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ROCKを葬り去る前に 番外編 ~ 「肉の思い出」~そのよん

Posted by 高見鈴虫 on 12.2014 ROCKを葬り去る前に ~ 大人のダイエット奮戦記
という訳で、ROCKERであった俺達。
その志がどうあれ、現実的には俺達はまさにホームレスとどっこい、
あるいはそれ以下だった。






がしかし、俺達がホームレスと違っていたのは、
つまりはひとえに俺達が輝いている、と勝手に勘違いしていたことではないだろうか。

とりあえず俺達には目的があった。
やりたいこと、があった。
そしてそのやりたいことにおいて、
自らが誰よりも秀でている、もしかすると天才ではないのか、
そんな俺が世に認められないのはたまたまの運。
いつの日にかきっと世間に認められてROCKで食える日がやってくるに違いない。
そう硬く信じていた。信じ込もうとしていた。

そんな俺達は、例え空腹に倒れそうでも、
例えゴミを食らっていようとも、誇りに満ち溢れていた。
なにがどうなろうが知ったこっちゃねえ。
ただ、ベースを弾かせたら俺の右に出る奴はいねえ。
そら、そこをどけ、邪魔だこの野郎、ぶっ殺すぞ、
という態度で世の中をはすに見ては、顎をしゃくり、
肩を揺すってはどこに行っても我が物顔。
問答無用に暴虐武人。
ここまで来たらヤクザもおまあわりも怖いものはなにもねえ、
さあ、どうにでもしてくれ、と完全に開き直りまくっていた。

そんな俺達は当然のことながら尻が落ち着かなかった。
日々バイトを転々としては新たな食い扶持とそして新たなねぐらをさがしていた。

バイト先での人的トラブルは当然のこと、客を殴った、店長を殴った、同僚から金を借りて返さない。
あるいは勤務態度が悪い。口の利き方がなってない。格好が派手すぎる。髪が長すぎる短すぎる。
目つきが悪い。いつもイヤフォンを外さない。
注意をすれば、うるせえな、と食ってかかるか、
あるいは、ふい、と横を向いて帰ってしまう。
そんなこんなでバイト先を転々とし、あるいは日雇いの仕事で精力を使い果たし、
そしてようやくそんな俺達でも務まるまともなバイトを探し当てたとしても、
ちょっとでもその場所が居やすくなったとたんにふい、と辞めてしまう。

バイトやめちまったよ。
またかよ。気いられてるって言ってたじゃねえか。
ああ、まあいい奴ばかりだったんだがよ、なんかうざったくなってきてよ。
で、生活どうんすんだよ。
ま、どうにかなるだろ。
またゴミ食うことになるぜ。
それはそれでOKっていうか。
まったくどうしようもねえな。
それはお互い様じゃねえか。

という訳で、逃げ道のドアの鍵を自ら捨ててしまった俺達。

行き着く先は十中八九どぶの底のまた底。

上等だぜ、啖呵を切れるのがいつまでか、の我慢比べを生きていたのだ。

そして俺達はいつも腹を減らしていた。
いつもいつも、女の上でもステージの上でも喧嘩の最中でさえ、ああ腹減ったな、と思っていた。
そして知らないうちにそう呟いていた。
俺は10代から二十代にかけての、いわゆる青春という時期を、
実にそのようにして過ごしていた。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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