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エンジニア極道のなれの果て

Posted by 高見鈴虫 on 03.2015 技術系   0 comments   0 trackback
判ってんよ。
焼きの回ったエンジニア極道のなれの果てってんだろ?
確かに俺らの世界でピーちゃんを良く思うやつなんざいねえよな。

何もしらねえくせしやがって、
公家みてえな気持ち悪い面しながらヒラヒラしていやがったあのバカどものこと。
親方ってよりは奴隷商人のような目で勝手に俺らを査定しては、
余計なちくりを入れて邪魔ばかりしやがるあのアホども。

俺達はピーをずっとそう思っていた。
今でも思っている。
思っているからこそピーちゃんになったとも言えるんだがよ。


確かにあの頃の俺達、NPだIEだの資格の階段駆け上っては、
スペシャリストの看板背負って生きるってのが、
一種最高の美学であることも知っている。
素人には誰にもタッチさせない聖域の中で鎮座ましましては、
激務薄給をものともせず、ましてやそれを勲章としながら
無冠の帝王を気取る職人気質の美学。
まさに、ブルースハープ世界一、やら、世界一の寿司屋とか、
まあそんな感じだろが。
俺らがあれほどまでに泥噛んでは、
身体から人格から家族からをすべてぶっ壊してまで進み続けたあの禅修行の道。
あれが間違いだったという気はないが、
見てみろ、今じゃ、NPどころかIEとったからっていってあの頃の半分の給料も稼げない。
つまりもう、時代は職人を必要としていない、
あるいは、職人が増えすぎて飽和状態って奴なんだろう。
こんなこといくらやってもまともな給料はもらえるようにはならない、と判っていながら、
敢えてイバラの道を進み続ける気があるのか?ってことなんだが、
俺は馬鹿馬鹿しくなった。
元々学者気質でも工学系でもましてや理系でさえなく、
ただただちゃらちゃらしたサラリーマンが気に入らねえ、ってだけの理由で、
愛想笑い浮かべなくとも銭が稼げる職人の道を選んだだけの話。
が、そこに待っていたのはあの怒涛のような禅寺だった訳だが、
それにしたって、
餓鬼の頃から日陰者風情の染み付いた俺。
昼の仕事よりは夜の街の水商売の方がしっくり来るわけで、
ましてやその後のバンドマン時代には、
まさに昼も夜もスタジオに篭もりきっていた。
そんな俺にとっては、昼も夜も無くテストベンチにかかりきり、
なんていう技術屋極道の風情は、あの時代の延長だったってだけの話。
という訳で、惰性でやるには無理が無かったって訳でさ。

つまり俺は根っからの極道気質で、
道を極める、その為には世の中の常識はすべて左前、ってのが柄にあう。

あるいは、素行不良にガタガタとくだらねえ文句を言われることがない、
どんな格好をしてようが、音楽を聴きながらでも、机に足を乗っけたままでも、
取り敢えず、やることができる、つまり、作ることが、あるいは、治すことができる、
その能力だけが問われる、まさに極道職人の王道。
端からカタギの暮らしに反りの合わなかった俺としては、
そんなシンプルな実力主義が実に心地よかったってだけの話なんだがな。

という訳であの頃の俺達。
誰よりも暴虐武人でありながら、どんな野郎にも負けない技術力を売りにした技術屋集団であった訳だが、
おたおたパニクる客に、るせえ、とーしろはすっこんでろ、と怒鳴りつけて、
ほらよ、なおったぜ、銭寄越しな、と顎をしゃくる、なんてのもお手の物。
が、そんな俺達がいざちょっと有名になったりして、で、こともあろうにカタギの会社に身受けされる、
なんて話が舞い上がった時、
おお、ケツ持ちがついた、給料が上がるぜ、なんて喜んでいたのもつかの間、
いつの間にか俺達の周りには、あのヒラヒラした愛想笑いのどうしようもないヘタレのパシリの半端野郎、ばかり。
で、いつの間にかそんな奴らが、俺達の査定してはチクリを入れて、
なんのかんのと要らねえ旗を降り始め、
あるいは、試験勉強ばかりしていて現場ではからっきし使えねえ奴らが、
プレゼン王なんてキャッチフレーズで薀蓄を並べ始めて有名人。
敢えてエンジニア極道を目指していた俺達に取って、この変貌はあまりにも馬鹿馬鹿しすぎ、
そしていつしか、俺達の実入りは、インドやら中国やらに食われまくって急降下ってな訳でさ。

ちゅう訳でそう、
ヘラヘラ出来るやつはSEやらSSやらに落ちぶれてそれでもちょっとした金を稼ぎ初め、
あるいは、もう何があってもこのままエンジニアしか潰しが効かねえって奴らは、
窓際からさえも追いやられていつしか機材倉庫の端っこに作られた簡易机で蝿の王を気取るしか方法がなかった。
で、そのどれも出来なかった奴はまさに姥捨て山。出向アドミンとして客先にすっ飛ばされた訳で、
まあそれでも潰しがあっただけでも良いじゃねえか、と生欠伸を繰り返す日々。

あの夜中の電話に叩き起こされて深夜の街を滑走し、
広域障害でアラームの上がりまくってまさに騒然としたデータセンター、
救いの神として登場するあの火消し屋職人たち。
超絶技術屋集団であった俺達も、そんなドラマからは完全に遠ざかり、
あるいは、そんな技術屋集団も、今となっては、電気屋さん、あるいは、地下室のボイラー室のせむし男、
ぐらいの立場でしかあり得ないって訳でさ。

という訳で、あの技術屋極道たちの禅寺が取り潰されてから、
まさに、チベット難民のように世界を彷徨いを続ける俺達であった訳だが、
その落ち着き先のひとつに、究極の裏切り、
つまりは、俺達を叩き売った詐欺師達の、その元締め役の資格を取って、
あのヒラヒラ野郎たちに倍返しにしてやる、ってのも洒落がきいているかな、
と思ったわけなんだがよ。

そしてそんな資格を取った今、正直、俺は、虚しい、と思っている。
ましてや、ピーとしての仕事を始めたらなおさらだろう。

空調の嵐の吹き荒れる鯖室で脂汗を滲ませる技術屋の奴らを横目に見ながら、
いたいけな素人さんたちを引き連れて、まるで添乗員のように嘘八百を並べてたてては、
このアホどもをどうやって煙に巻いてやろうと企むあのろくでなしども。
そんな役回りをしながら、こんな仕事、バカバカしい、と鼻で笑っている俺の姿がまさに目に浮かぶようだ。

という訳で、どうせここまで落ちぶれた俺だ。
騙しが仕事なんなら、ITなんてチンケに囚われず、それこそまさにまるっきりの騙し、
つまりは端から詐欺を前提としたビジネスプロパー、みたいなことをやった方が面白いんじゃねえか、
なんて不埒なことをさえ考えている訳で、なんだよ、それって思いっきり先祖返り。
つまりは、技術屋のバンドマンのその前、つまりは土曜の夜の天使たちの世界に舞い戻ってしまうってだけの話、
ってことはなに?あの解散式の後の俺ってただただ道に迷っていただけの話って訳なのか?
と一人笑っている訳だ。

あるいは・・この勉強癖の失せない内に、NAから始めてIEまで、
まさに、損を損としってのあの頃の見果てぬ夢、
つまりは、資格極道の道をもう一度よじ登り始めるってのも馬鹿馬鹿しすぎて面白いかもな、
とも思っている。

俺って男はつくづく食えねえ奴、なわけだが、
そう、そんな俺の唯一の拠り所ってのはだ、

カタギにはなりたくねえ、とまあそれだけの話でよ。

そう、それだけの話なんだよ、結局はさ。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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