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真冬のバナナ

Posted by 高見鈴虫 on 13.2015 日々之戯言(ヒビノタワゴト)
暖房の効きすぎた部屋の窓から、
冬の太陽がさんさんと降り注ぐ街並みが広がっているのだが、
いや、これに騙されてはいけない。

みろ、IPHONEのお天気マークを、

なんと気温は、9度。
体感気温はなんと、2度。

つまりこれ、摂氏で言えば・・・まいなす16℃。

通りで、見下ろす舗道に人影がない訳だ。

いくらどれだけ天気が良くても、まいなす16℃ではまさに絵に描いたもち、
あるいは、そう、凍ったご馳走、に他ならず。


という訳で、今日も病人でもないのにお部屋に一人。

散歩のあとはずっと、先日図書館で借りてきた技術系の参考書なんてのを、
そこはかとなく読み耽っている訳なのだが、
昼間からこうして部屋でだらだらしていると、なによりも小腹が減っていけない。

がしかし、既に体重がまた往年の140LB台を目前にしている俺。
先に控えた社会復帰、そのための戦闘服であるスーツのサイズを考えると、
なまじっかの間食だけは控えなくてはいけない訳なのだが、

うーん、どうにもこうにも口が寂しくて寂しくて。

で、思わずさしたる目的もなしに冷蔵庫の扉を開けたり閉めたりしてしまう。

が、しかし、くく、図ったな! 敵も然る者引っかくものじゃ、

それを見越したかみさん、ポテチからチョコからクッキーから、
またそれに類するものの一切合財を、どこかに隠蔽したか、
あるいはそう、そもそも買ってきていない、訳だろう。

ねえ、なにか甘いものかってきておー、と言うたびに、

そんなに食べたければ自分で買ってくればいいじゃない、というかみさん。

がしかし、そう、そんな間食のためにこの零下16℃の街をほっつき歩いたり、
あるいはそう、たとえ俺がそんな間食ゲットのお出かけでも企てようものなら、

とたんに察知したこの駄犬、そそくさと先回りしては、玄関の前で、連れてけ、となる訳で、

まさかお買い物の間、、ブロードウエイの雑踏の最中に犬を置き去りにする訳にも行かず、
結局はそのまま、綱を引かれるままに道をそれて、公園への凍った道をとぼとぼと下ることになる。

そんなこんなで、開けて閉めての冷蔵庫、今日だけで何度繰り返したことか。

昼飯はさっきしっかり食べたのにな。俺ってもしかしてこの歳でアルツハイマー?

とそんな時、ふと思いついた。

そっか、バナナ、なのである。

そう、普段であればそんな時のバナナ。

あのいかにもどこにでもあって気楽にぱくりと食べれる、まさにこの地球上における間食の王者。

普段であれば72丁目の角のインド人のストリートベンダー。

あのフルーツベンダーから、5本で1ドル、で売っているあのバナナ。

そうか、この寒さの中、あのフルーツベンダーの姿も久しく見ていないな。

つまりはそういうことか。

真冬のバナナ、実に恋しい気分なのである。











プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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