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雪の沼と化したニューヨークお散歩地獄

Posted by 高見鈴虫 on 02.2015 ニューヨーク徒然   0 comments   0 trackback
スーパーボウルの終わった翌朝の月曜日。
燃え尽き感甚だしいニューヨークは、
よりによって朝から氷雨の嵐。

先週降った大雪が踏みしだかれて凍りつき、
その上から新たに降り積もった雪。
加えて今日はその上から氷雨が降り注いでいる訳で、
溶けかかった雪が崩れてはずぼずぼ、、
街中が壮大な雪の沼と化している。





交差点ごとに泥濘のような雪水の溜まりが広がり、
足を突っ込んでは動くに動けず、
そのたびに靴の中に注ぎ込んでくる雪水。
それを避けようと無謀なジャンプを試みては足を滑らし、
それにぶつかられた人々があわや将棋倒し、
と交差点ごとに展開されるこの修羅さえも、
言ってみれば冬のニューヨークの風物詩。

朝から降り注いでいた氷雨の合間を縫って、
しかたがないか、と、しぶしぶと犬の散歩に出かけた訳だが、
よりによってこんな時に限って郵便局に行く用事などもあって、
普段のお散歩ルートからの変更を試みた訳だが、
吹きすさぶ風に煽られては氷雨の粒に叩かれ、
スケートリンクのようにつるつると滑りまくる舗道の上から、
これでもか、とばかりに大量の塩がぶち撒かれている訳で、
犬にとってはまさに死ぬ苦しみ。まさにこれ、お散歩地獄という奴か。

でそんな最悪の月曜日だというのに、
なにが悲しくてどこに出かける用事があるのか、
ペンギンの行進のようによたよたと駅へ急ぐ出勤途中の人々の間を、
子供の手を引いたお母さん。
あるいは両手に巨大な買い物袋を両手にぶら下げたおばはんと、
そしてそこら中で突如の急停止を繰り返してはいちいちおしっこを引っ掛けて歩く犬ども。

おいそこどけ、と巨大な荷物を担いだドカタのおっさんたちの怒声と、
飛沫を跳ね上げて走り回るタクシー。
道の真ん中で雪溜まりに嵌って動けなくなった婆さんに、
これでもかとヒステリックなクラクションを浴びせかけては、
うるさいわねえ、くそったれ、と両手を振り回しながら怒鳴り返し、
とたんに足を滑らせてもんどり打つ。
普段は形ばかりでも女性と老人には優しいニューヨーカーも、
この日ばかりは人の世話など焼いている余裕もなく、
ともすると、自身が手を引く子供でさえ、
助けようとすれば共倒れになるのは必至、と、
誰もが必死の形相で雪の泥濘でのたうつ訳で、
そういう俺も、普段なら片時も眼を離さない我が犬、
がしかし、この非常時の中にあってはもう犬は犬で勝手にやってもらうしかない。
お前も自分でがんばれ、人を頼るな、なにがあっても知らないからな。
これ、まさに親知らず子知らず。
そんな修羅場がそこら中で展開される月曜の朝、
心底うんざりである。

とそんな中、こともあろうに笑っている奴がいる。

つまりはそう、憎きペイトリオッツ・ファンである。

昨日のスーパーボウル。
言うに及ばず全米中が大騒ぎのこの世紀の祭典において、
終了間際の2分で、史上類を見ない超絶的ファインプレイに助けられたシーホークス、
最早完全に勝利を手中に収めたかに見えたかに見えたその時に起こった悪夢のインターセプション。
げえええええ、なんでえええええ、とまさに全米中が真っ白。
ありえねえええええ、んだいまのわわわわわっ!!!
悔し涙を溜めて唇を噛んでいたトム・ブレイディ。
ニューヨーク・ジェッツの天敵であるこの男が、
いきなり転がり込んできた奇跡の棚ボタ勝利に、わーいわーいと猿のように喜ぶ様、
くそったれええええ、と全ニューヨーカーの怒声が響き渡ったあの瞬間。

そしてこの、考えうる限り最悪の月曜日。
ニューヨーク中が不機嫌の極みにのたうつこの雪の泥濘、
頭から氷雨に叩かれる人々を、
はっはっはっはっは、不幸なニューヨーカー、かわいそ~、
僕はそんなあたなたちを見るのがとっても楽しくて楽しくて~、
とサディスティックな笑顔を振りまいてやがるのだが、
この野郎、死んでまえ、と毒づきながらも、
こう足元が滑ってはなにをするわけにもいかず、
ポケットの中で凍えた中指を突き立てるぐらいが関の山。

という訳で、あらためて、ラッセル・ウィルソン、なにがあったんだ、と。
この糞忌々しい冬の雨も、雪に滑って隣の婆さんを突き飛ばしたのも、
塩ひりひりでうちの犬が悲鳴を上げるのも、
すべてお前のせいだぞ、と。

金賭けてなくて本当に良かった、と思っている訳である。







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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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