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ブッチがお尋ね者のリス殺しであった頃

Posted by 高見鈴虫 on 27.2014 犬の事情   0 comments   0 trackback
チェスがリスを捕まえたってな話を聞きながら、
そう言えば、とかみさん。

うちのブッチはどうしてリスに興味を示さないのかな。。

いあやあの、と答えにつまる俺。

実は、ブッチはリスを、それもかなり前に、
つまりは、子供のころ、あのきかん坊盛りの真っ只中にあった頃に、
それこそ、何度も何度も、この公園で綱を離す度にリスを捕まえて来たのである。

ラットテリアの血が入っているんでしょ?ならリスなんてお手の物の筈だけど。。

そう、お手の物なのである。

それはもう、4年も前。つまりここアッパーウエストに越して来たばかりのころ、
早朝の公園で、そら行け、と公園で放すたびに、一目散に駆け込んで行く木立の中、
そして意気揚々とスキップしながら戻ってくるその口にはリス、あるいは、ねずみ・・・

げげげげ、と驚く俺。

んだそれは!おおおリスじゃねえか、バカ、お前、そんなもの持ってくんな!といきなりの及び腰。

ねえねえ、どうしたの?ほらほら、こんなの捕まえたよ~。褒めて褒めて、と喜び勇んで駆け戻ってくるブッチと、
まさに死に物狂いの追いかけっこ。
バカ、お前、そんなもの要らないって、早く捨てて来いって、こっち来るなってば~!

と、そんな姿を見かけた近所の犬仲間。

げげげげ、と大悲鳴。ブッチが、あの悪童のブッチが今度はねずみを捕まえた!!

という訳で、あたりにいた人々は慌てふためいて自身の犬を呼び寄せて、
さあ帰るわよ、あんなバカ犬と付き合っちゃだめよ、なにか変な病気を持ってるかもしれないからね!

という訳ですっかり鼻つまみになってしまったブッチ。

おまけに飼い主の俺からさえも疎まれ、なんでなんで?と首を傾げるばかり。

なら、しょうがない、とそのせっかくの獲物であるリス。
公園のベンチの上に置けば、いきなり気絶から目覚めたリス。
この隙に、と逃げ出したリス。まさに死に物狂いで木立の中に駆け戻っていく。

はははは、とブッチ。逃げちゃったよ。でも良いよ、あんなのすぐにでも捕まえられるから。

あのなあ、と俺。
まあ元気の良いのに越したことはないし、まさに立派なお犬様ぶりであることは認めるけど、
でも、俺の前ならいいけど、かみさんの前でだけはそれをやるなよ。
うちのかみさん、ねずみが大嫌いだからな。
これがばれたが最後、もしかしたらそのまま家を追い出されることになるかもだぞ。
そしたらお前、俺と二人してホームレスになっちまうんだからな。

という訳で、かみさんにはこのブッチの妙な癖、リスキラーのネズミ捕り野郎、という側面は秘密にして訳である。

その後、どうやらセントラルパークのアライグマに狂犬病への感染が確認されたこと。

そしてその他の動物達、つまりはリスやねずみも狂犬病の感染である可能性が出てきている、とのニュース。

おおお、やばい!

という訳で、おまえ、頼むから頼むからもうねずみとリスだけは捕まえてくれるな、と頼み込んで、
そしていま、こうして理解を得ているようなのである。

リス?リスがどうした?とブッチ君。
そんなもの捕まえてなにが面白いんだ?という怪訝な顔。

そんなブッチの周りを、いつの間にか、いかにもきかん坊そうな顔をした若いリスが、
きょとん、とした顔で取り巻いていたりするのである。

という訳でブッチ君。
かつては公園中のリスを震撼させたこの恐怖のネズミ捕りマシンが、
いまやリスとねずみにはまったく関心を示さず。
で、なにをしているか、といえば、つまりはサッカーなのである。

さあ、この1対1のディフェンス、抜いて見やがれ、とばかりに、
今日も飽きもせず、俺の足元にボールを落とす訳である。



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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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