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失業ハイパー ~ ホームレス風情

Posted by 高見鈴虫 on 20.2014 とかいぐらし   0 comments   0 trackback
いつの頃から髭を生やし始めた。

9月の半ばを過ぎた頃か。

そう、USOPENが終わった頃だったと思うのだが、記憶にない。

いつの間にか髭が生えていた、という訳でもなく、
ましてや、生やそうと思って生やしている訳でもない。
正直、それどころではなかった、
つまり、生やしたというよりは、剃るのをやめただけの話なのだがな。



でこの生えてきた髭。

いきなり白髪で真っ白、なのである。
お陰様で髪の毛はちょっと薄くなってきた、とはいうものの、
その色だけは真っ黒なまま、であるのだが、どういう訳かこの髭だけが真っ白。

という訳で、髭を生やし始めた途端、いきなり老人に早変わりな訳である。

これまで、短躯痩身の東洋人ということもあり、そしてこの童顔、
ここアメリカではついつい若く見られることが多く、
この歳になっていまだに子供と間違えられることも多かった訳だが、
果たしてこの白髪髭を伸ばし始めた途端、いきなり老人に早変わり。
まさにハロウィンの変装ではないが、この子供から老人への変化、
ちょっと笑えるぐらいに色々とある。

どういう訳か、白髪髭になってから道を譲られる機会が増えた。
そして、地下鉄やらバスに乗っていてもすんなりと座ることができる。
つまり、老人扱いなのだろう。

と同時に、周囲の女性達からの視線(!)が掻き消えた。

これまで、それほどまでにバチバチのスティングを送られていた覚えもない訳だが、
そう、この白髪髭をはやし始めてからというもの、老若を問わず女性の視線という視線が、
まさに素通り。

そっか、女性に取って老人ってのはもう既にこの世に存在しないも同じ存在なのだな、
と改めて思い知った訳である。

がそう、この老人ならぬ、浪人中の身である。
まさか女の視線など気にしている暇など無いわけで、

つまりはこの老人髭。
それによって得られた平穏なるしかと、がちょっと小気味も良かった訳で、
端からこの世にいない存在として、心置きなく勉強に集中することができる、
と実はちょっと気に入ってさえいた。

が、と同時にちょっと困った問題も起きてきた。

冬に向けて寒さが厳しさを増すと同時に、必然的に厚着となっていく訳だが、
この白髪髭に着重ねのオーバー、ふと鏡を見れば、
おっと、そこにはまさに、絵に描いたようなホームレスの姿がある訳だ。

この老人風白髪髭、それにフードなんて被った日には、
まさに、ホームレスそのもの。
どのホームレスよりもホームレスらしい立派すぎるほどのホームレスぶり、な訳であって、
案の定、図書館においてそんなホームレス姿の俺の周りからいつの間にか人が遠のくようになり、
おっと、陣地が増えた、と喜んだのもつかの間、
そんな俺の周りに、いつの間にか、まるで誘われでもしたかのように、
本ちゃんホームレスの方々が集まってきていたりもする訳である。

類は友を呼ぶ、という奴か、と苦笑いしながら、
そう、失業浪人中の俺、まさに、このホームレスの人々とカミヒトエ、な訳で、
この状況、あまり笑っていられる状況ではない。
まさに、洒落にならねえなあ、なのである。

と同時に、
くそったれ、ここまで来たら、まさにホームレス街道突っ走ってやろうじゃねえか、と悪乗りまでして、
いつの間にか図書館に出掛けるその格好も、まさに犬の散歩そのまま。
ドッグランの芳香をそのまま図書館に持ち込むことになる訳で、
いやはやこのホームレスぶり。
下手をすればホームレスからも避けられるほどのホームレス風情。

いまや、世間の誰一人からも相手にされない、して欲しくもないぜ、の存在なのである。

がしかし、俺は敢えてこのホームレスのコスチュームを辞めるつもりはない。

そう、試験に受かるまでは、この髭は剃らない。

己にホームレス同然の身分であることを自覚させることにより、
世間から隔絶し、自身を勉強の檻の中に封じ込めるのである。

とまあ、たかが髭ぐらいで気張ってはみたものの、
この髭、まじで痒い!

そう、髭って痒いんだよね。特にアトピー持ちの俺。
思わず掻きむしりたくなるぐらいに痒くなったりして、
参考書をめくりながら思わずバリバリ掻きむしっていたりすると、
ふと見れば、隣の女性が、眉を潜めながらそそくさと別の席に移っていったりする訳で・・

へん、クソッタレ、どこにでも行きやがれ、と悪態をついてしまう、なんてことになると、
まさに、自分でもあっぱれなぐらいのホームレスぶりな訳であるが、
それってやはり、かなり寂しかったりもする今日このごろ。

という訳で、くっそ、この髭早く剃りたい、と思えば思うほどに、
そうだ、その為には勉強だ、試験に受かることだ、と思いをあらたにする訳である。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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