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ROCKを葬り去る前に 番外編 ~ 「肉の思い出」~そのご

Posted by 高見鈴虫 on 13.2014 ROCKを葬り去る前に ~ 大人のダイエット奮戦記

何度かの飢え死にの危機をさ迷ううちに、
なんと仲間内でもっとも身分のしっかりしていた美大生のミツル。
そのミツルの故郷のお袋が、なんとなんと炊飯器を送ってきたのである。
炊飯器!
それはまさに、ゴミを食って生きていた俺達ROCKERのライフサイクルに、
まさに劇的な変化をもたらした。






なんでそこに気がつかなかったのだろう、と思った。
そう、コンビ二でおにぎり、あるいは、ご飯は目が飛び出るぐらいに高いが、
しかし米を炊けるのであれば、そんなものいちいち買うこともないのである。
次に金の入った時にえいやあと米をどーんと買ってしまえば、
それだけで飢え死にの恐怖からは脱することが出来るわけである。

という訳で、金を出し合って米を買った。
おおこれでしばらく生きていかれるぜ、と米の袋を代わり番に肩に担ぎながら誰もが幸せそうだった。
ROCKERが流しでしゃかしゃかと16ビートのリズムで米を研いだ。
おかずはサッポロ一番。
炊けたばかりのご飯の上からそのままラーメンをぶっかけて、
それに5人の男が一度に顔を突っ込んで、まさに犬のように貪り食った。

うめええ!
これで飢え死にの心配がなくなった。
もうゴミを盗んだ罪で警察に捕まったら、なんてことを恐れなくても良くなった訳だ。
腹が減ったらミツルのところに来ればよい。
そこには必ず飯があった。
それがいつのものか判らないこともあったがとりあえずお釜の中には銀シャリがあった。
無くなれば誰かが炊いた。
多めに炊いて持ち帰るやつもいたし、
いつのまにか米そのものがなくなっていることもあったが、とりあえずそこに炊飯器がある限り、
米ぐらいならなんとかなる。
それはまさに、俺達の命をつむぐ生命維持装置に他ならなかった。

という訳で、ミツルの家に向かうとき、おかずを持っていくのが楽しみだった。
良くてコロッケ。いっこ40円。
がしかしこれは一人用。
もしや何者かがそこにいたとき、ひとつのコロッケでは半分が4分の一になりその半分ではまったく腹が膨れない。
という訳で、40円を最大限に活用するためにはまさに八百屋の本日の特売大サービス品。
まあ大抵がキャベツ。

という訳でキャベツは良く食べた。

千切りの上からソースやマヨネーズをかければそれだけで飯が何杯でも食えた。
炒めたキャベツの上からマクドでぎったケチャップをかけて食べたり、
醤油があれば醤油で、卵があれば千切りキャベツとあえてオムレツにしたり、
ありとあらゆる方法でキャベツを食べた。
豆腐や納豆は不思議と買わなかった。
冷蔵庫にハムとマヨネーズをみたときには思わず拝みそうになった。
まさになにもなにひとつとしてないときには白い飯に塩をかけて食べるのも一考だったが、
それだったら握り飯にしよう、ということになるのだが、男が握った握り飯はなぜか食べる気がしない。
で、どこぞの女の子に電話して、ねえ、握り飯作ってくんない?
なんて妙なお願いをしたら、なんと遊びに来た女の子、
ノリ弁を二つ買ってきてくれて、そのノリ弁のおかずがその先三日のおかずになった訳だ。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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