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Kapringen / A Hijacking 邦題:シージャック を観る。

Posted by 高見鈴虫 on 25.2014 読書・映画ねた   0 comments   0 trackback
Hijacking.jpg


デンマーク船籍の貨物船がソマリの海賊にシージャックされる、という話。

物語り大筋は人質となった船員と実行部隊の海賊、つまりは「現場」
とそして、
船会社首脳部と海賊側との身代金交渉、つまりは「ネゴシエーション」の話。

双方にネゴシエーションのプロが存在し、
テレカンを通して幾らまでなら出せるか、の腹の探り合いをする訳だが、
そこにはやはり、コストの問題が主流を占め、人命とコストの鬩ぎ合いの中で、
交渉は熾烈を極め・・・

これは実に大人の映画だった。
つまり物凄く現実的な映画。
派手なバンバンも無ければ、馬鹿げたヒーローも存在しない。
そこにあるのはまさに「ビジネス」なのである。

いま勉強している資格試験の内容ともガチでマッチしていて、
いやはや実に面白かった。

このグローバル社会、
世界を巻き込むビジネス最前線の辛辣さが様々なシーンにまさに浮き彫りにされる。

現場と管理者側との隔絶、
人質と海賊側の文化の違いによるコミュニケーションの隔絶。
とそして、
ネゴシエーションを請け負ったプロ同士の金額交渉合戦。

人質は早く開放されたいがために、
海賊側に加担して親会社への身代金支払いを嘆願。
実行部隊の海賊は海賊でさっさと仕事を終えて家に帰りたい。
現場の人間は双方共にどうみてもそれほど仕事熱心には見えず、
あるいはそう、人的な資産的価値が高そうな人々とも思えない。

とそして、海賊側のネゴシエーターも、
海賊達に比べては暮らしぶりのよさそうな体系をしているが、
実は家族の命がかかり、
本社側の雇われ社長もコストとリスク、そして社会的信頼の板ばさみで青色吐息。
まさに全ての人々がそれぞれの立場で土壇場、と。

あのなあ・・まさにこれ、俺たちの日常じゃねえか、と。

がしかし、ここにおいてついつい見過ごされそうなっているのは、
このコストと天秤にかけられているものがまさに人命なのである。
銭勘定ばかりが先走っていく現代社会の中で、
果たして人命とはなんぼや、と。
長引くに連れもはや賞味期限切れを目前とした質草をどう身請けするか、
現場もネゴ側もぎりぎりの極限状態な訳であるが、
その極限状態の焦点はまさに身代金の金額・・・おいおい、と。

現実にあった話が元になっているということなのだが、
いやはや、まったくである。

ちなみに冒頭に置いて、
辣腕社長のネゴシエーション能力を示す逸話として、
日系会社との交渉シーンが挿入されている。

どうだ、俺の手にかかれば日本人なんてちょろいもんさ、
というところなのだが、
それと対比されるソマリ海賊の交渉のプロのタフさ。

そこにこのグローバル社会の競争の熾烈さが浮き彫りになる、という訳だ。

という訳で改めて思ったのは、

やるほうやられるほうに限らず損を喰らうのは現場。
がしかし、交渉側は交渉側でとてつもないストレス。
ビジネスって結局そういうものなんだよな、と。
どの立場においても楽はできないぜ、というか、なんというか・・

そして最後の最後になって勃発する指輪のくだり。

つまりそう、人の気持ちほど高価なものはないよ、ということか、
そう、人間って本当に割があわない生き物なのである。
管理部、実行部隊ともども、それを一番に考慮すべき、というオチであったかと。

とそして、そう、
このシージャック・ビジネス。
コスパとしては非常に割りがよさそうだ。
つまり、海賊でもやらねば食っていけない人々は
こぞってこの手のビジネスに知恵を絞るにちがいない。
そのルートコーズ:根本原因、
強いては世界中をこれでもかと蹂躙し続けるこの凄まじい格差社会を、
どのように是正するかを真剣に検討しない限り、
この誘拐ビジネスはますます、それこそ世界中で大盛況になりまっせ、
という警告でもある、と。

がしかし。。。
俺が個人的に感じたのは、そのうち必ずコストが勝つであろう、と。
つまり、会社側は身代金を払うぐらいならば、人質にされた社員は見殺しにする筈、
だってそのほうがコスパが良いもの、となるのではないかな、と思う訳だがどうだろう。

嘗て世界中のあちこちの現場を渡り歩いてきた経験があるのだが、
それってつまり、親会社の人間には行かせられないところに、
下請けとしてすっ飛ばされていた訳で、
つまり、親会社の社員に比べて、俺のこの人命が安値で見積もられていた、
ということなのだな、ははは、くそったれ、とは重々ご承知のうえであった。

つまりそんな俺がもし誘拐でもされようものなら、
もちろん海賊側とつるんではそんな糞親会社からどれだけ身代金ふんだくれるか、
率先して交渉した筈(笑
で、おい、俺にもマージン寄越せよな、ぐらいなことは平気で言ったと思うのだが・・

ちゅう訳で、現場に行かされる人、そして、人命を現場にすっ飛ばす立場の人、ともども、
海外を相手の仕事をする方々にはまさに必見、洒落にならない映画です。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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