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エベレスト山頂でホームレスオペラ

Posted by 高見鈴虫 on 22.2014 ニューヨーク徒然   0 comments   0 trackback
今日も今日とて、図書館でかりかりとお勉強をしていると、
かみさんからメッセージ。

今晩オペラ行くよ、な訳である。

オペラ?

どうもメトロポリタン・オペラのタダ券が当たったらしい。

のだが、開始時間が6時15分。

げえ、だったら間に合わないじゃないか。

これから家帰って、犬の散歩して、ご飯あげて、
シャワー入って髭剃って着替えて、
いや、もう完全に無理だ、とパニクっていたところ、

いいのよ、外で見るんだから、だそうなのである。

外?野外でオペラ?



確かに、ここ数日、図書館の隣接するリンカーンセンター、
メトロポリタン・オペラ・ハウスの前に、
それこそとんでもない数の椅子が並べられていることには気がついていた。
が、しかし、この失業ハイパー暮らし。
野外コンサートも糞もない、とばかりに、なんの関心も払っていなかったのだ。

そっか、メトロポリタン・オペラのオープニングなんだな。

くそお、もうそんな時期になってしまったのか、
と改めてこの予定外に長引く失業暮らしに焦りを感じたりもする。

という訳で、図書館から転がり出たリンカーンセンター。
まさに普段のホームレススタイルそのもので、
参考書からLAPTOPからが詰まった馬鹿でかいバックパックを担いでオペラの人。

それこそリンカーンセンターの広場、一杯にぎっしりと並んだ椅子、
そしてオペラハウスの正面には巨大なスクリーンと、
まるでエジプトの遺跡から運んだかのような巨大なオベリスク、
じゃなくてスピーカー。
そんな中、三々五々、プレミアのチケットを手にした人々が集まっている。

野外で観る分にはタダなんだけど、一応整理券を取らねばならず、
まあそれが当たったよ、ということだったらしいのだが、

正規のチケット保持者たちが、それこそまさにレッドカーペット、
どこぞのセレブのような見事なナイトドレスやらタキシードやらで着飾っているのに対して、
この無料の野外鑑賞組、まさにダウンのコートからフリースのパーカーから、エベレストにでも行くのか、
というぐらいのキャンパー・スタイル。

確かにこの紐育、9月の半ばと言えども夜になるとかなり冷え込む。
それも今日に限って、天気は良いのだが、突風の吹き荒れる秋晴れ日和。

そういうかみさんも、まさに真冬のドッグラン仕様のパタゴニア製のフード付きのロングコート。
で、俺はといえば、普段から冷凍庫のような図書館で、真夏からダウンジャケットを着ていた関係で、
そう、まさにそのままの図書館仕様のヒートテックとダウンジャケット。

という訳で、この野外オペラ。

サンドイッチを頬張りながらヤンヤヤンヤと拍手を送って、というまさにざっくばらんなオペラ鑑賞、ながら、
とりあえずこの寒さ、とそして吹きすさぶ突風。

会社帰りにそのままやってきた、ような連中はすでに凍死寸前でガタガタ震えながら、
畳んだ新聞紙をジャケットの下に突っ込んで、というにわかホームレスに早変わり。

まさにこれ、ホームレスオペラ、と言ったところか。

という訳で、まるでエベレスト山頂で鑑賞したような、モーツアルトの「フィガロの結婚」

なんて馬鹿馬鹿しいストーリーなんだ!

人を馬鹿にするにも程があるぞ。あのなあ、こっちはもう凍死寸前で見てるんだぞ!もっとまじめにやれ、

と思わず怒鳴りたくなるぐらいに馬鹿馬鹿しい話であった。

という訳で、いやはや。ニューヨークだ。さすがにやってくれるなあ、と言ったところであった。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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