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大雪のニューヨーク 犬の散歩は苦行続き

Posted by 高見鈴虫 on 29.2015 犬の事情   0 comments   0 trackback
大雪騒動から三日。

ニューヨークは既に平常を取り戻し、
犬の散歩に向かう公園もその遊歩道からは、積もった雪もすっかりと除雪済み。
がしかし、そうこのすっかりと除雪された遊歩道、
この剥き出しのアスファルトが実は雪の中での最大の鬼門であるわけだ。



ニューヨーク市の除雪。
舗道に滑り止めに撒かれる塩が、実は犬にとっての大敵。

人間と違って靴を履かない犬。
この剥き出しのPAWに、撒かれた除雪用の塩が焼きついてしまう、との話。

特に青い色のつけられた強烈な除雪剤。
これの上を歩くのはまさに硫酸の川を渡るがごとく、となるわけで、
いやはや、余計なことをしてくれるものだ。

まあ確かに、犬の散歩の途中に足を滑らせて骨折、なんて話もよく聞くので、
滑らないようにしてくれるに越したことはないのだが、
それにしてもこの除雪剤の塩。

そんな塩にやられては、あっ痛ててて、とびっこを引く犬を見るたびに、やれやれ、と思わず頭を抱えてしまいたくなる。

という訳で、せっかくの除雪舗道、それを避けながらわざわざ雪の中をえっちらおっちら歩くことになるわけで、
足腰の鍛錬、を通り越してこれはまさに苦行以外のなにものでもない。

いつもの夕方のお散歩ルートのリバーサイド・パーク、
72丁目のエレノア・ルーズベルトの入り口から坂道を下って川沿いの遊歩道から、
ボート・ベイジンを通り、トンネルを抜けて87丁目のドッグランを通り過ぎ、
そして90丁目の戦没者記念碑の公園まで、
普段であれば途中のボール投げも含めて軽く一時間のルートが、
雪の中をざくざくと足を縺れさせながらせがまれてはボール投げ、とやっているうちに既に2時間。
すっかり日が暮れてしまった。

という訳で、72丁目についた時にはすでに足が棒。
ようやくたどり着いたと思った矢先、見れば舗道一面にまた除雪塩が真っ白になるぐらいにばら撒かれていて。

思わず見つめる犬。
おまえ・・我慢してくれる?と聞けば、
わざとらしくも、いててて、と片足を持ち上げては哀願の目つき。

えええ、またあああ、と思わずその場にひれ伏してしまいたくもなるのだが、
やはり可愛い犬に辛い思いをさせるわけにはいかず、
ああ、もう仕方がない、とそんな犬をよいしょ、と抱え上げることになるわけで、
この犬、最近またちょっと太っていまや体重が40LB。
それを抱えながらよいしょよいしょと夕暮れの帰宅途中の人の波。

犬を飼わない人からは、いったいどうしちゃったの?この犬病気なの?
と話しかけられる訳だが、いや、実はこの滑り止めの塩がね、とやっているそんな俺の隣に、
まさに、がま口のようなあごをした猛犬ピットブル、
あるいは、裕に子牛ほどもありそうな巨大なゴルディが、
やはり飼い主に抱えられて信号を待ってたりするわけで。

お前の犬、何パウンド?
うちの犬・・たしか、70LB。
いいなあ、うちの犬は90LBだ、やれやれ。

とやっている飼い主の苦労も尻目に、
抱え上げられた犬たちは、赤い舌をへっへっへ、と躍らせながら、
へへへ、らくちんらくち~ん、とご満悦であったりもするわけで。

という訳で、いまにも腰が膝が、砕けそうになりながらたどり着いたアパート。
がしかし、この雪の試練はそれだけでは終わらない。

家に着いた後に待ち構えている最大の難関。
つまりはPAWについた塩をきれいに洗い流さなければいけない。

これまでの数年間、冬が来るたびに、あるいは、そう、雪が降るたびにひどい下痢をしてきた我が駄犬。
そのたびに、やれ下痢止めだ、点滴だ、血液検査だ、と大騒ぎしてきたのだが、
他の犬仲間によくよく聞いてみれば、あれまあそれってつまりは塩よ、と。

つまりこの除雪用の塩。これを良く洗い流さないと、塩が残ってひりひりと痛むPAWを舐め続けた結果、
まさに塩分取りすぎが原因で酷い下痢になってしまう、という仕組み。

そっか、あの下痢はつまりは除雪用の塩だったわけか、という訳で、
散歩のたびに風呂に入れては、石鹸、それも舐めても毒がない、100%ナチュラルのオリーブ石鹸、
それで四つの足をごしごしと洗わねばならない訳で、これがこれがいやはやなかなかの重労働。

と言うのも、我が家の犬。
なにが苦手といってまさしくお風呂。

家に着いたとたんに、気配を察しては、そろーりそろーりと逃げ始めるわけで、
ふっと気づけばすでにクレートの中に隠れている。

それ、おい、おいで、こっちこい、おい早く、と引っ張り出す訳だが、
いやだいやだ、と逃げ回っては大騒ぎ。
なんとか犬を捕まえて風呂場に引きずっていくのだが、
ぬるま湯を張ったバスタブを前にして、いやだいやだ、と両足を踏ん張るわけで、
そんな暴れる犬を、よいしょ~と抱え上げて、とやりながら、
おいおい、こんなことをやってるとそのうちマジでぎっくり腰。

おまえ、いい加減にしろよ、とぶち切れてしぶしぶと湯船の中。

ほら、はい、そっちの足出して、だから逃げるなって、と、
そんな大騒ぎが一日のうちに3回4回、
つくづく疲れ果ててしまう訳なのだが・・・

まあねえ、しかし、あの雪の平原をこれでもかと跳ね回る犬の姿。
あの溌剌とした姿を見ていると、やはり雪の散歩には行かないわけにはいかない訳で。

まったくもってなにかと苦労の耐えないニューヨーク。
ああ、真夏のリオが俺を呼ぶ・・






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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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