言わないの、と屁理屈をこねくり回している間に、
ほんの一瞬だけでもこの街の空気を吸ってみて欲しいものだ。

という訳で、ひと通り朝の仕事をやっつけて10時半。

さっきまでいつになく甘えた顔で、膝に手をかけてはさかんにおねだりしてくるのは、
お粥では腹いっぱいにならずに、もっとなんかくれ、と言っているだけの話で、
ちょっと放っておくとすぐにうつらうつら。

そんな無邪気な寝顔を見ながら、あのなあ、と改めて。

まあ確かに、お前が元気でいてくれることが第一ではあるんだけどね。
と、背中などを撫でていたら、

しまった、と飛び起きた時には既に12時前、やれやれ。

とりあえず緊急の電話もメールもなく、やることは山のようにあるのだが、
なにも今日、今すぐにやるべきことでもなく。

という訳で、正午を前にそうそうに散歩用のジャンパーに着替えてドッグランに出陣。

いやはや、昨夜の雨の水たまりの残るドッグラン、
これでもかと泥だらけになって縦横無尽に走り回る犬イヌいぬ。

ピットブルからラブラドルからジャックラッセルからオーストラリアン・キャトルドッグからが、
はしゃぐだけはしゃぎ回ってはいきなり飛びかかって来て、
もう瞬く間にブルゾンもパンツも泥とおしっことうんちのかけらでもうドロドロ。

そうこうするうちに1時10分前。
追いすがる犬どもを慌てて振りきって、さあ、ブッチ帰るぞ、と逃げ出したドッグラン。

砂だらけのままコンピュータを開けて、いま昼食から戻った、サイン、ギリギリセーフ。

で、机に戻った、としながら、とりあえず、足を洗って身体を拭いて、
で、朝飯のお粥の残りにチキン味のクッキーをふりかけてはい昼食、
で、その間に俺も、風呂場に飛び込んでシャワーをかぶり、
濡れた髪をゴシゴシやりながら昼間でのメールを読み返し、
で、ついでに食パンにシーチキンを挟んだだけのツナサンドを喉につまらせて。

2時のテレカンに備えてアジェンダをチェックし、
テレカンが無事終わったあとにようやくお茶をいっぱい。

俺がキッチンに入るたびに、なにか貰えるのか、と目を輝かせてついて来るのだが、
だめだよ、お前は下痢下痢だからね、とちょっと意地悪。

というわけで、なんだかんだでもう4時近く。

また不毛な一日がこうして平和に終わろうとしている。

5時になったと同時にコンピュータの電源を切って、
また夕暮れの街に散歩に出よう。

今日はちょっと暖かいからセントラルパークにでも足を伸ばそうか。
もしかしたらまた思わぬサプライズな出会いがあるかもしれないしね。

という訳で、
なんだかんだ言って、在宅勤務で本当に良かった、と思った秋の月曜日。




プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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