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なんとなく髭を剃ってみた

Posted by 高見鈴虫 on 03.2015 とかいぐらし   0 comments   0 trackback


実はちょっと髭を剃ってみた。

浪人時代から半年近くに渡って蓄えてきたこの白髪髭。
がしかし、その痒さと言ったら溜まらないものがあって、
そしてなによりこの顔の下半分に常時わさわさする違和感。
あるいは三日も手入れを怠れば途端に唇をちくちく刺し始める訳で、
正直なところ、いったいどこの馬鹿がこんな面倒なものをわざわざ生やしていやがるんだ、
とは常々思っていた。



という訳で、犬の散歩から帰った一月最後の夜。
できるだけさりげなく、なんの気もなく、
そう、たかが髭ではないか、という具合に、
PCのモニターでニュース解説などを読みながら、
電気かみそりでバリバリ。

という訳で、なんの気もなしにこの半年間蓄えた白髪髭が、
いきなり消えうせてしまった訳で、
そう言えば、アフターシェイブのローションを塗らないとひりひりして大変だったっけな、
と洗面台にそれを取りにいった際、ふと鏡に映る俺。

おっと!と思わず自身でもぎょっとするぐらいに、まさにそこには別人の顔。

予想通り赤くひりひりと腫れ始めた髭剃り後。
慌ててローションを塗りこみながら、
そうなんだよ、これが嫌で髭を剃らなくなってそのままになったという事情があった訳なんだよな、実に実に。

とそんなときに、ねえ、なにやってんの?と足元にやってきた犬。

ほら、どうだ、髭剃っちゃった、と見せるのだが、
ん?どうかした?と怪訝な表情。
ほら、だから、髭剃ったんだよ、どうだ?
とごりを押しても、ふん、とつまらなそうに後ろを向いてベッドの上にひょい。

で、ベッドで本を読んでいたかみさん。

ほら、どうだ、髭剃っちゃった、と見せれば、

一瞬、本から顔を上げて、あ、そうなんだ、と一言。

そして再び手元の本に目を移す。

なんだよ、そんなもんかよ、と改めて肩透かし。

なにが?とかみさん。

だって、ほら、髭剃ってさ、すごい違いじゃないか。

そう?とかみさん。だっていままでずっとそうだったじゃない。

だから、この半年近くの髭からおさらば、なんかすげえさっぱりした。

だったらすぐに剃ればよかったのに、と言われればその通り。

俺はいったいなぜ髭に拘っていたのだろう。
あの白髪髭は、俺の中のいったいなにを象徴していたのだろうか。

という訳であらためて鏡を見てみる。

確かにつるんとした顔である。

そしてこの童顔である。

まさに、ティーンエイジャーとは言わないまでも、20代後半で十分誤魔化せる気がする。

なんか若返ったよな。

そう?とかみさん。相変わらず気のない返事である。

だからそもそもいままでどうして髭なんか生やしてたのかってことなんじゃない?

そう、確かにな、俺もいまそれを考えていたところ。

やっぱ髭ないほうがいいかな?

さあ、自分の好きにすれば。

そう、そんなもんか。

という訳で改めて寝室を出てモニターの前に。

早くもスリープモードで黒く明りの落ちたモニターに、15分前とは別人の俺が映っている。

確かに若返ったな。そして、もう後戻りはできない。つまり、もう言い訳も逃げ隠れもできないってことか。

言い訳?逃げ隠れ?と改めて自分に問いかける。

改めてあの髭はなにを象徴していたのかな、な訳である。

まあいい、とりあえずこれでまた新しい自分が始まる。
もうそろそろ本気ださなくっちゃな、うーん、やれやれ、とつるつるの顎をさする訳である。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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