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エリカのDESKTOP

Posted by 高見鈴虫 on 29.2014 ニューヨーク徒然   0 comments   0 trackback
エリカさんのDESKTOP
それはなんでもない海の写真。

車の窓から撮られた、ピントのぶれた曇り空の海。
なんでこんな写真をDESKTOPにしているの?
と聞いてみた。

これね、と彼女は言った。
これはね、私が始めて見た海なの。

グルジアの山育ちだった彼女が始めてみた海。
車の窓から見た曇り空の海。

その初めての海を見たとき、
彼女がなにを思ったのか。
それを忘れないため、なのだろう。

で、なにを思ったの?
と聞いたとたん、彼女の目が輝いた。

ニューヨーク、と彼女が言った。
この海がニューヨークに続いているって思ったの。
この海がある限り私はいつかニューヨークに行けるんだって。

そしていま、彼女はこうしてニューヨークにいる。

49丁目のロックフェラーセンターを見下ろす窓辺で、
日がな一日、ぱっとしない事務仕事で、伝票の整理をしながら、
そしてあの、初めて見た海の写真と共に生きている。

あの写真を見ながら彼女がなにを考えて
ここニューヨークでの日々を過ごしているのか。

ふと考えてみる。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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