Loading…

自分の幸せを自分で計れない人々 あとき

Posted by 高見鈴虫 on 29.2014 日々之戯言(ヒビノタワゴト)   0 comments   0 trackback
とそんなことを書いていたら、
ふと膝の間からブー君が顔をだした。

どうしたの?こんな時間に?

大きく口を開けて、丸まった舌を突き出して、
そして、ねえねえ、といたずら顔をしては、
片足を上げて膝を叩く。

ねえ、もう夜中だよ、早く寝ようよ。

ブー君、お前は幸せか?

ブー君は当然だよ、と答える。

だってみんな一緒にいれるんだから。

そうだね、こうして一緒にいられるだけでも幸せだよな。

それ以上を望むからややっこしくなるんだよ。
まずはみんなで一緒にいれること。
そこから考えなくちゃ駄目だよ。
それ以外のことはみんな二の次だよ。

判った判った、と頭を撫でる。

さあ、早く寝ようよ。明日もパークに連れて行って。

もう一度欠伸をしたブー君が、すたすたと寝室に歩き始める。

そうだよな、確かにその通り。

ねえ、来ないの?と暗い廊下の途中で振り返るブー君。

ああ判った、もう寝よう。夜中に物を考えるとろくなことがない。

もう4時前か。かみさんはぐっすり寝ている。

一足早くベッドに飛び乗ったブー君は、俺の寝場所に長々と横になって、
俺の枕に頭を乗せて、へっへっへ、と笑っている。

お前がそこに寝たら俺の寝るところがないじゃないか。

だからここにおいでよ、とブー君が誘う。

隣りに寝て胸を撫でて、と前足を広げて、そして鼻の頭を舐めようと首を伸ばす。

お前は本当に幸せそうだね。

そんな幸せそうな犬こそが、俺の幸せのバロメーターなんだよな。

確かにその通りかもな。

こんな幸せ者の犬と暮らすことのできる幸せを素直に噛みしめるべきなんだろうな。

金、見得、虚栄心、欲、人間社会のもろもろなこと、すべて糞くらえだ。

俺はこの犬とこうして暮らせればもうそれで十分。
それだけで幸せお腹いっぱいだ。

そしてこの犬は、俺にそれを伝えるためにやってきたのだろう。

犬の仕事は飼い主を幸せにすること。

その重大な仕事をこの犬は十分過ぎるぐらいに果たしている。

夜更けに目が覚めた時、犬の寝顔を見つめながら、犬の偉大さについて考える。

これが癒される、ということなのだろうか。
生きていて良かったな、と思う。
そして、この暮らしを手放したくない、とつくづく思う。

明日もがんばろう。こいつとの幸せのために、だ。


  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://shumatsuwotohnisugit.blog.fc2.com/tb.php/2289-89a37868

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

月別アーカイブ

検索フォーム