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紐育ネズミ騒動、再び。

Posted by 高見鈴虫 on 09.2014 ニューヨーク徒然   0 comments   0 trackback
んだよ、おい、部屋の中がハッカ臭くて息ができねえよ。

あ?ハッパじゃねえよ、ハッカだよ、ハッカ。

なんでかって、ペパーミント・オイルを撒いたからだよ。

なんでそんなもの撒いたかって、そりゃねずみが出たからだよ。

ネズミだよネズミ。チューチュー言うネズミ。

貧乏アパートじゃねえって。家賃3000ドルだぞ、3000ドル。
そんなアパートにもネズミが出るってのが紐育の凄さだよ、おい。
実はこないだまたかみさんがいきなり怒りはじめてよ。
また床に靴下脱いでやら、ソファでチップス食うなやら、言い始めて、
で、なんだろうと思ってよくよく探りを入れてみたら、なんか夜にネズミが出たらしくてよ。

あ?知らねえよ。俺もそう思ってよ、
なんでグチグチ言う前に、単刀直入に、ネズミが出ました、と言えねえんだよって言ったんだが、
まあそういう人なんだよ。遠回しに遠回しにグチグチ言ってくんだよ。

で、おお、ネズミか、と思ってよ。
こう見えても俺はネズ公に関しちゃあちょっとしたオーソリティでよ。
でまあ、うっしゃ、そのネズミ、俺が始末してやらあ、とやり始めたんだがよ。

おお、そうそう、犬な。犬。
その犬がよ、そういう時に頼りの犬が、これがまったく無関心なんだよ。

まあ確かに不機嫌そうな顔してるんだがよ、多分、何度か捕まえようとしてみて、しくじったんだろうな。

そう、で、まあ、そのネズミとやらの面、本当かどうかこの目で拝んでやろうとな、
夜な夜な、夜中に起きだして、で、発見場所たるリビングのテレビの横ってところを見張ってたんだがよ、
出たんだよ、出た。ネズミ。黒くてちっちゃいの。

いきなりちょこちょこ出てきて、それが壁ぞいにささーっとな。出たんだよ。
で、そのとき、犬も隣りにいたんだが、おおお、ネズミだ、ネズミだってやってる俺の横で、
ちとーっと俺の面見ながら、屁つまらねえ、って顔してそのまま居眠り初めやがって。

そっか、たぶん、もう慣れっこになってたんだよな、こいつは。

でまあこの目障りなネズミ。

ネズミってのはよ、まあ巣があるんだよ。
で、その巣ってから出張って来て、で、食うだけ食ったらまたその巣に引き上げる訳だ。
で、問題はその巣、そこからの侵入ルートなんだよ。

でネズミってのはよ、その巣から食い物のありかまでの道のりを、ちゃんと跡を残していく訳だ。
で、その跡ってのが、つまりは、そう、ウンコとそして小便。
そのチビチビしたゴマ粒の半分ぐらいの黒い奴を、その侵入ルート沿いに、
ポロポロと落としていく。
で、次に来た時、あるいは後から来た連中は、そのウンコとおしっこの跡を頼りに、
次から次へと侵入を試みる訳だ。

ちゅう訳でやったよ、大掃除。

家中ひっくり返してさ、雑巾がけだよ。したところが、
どういう訳が見当たらねえんだよ、その穴がよ。

で、まあしかし、これで大掃除も済んだし、一件落着か、と思ったら、
なんと次の日、やっぱり臭い訳だよ。なにってそのネズミの匂い。
つまりは、おしっことウンコの匂い。
匂い?するする。すっげえするよ。ネズミの匂い。
ほら、俺の嗅覚は犬並みだからよ。

どこに行っても、外見はどんなに綺麗に取り繕っても、
ネズミの匂い、だけは俺は間違わねえ自信がある。

が、そう、自分の部屋の匂いって自分自身の体臭やら口臭やらとおんなじで、
割りと判らなかったりする訳でよ。

ほら風呂入ったあとに、脱いだ服をまた着ると、
んだこれ、ちょっと臭えぞ、と思うだろ。あれだよあれ。

で、部屋大掃除して、ああ、綺麗になった、と思った途端に、
むむむ、またなんかネズミ臭えぞ、ってことになった訳で、
これはこれは、ちょっとまじめにやらねえとな、と思ってはいた。

が、そう、プロの駆除屋に頼むと、ヘタすると部屋中に薬撒いたり、毒団子置いたりとかするだろ。
犬がそれ食ったらとんでもねえことになるんで、そうそうと他人の世話にもなれねえ事情があってよ。

そう、なににつけても犬優先だからな、うちは。

とそんな訳でよ、またいつものドッグランで会う連中に、
いやはや、ネズミが出やがってよ、って言ったら、
ああ、それはヒーターだろって言いやがる。

ヒーターってのは何かって言うと、つまりは紐育のアパートの暖房システムなんだが、
古い紐育のアパート、これが各部屋の壁のところに、でけえラジエーターのおばけ、
みたいなのがあってさ、冬になるとそこにお湯が流れて部屋が暖かくなる、
っていう感じなんだが、そのラジエーターみたいなヒーター。
これが設置された、つまり、お湯の通る配管、これをネズミが伝ってくる、って話なんだな、これが。

で、ほら、うちのアパートとか築百何十年、なんて代物なからよ、
まあ、天井高いし、間取りも広いしで、俺はずっとこのプレウォーっていう、
戦前建てられたアパートがお気に入りなんだが、
そう、その古いアパート、広いのはいいんだがやっぱり色々あって、
その一つがまあいわゆるこのネズミな訳だ。

で、そう、そのラジエーターのお化けみたいなヒーター。
うちはまあ言ってみれば高級アパートなんで、その目障りなラジエーターの上から、
白い鉄製のカバーが置かれていたんだが、どうもそのカバーの裏側がネズ公の溜まり場、
になっているってな話。

で、そう、その侵入経路を塞ぐ、で、その周りに、そう、このペパーミント・オイル、
つまりはハッカの油を撒いておくとネズミが寄り付かなくなるってのが、
古くからのユダヤ人の知恵らしんだな、これが。

そう、そう言えば、ユダヤ人の家に行く度に、
酢漬けきゅうり、つまりは、ピクルスやらの匂いに混じって、
よくこのハッカの匂いがするな、とは思っていたんだが、
そう、つまりはそういうことだった訳だ。

で、さっそくペパミント・オイルをアマゾンで購入。
したら2日で届いてよ。
で、大掃除をやり直し。

で、そう、前回にノータッチだったそのヒーターの付近。
その鉄製のカバーってのがまた年代物で鬼のように重くてよ、
それを、一人で、よいしょーっとやった訳だが、
そう、それを開けた途端に、むおーっとネズミの匂い。

まるでゴマの袋をぶち撒いたみたいな、大きいの小さいの、
まるでゴマだらけな訳だ。
おいおいおい、と。

普段上辺だけは優雅に暮らしているこの家賃三千ドルの高級アパートの、
そのリビングルームの戸棚の下がネズミの巣窟ってやつでよ。
いやはや、さすが紐育。奥が深えよなあ、と。

で、そのゴマ粒を綺麗に掃除して、で、その上からこれでもか、とペパミント・オイルをぶち撒いて、
で、トドメ、とばかりに、例のでかい洗濯バサミみたいなネズミ捕り、
あるいは、ゴキブリホイホイの巨大な奴、つまりスティック・シート、ネバネバ板ってのかな、
をばらまこうか、と思ったら、
そう、21世紀はそんな野蛮なものは使わない。
つまりは、そう、ペット・セイフのネズミ避け超音波発生器、ってを借りてきて、
で、それをしめしめと設置した訳だ。

とまあそんな具合でようやく目障りなネズ公の面は拝まなくて良くなった訳なんだが、
そう、このペパミント・オイル。この匂い、まさに強烈と言うか、もうハッカ臭くて頭クラクラで息もできねえ、
ってのはつまりはそういう事情があったわけだ。

で今更ながら、かばんから本からCDからDVDから、
そのヒーターの近辺にあったものってのが、ひとつ残らずとんでもなくネズミ臭い。
つまりそう、俺はこれまで自分でも気づかずに、
全身からプンプンとネズミの匂いをかぐワせてた訳なんだな、と。

いやはやであった。

という訳でこのハッカの匂い。
犬も迷惑そうなんだが、まあネズミよりはまし、とあきらめているようで、
我が家は三人揃って、身体中からペパミントの匂いムンムンなのであつた。

とまあ、そんな感じ。
相変わらずと言ったら相変わらずの紐育って奴だよ。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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