Loading…

ROCKを葬り去る前に 番外編 ~ 「肉の思い出」~そのいち

Posted by 高見鈴虫 on 09.2014 ROCKを葬り去る前に ~ 大人のダイエット奮戦記
で、そう言えば、子供の頃はあまり「肉」を食べなかった気がする。





勿論俺は「肉」が大好きで晩飯に「肉」が出たりするとそれだけで心が躍った覚えがある。

が、そんな「肉」が食卓に上るのは早々とあるものではない。
野菜炒めの中に紛れ込んだ細切れの豚肉でさえまさに宝物だった。

「肉」を思い切り食べられるのはまさにクリスマスの時で、骨付きの鶏の腿肉。
先っぽの銀紙のカバーに赤いリボンが巻いてあって、まさに高級感に溢れていた。
そんな骨付き鶏肉を口いっぱいに頬張るとき、
思わず唇から溢れ出した脂が顎まで垂れて・・・ああああ美味い!
と思わず大声を上げたものだ。
そして骨までしゃぶっては絡みついた一切れの肉片さえもこそぎ落して、
軟骨は口の中で綺麗に嘗め尽くした後に犬へのご馳走。
骨は砕いてスープにして煮詰め、
漉したエキスをその後何日か犬のご飯にぶっかけるだけで、
犬はまさにお正月モード。
ご飯のたびに待ちきれない、と甲高い吠え声を上げたものだ。

それだけでありがられていた「肉」である。

普段は鶏肉が主。
豚肉の十八番である生姜焼きは肉を食べ終わったあとにも思わずご飯をお替りして、
残った肉汁を白い飯にかけて食べるのが楽しみだった。

ましてや牛肉なんてことになるとまさにお祭り気分で、
すき焼きなんてときには、肉という肉をその欠片どころか粒のようになってしまった破片までも
箸の先で摘んでは前歯の先ですり潰して、おおおおお、ありがたやありがたや!
で、もちろんその牛肉のエキスの染み込んだ残り汁は翌日も新たに付け足された白菜やらネギやら
シラタキやらと共に再登場。
くっそお、肉ねえかな、と底の底まで穿り返しながら、
もしや一切れでも牛肉の破片を見つければ、おおおおおお、奇跡だ!
とそれだけで飛び上がってしまったりもしたものだ。

その後、エバラ焼肉のたれ、の登場で、いきなり目の前に肉の塊り!が出現。

がしかし、それは勿論牛肉なんてことはなくもちろん豚肉。
テーブルに乗る鉄板プレートなんてのもなく、
代わりにジュージューと脂の弾けるフライパンに乗った肉の塊り。
丸まって絡みついたリボン上の豚肉。
その透明の脂肉から垂れる油がフライパンの上でまだピチピチと音を立てている。
摘み上げた肉を、小皿に差したエバラ焼肉の垂れに漬けて食べる。
途端に身体中溢れ出る脂。
顔中に脂が染み出してきて、身体の隅々にまでパワーが行き渡るのを明確に意識することができた。
うめええ!焼肉、うめええ!
お袋とあねきは、なんかこの肉、脂肉ばっかりねえ、
と文句を言いながら取り分けた脂肉を、
一瞬の隙に掠め取って口の中に放りこんで、へへーん、である。
あんたそんなもの食べたら身体に毒よ、と言われながらも、これがまたおいしい。やめられません、

とは言うものの、そんなご馳走に恵まれるのも半月に一度あるかないか。

そして普段の食事は、と言えば、野菜炒め、やら、芋の煮付け、やら、豆腐やら糊やら納豆やら。
そして主役は秋刀魚やらアジやら鯖やらの魚類が主。
頼みこんで頼み込んで粘りに粘って、ようやく卵焼きとウィンナーが出てくる、とそれがまさに宝だった。

ちゅうわけでガキの頃、あれだけ「肉だ肉だ」と言いながら、日常的にはほとんど肉など食べなかった。
給食にも肉が出た、という記憶も無い。

がしかし、たとえ毎日肉を腹いっぱい食べなくてもガキどもは十分過ぎる程に元気だった。

朝も早くから校庭中を走り回り、休み時間はプロレスごっこ。
放課後はどっぷりと暮れてるまで近所の神社で缶蹴りか、その後は校庭でサッカーか野球。

家に着いたとたんに、あああああ、腹減った~!肉だ肉だ、肉が喰いてええ、と騒ぎまくってきた訳だが、
いざ用意された献立を見ると・・・ええええ、また魚?昨日も一昨日もだぜえ。肉は?肉はないの?

と言う訳で、今日はシュートを3本も決めて、やら、
盗塁6つ、ホームラン2本、エラーも4つしたが、ファインプレーも2つ、
と自身の功績を並べ上げては、なんとか、ウインナーとは言わないまでも、
ハムやら、玉子焼きやらをGETをしようと必死になっていた。

がしかし、そんな我が家がそれほど貧しかったという訳でもない。

確かに、ナオキの家には焼肉プレートがあって、やら、
キミエの家はコンロを買ってテーブルの上ですき焼きをやったそうだ、
なんて話をしてはグチグチと買ってくれ買ってくれ、とやっていたが
結局我が家に登場したのはカセットコンロで鍋が限度で、
ついに焼肉プレーターがお目見えすることはなかった。
がしかし、そう、みんなそんなものだったと思う。
つまり俺たちの暮していた地域がそれほど貧しかったという記憶もないし、
他の友達に、おい、昨日何食った?なんて話をしても献立としては似たような物だったと思う。

ガキともは日々肉だ肉だと騒ぎながらも、
テストで100点取ってからね、なんていう無理難題を押し付けられては四苦八苦。
が、いざ実際に肉が登場した時のあの喜びと言ったらなかった訳だ。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

月別アーカイブ

検索フォーム